著者
田所 学 高橋 美穂子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.293-298, 2023 (Released:2023-12-27)
参考文献数
17

COVID-19の流行による面会制限は緩和ケア病棟においても例外ではなく,患者と家族は分断を余儀なくされてきた.済生会宇都宮病院では,2023年7月,感染対策を徹底したうえで緩和ケア病棟での面会制限を解除し,それに伴い,制限解除の前後2カ月間の在棟患者数・年齢・在棟日数・在宅復帰率,COVID-19患者の発生,面会者の続柄および滞在時間,病床利用率を調査した.調査期間に80名の患者が在棟したが,COVID-19患者は認めず,面会者からの面会後の感染報告もなかった.制限解除後2カ月間の1回あたりの滞在時間の中央値は83分,面会者の続柄は親族が89%を占めた.制限解除決定前2カ月間の病床利用率の平均は45%であったが,制限解除後2カ月間は76%で,流行以前の水準に回復した.感染対策を徹底することにより,COVID-19の発生を増やすことなく,PCUにおける面会制限を解除できる可能性が見出された.
著者
酒井 達也 A. Jones Mark Smirnoff Nicholas 岡田 清孝 O. Wasteneys Geoffrey van der Honing Hannie 西岡 美樹 上原 由紀子 高橋 美穂子 藤澤 紀子 佐治 健介 関 原明 篠崎 一雄
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.716, 2008

キネシンモータータンパク質は様々な生物において細胞の先端成長及び細胞の形の決定に関与していることが知られている。シロイヌナズナゲノム中には 61 遺伝子のキネシン関連遺伝子が存在することが明らかになっているが、その多くは機能が明らかになっていない。我々はアルマジロリピートドメインを持つ植物特異的キネシン関連タンパク質 ARK1 がシロイヌナズナ根毛の先端成長に関与することを明らかにした。ark1 突然変異体根毛は波状、時に枝分かれの表現型を示し、内側の微小管はより重合して量及び長さが促進されていた。すなわちARK1は根毛内部の微小管量を限定する働きを持ち、これが根毛の先端成長を制御することが示唆された。ARK1 はARK2 及び ARK3 の二つのパラログ含む遺伝子ファミリーをシロイヌナズナゲノム中で形成しており、ARK2 が根の表皮細胞の形態形成に関与することを明らかにした。さらにARK タンパク質と結合する因子として NEK6 タンパク質リン酸化酵素を同定した。nek6 突然変異もまた、シロイヌナズナ表皮細胞の形態形成に多面的な影響を与えており、NEK6 が ARK キネシンに関連した微小管機能を介して細胞の形態形成に関与することが示唆された。
著者
田所 学 高橋 美穂子 松下 久美子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.229-238, 2017 (Released:2017-06-29)
参考文献数
31

【目的】緩和ケア病棟実習における医学生の学びの内容と同病棟に対するイメージの変化を明らかにする.【方法】医学生20名を対象に質問紙調査を行い,Berelsonの手法により分析した.【結果】学びの内容として「患者・家族のQOLの向上を目的とした具体的なケア」「緩和ケアの概念・提供体制・効果に関する新たな気づき」「がん終末期における緩和治療の実際」「緩和ケア病棟の医療における位置づけ」「適切なコミュニケーションによる患者・家族とスタッフとの信頼関係の構築」「各職種の特徴とチームケア」「患者・家族に向き合うスタッフの姿勢」「看取りに立ち会えた学生の経験」「患者・家族の抱える思い」「がんの疾患特性とその脅威」「スタッフの悲嘆とメンタルケアの必要性」が抽出された.イメージは,否定的・静的から肯定的・動的へと変化した.【結論】医学生は患者・家族やスタッフとの直接的な関わりから基本的緩和ケアを学んだ.