著者
内藤 茂三 岡田 安司 酒井 達也
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.788-793, 1987-12-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
5 12

オゾンを食品保存に利用することを目的に穀類,穀粉,豆類及び香辛料に対するオゾンの殺菌作用を,オゾン濃度0.5~50ppm,処理温度5~55℃,処理時間1~6間,流速100l/分の条件で検討した.得られた結果は次のとおりである.(1)穀粉はオゾン濃度の増加とともに殺菌効率は高まったが,穀類,豆類及び香辛料で最大の殺菌効率を示した玄そば(国内産),ブラックマッペ,ブラックペパーはオゾン濃度5.0ppm処理でほぼ一定となった.(2)そば及びそば加工品(いずれも国内産)のオゾン処理を形態別に行った結果,玄そば,粗びきそば粉,そば粉と形態が変化するに伴いその殺菌効率は低下した.(3)香辛料の中ではブラックペパーは処理温度に関係なく殺菌効率は一定であり,またクローブは処理温度の上昇に伴い殺菌効率が高まった.その他の香辛料はいずれも低温ほど殺菌効率が高まった.(4)穀類,豆類の中で最大の殺菌効率を示した玄そば(国内産),ブラックマッペはそれぞれ2時間,3時間処理で最大となり以後処理時間を延長しても殺菌効率は高まらなかったが,穀粉,香辛料の中で最大の殺菌効率を示したそば粉(ブラジル産),ブラックペパーはいずれも処理時間の延長に伴い殺菌効率は著しく高まった.
著者
酒井 達也 A. Jones Mark Smirnoff Nicholas 岡田 清孝 O. Wasteneys Geoffrey van der Honing Hannie 西岡 美樹 上原 由紀子 高橋 美穂子 藤澤 紀子 佐治 健介 関 原明 篠崎 一雄
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.716, 2008

キネシンモータータンパク質は様々な生物において細胞の先端成長及び細胞の形の決定に関与していることが知られている。シロイヌナズナゲノム中には 61 遺伝子のキネシン関連遺伝子が存在することが明らかになっているが、その多くは機能が明らかになっていない。我々はアルマジロリピートドメインを持つ植物特異的キネシン関連タンパク質 ARK1 がシロイヌナズナ根毛の先端成長に関与することを明らかにした。ark1 突然変異体根毛は波状、時に枝分かれの表現型を示し、内側の微小管はより重合して量及び長さが促進されていた。すなわちARK1は根毛内部の微小管量を限定する働きを持ち、これが根毛の先端成長を制御することが示唆された。ARK1 はARK2 及び ARK3 の二つのパラログ含む遺伝子ファミリーをシロイヌナズナゲノム中で形成しており、ARK2 が根の表皮細胞の形態形成に関与することを明らかにした。さらにARK タンパク質と結合する因子として NEK6 タンパク質リン酸化酵素を同定した。nek6 突然変異もまた、シロイヌナズナ表皮細胞の形態形成に多面的な影響を与えており、NEK6 が ARK キネシンに関連した微小管機能を介して細胞の形態形成に関与することが示唆された。
著者
藤井 壮司 田中 寛 酒井 達也 喜多 由加里 加藤 正貴 土田 隼太郎
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第25回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2009 (Released:2010-04-21)

【はじめに】変形性股関節症に至るケースとして,先天性股関節脱臼の既往や臼蓋形成不全が因子としてあげられる.これら疾患は両側性に発症することが多い特徴があるため両側への治療の必要性が高いと考えられる.今回,臼蓋形成不全と診断され片側股関節痛を訴える症例に対し治療を行ったので報告する.【症例紹介】症例は26歳女性.先天性股関節脱臼・装具治療の既往歴がある.平成16年頃より左股関節に違和感出現.平成18年頃からは右寝返りの際に,左股関節前面に疼痛,脱臼感が出現する.現在は椅子に座り靴を履く時に脱臼感が出現する.【理学・X-P所見】骨盤後傾/前傾(右/左),筋力評価では左股関節周囲筋に低下を認めた.しかし,右外旋筋のみ左より低下.ROMでは股関節外転30°/25°,内転5°/0°,SLR(外旋位)70°/75°.Thomas Test陰性/陽性,片脚立位時の動揺(右<左).歩行では左下肢への重心移動が不十分.CE角23°/21°.臼蓋荷重面に軽度の骨硬化・骨棘がみられる.関節裂隙の狭小化・骨頭の変形はみられない.右大腿骨骨頭が外上方に偏位.【治療・経過】右外側hamstrings stretch,左腸腰筋stretch,左深部外旋筋再教育を施行.結果,骨盤のアライメントの改善,右外旋筋の筋出力向上,左内転可動域拡大,更に歩行でも左下肢への重心移動が改善され,靴を履く際の疼痛も軽減した.【考察】本症例において疼痛側だけでなく,反対側に対しても治療を行い疼痛軽減が図れた.理学・X-P所見から,右内転筋優位により骨頭が外上方に偏位し,さらに骨盤後傾により骨頭の被覆率が下がっていると考え,骨盤のアライメント改善から右大腿骨骨頭のアライメント改善を図った. 右骨盤の前傾が得られ,左股関節屈曲筋群の過緊張が軽減される事で立位歩行時の股関節の伸展が出やすくなる事で,左側への重心移動が改善された.【まとめ】両側性に発症する疾患に対しては,片側のみに症状が出現している症例においても両側を治療することで,疾患の進行を遅らせる効果が大きいと考えられる.