著者
斉藤 まなぶ 足立 匡基 中村 和彦 大里 絢子 栗林 理人 高橋 芳雄 吉田 恵心 安田 小響
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

発達障害の有病率及び併存率の推定:平成26年4月から平成28年10月までに健診に参加した全5才児3804名(月齢平均:63カ月)を解析の対象とした。一次スクリーニングは2923名(76.8%)から回答を得た。二次検診の対象児は607名(20.8%)であった。最終的に希望者31名を含む440名が二次健診に参加した。ASDの診断については、さらに補助診断検査としてASD診断を受けた対象者に後日ADI-RまたはADOSを施行した。その結果、自閉症スペクトラム障害(ASD)が3.30%、注意欠如・多動性障害(ADHD)が4.95%、発達性協調運動障害(DCD)が5.54%、知的障害/境界知能(ID/BIF)が3.33%であった。また、ASDではADHD合併が60.0%、DCDの合併が61.1%、ID/BIFの合併が40.0%であった。疫学調査における使用尺度の妥当性の検討:AD/HD-RSの内的整合性(N Takayanagi, et al. 2016)、ASSQ短縮版の5歳児適用における妥当性(足立ら、2016)を検証した。リスク因子の検討:得られた疫学データからロジスティック回帰分析を行い、ASDのリスク因子は出生体重2500g未満と父親の高齢が有意な結果となった。バイオマーカーの検討:ASD群でIGF-1、VLDL-Cho、VLDL-TGに有意な性差があった。バイオマーカーとASD、ADHD症状との関連性はIGF-1が実行機能の問題、VLDL-Choが相互的対人関係の問題、VLDL-TGが社会性、想像力、対人関係の問題と負の相関があったGazefinderを用いた注視点検査では、5歳のASD児は興味のある映像への注視は長く、興味のない映像への注視は短いことが確認された。
著者
麻生 和衛 高橋 芳雄 田中 米二
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.435-442, 1967-10-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
31
被引用文献数
1

大豆トリプシン•インヒビターが,生大豆の栄養阻害因子として雛に対して有害であるかどうかを,3種の大豆トリプシン•インヒビター(KUNITZのインヒビター,山本らの1,9Sインヒビター,BOWMANのアセトン不溶因子)を用いて試験した.その結果1. 従来報告されている増体率の低下,飼料摂取量の低下,膵臓肥大などの生大豆の栄養阻害作用が認められれた.2. 増体量への影響は,試験開始後3日目頃より認められた.3. 3種のトリプシン•インヒビターの間では,特に影響力の差は認められなかつた.4. 膵臓肥大は,腸内で阻害されるトリプシンを補うための機能亢進の結果として生じると考えられた.5. 栄養阻害機構の解明が試みられ,代謝エネルギー価,蛋白質消化率の測定,腸内容物のトリプシン活性およびトリプシン阻害活性の測定結果から,雛においては蛋白質の消化阻害が生じていると考えられた.6. 大豆トリプシン•インヒビターの作用に関する矛盾した報告についての考察が試みられた.