著者
升岡 繁 西村 佳子 高畑 康浩 陳 蘭庄
出版者
南九州大学
雑誌
南九州大学研究報告. 自然科学編 = Bulletin of Minamikyushu University (ISSN:1348639X)
巻号頁・発行日
no.46, pp.41-48, 2016-04

アポミクシスは母親の遺伝子型だけが子供に伝わる生殖である。この形質を実用すれば,一代雑種の固定や栄養繁殖性植物の種子繁殖性植物への転換が可能になるなど,「緑の革命」以上の経済効果が期待される。本研究室では,アポミクシス性ギニアグラスからアポミクシス性特異的遺伝子(ASG-1)をクローニングしている。ASG-1の機能解析を行うため,栄養繁殖性植物のサツマイモへの遺伝子導入実験を実施している。本研究では,サツマイモの遺伝子導入実験をネッパジーン社の装置を用いて,種子を使って行うことを目標としているが,最初の取り組みとしてまず,コダチアサガオを用いたサツマイモとの接ぎ木を行い,サツマイモ品種の「コガネセンガン」,「ナルトキントキ」,「ベニアズマ」を掛け合わせ,獲得した種子にレポーター遺伝子であるGUSを導入する実験を実施した。その結果,1) 交雑和合性によるサツマイモ品種の選別: 九州沖縄農業研究センターの判断基準に照らして6つの品種・系統の中から3つの品種を選定することができた。2) 花粉親と種子親の選別による種子結実: 今回接ぎ木で使用したサツマイモの3品種について,正逆交雑によって種子生産を目的とした実験で,それぞれコガネセンガン・ベニアズマ・ナルトキントキの種子を獲得できた。3) 種子への直接遺伝子導入実験: エレクトロポレーションによる種子への直接遺伝子導入を行い,遺伝子導入の有無についてGUS染色を行ったところ,施したすべての条件下で,初めてサツマイモの種子および幼苗を用いたが,いずれもGUSの発現が認められた。今後はGUS発現が認められた条件下でpWI-H5Kを用いてジェネティシンによる植物体作出のための選抜を行っているところである。
著者
田淵 宏朗 田中 勝 甲斐 由美 高畑 康浩
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.81, pp.46-49, 2015-05-15

22品種・系統のサツマイモについて,「ハイスターチ」のサツマイモネコブセンチュウレースSP1・SP2に対する抵抗性遺伝子座qRmi(t)判別用DNAマーカーE33M53_090・E41M32_206の遺伝子型の決定,および,抵抗性形質の検定を行った.両者の関係を解析したところ,これらのDNAマーカーは「ハイスターチ」の後代品種・系統においてハイスターチ型のqRmi(t)を継承する抵抗性系統の選抜に使用可能であることが示唆される結果が得られた.