著者
大嶋 孝志 小池 隆司 笹野 裕介 高須 清誠 安田 誠 山口 潤一郎 菅 誠治 跡部 真人 外輪 健一郎 滝澤 忍 椴山 儀恵 矢島 知子 宮尾 知幸 小島 諒介 武田 和宏 松原 誠二郎 矢田 陽
出版者
九州大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2021-09-10

本領域研究は、有機合成に破壊的イノベーションを起こすデジタル有機合成(実験科学と情報科学の異分野融合)の基盤を世界に先んじて築くことを目的とし、有機合成の多様性に対応した独自のデジタル化プラットフォーム(PF)を構築する。A01班、A02班、A03班の3班体制で、人工知能(AI)を徹底活用した自動化法(分子構造自動設計、合成経路自動探索、反応条件自動最適化、バッチ→フロー自動変換、自律的自動合成システム)でムダを徹底排除し、革新反応・革新分子創出の超加速化を実現するとともに、自動化法開発の基盤となる、有機化学の機械学習に最適化した本領域独自のデータベース(DB)の構築を行う。
著者
高須 清誠 有地 法人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.731-735, 2021 (Released:2021-08-01)
参考文献数
24

環内にトランス二重結合や三重結合を含む中員環化合物は、大きな分子ひずみをもち特徴的な反応性を示す。特にある種の官能基をもつ化合物と特異的かつ効率的に反応をするため、生体分子の化学修飾や機能性分子創製におけるクリック反応として利用される。本稿では、分子ひずみを利用した中員環化合物の反応性および、その合成法について、最新の知見を含めて紹介する。
著者
高須 清誠
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

同一の反応空間においてひとつの触媒が反応機構の異なる複数の反応を活性化して反応基質を連続的に化学変換することができれば(タンデム触媒系)、複雑な分子構造を単純な原料から一挙に構築することが可能となる。しかし、複数の分子の混合状態において、同一の触媒で選択的に基質を活性化して異なる反応を秩序よく進行させることは極めて困難である。23年度は、マイクロリアクターを用いた空間集積合成への適用を含め、時空間集積および時間集積とあわせて複雑分子の構築法の開発を検討した。また、その反応を利用していくつかの生理活性天然物なちびに低pH応答型の人工DNA切断分子の創製を目指した。検討の結果、以下にまとめた成果を明らかにした。1.マイクロリアクターを用いた室温での触媒的(2+2)環化付加の実現(空間集積)2.タンデム触媒系を利用した連続的異性化-(2+2)環化付加の開発(時間集積)3.低pHに応答してDNAを選択的に切断するシクロブタン化合物の創製(上記の集積反応を活用)4.タンデム触媒系でのイナミドを基質とする反応の開発:不飽和イナミドおよび多置換キノリンの合成(時空間集積)5.不斉共役付加を基点とするワンポット反応でのキラルβアミノ酸誘導体の合成(時間集積)と、統合失調症治療薬ネモナプリドの短行程不斉合成即ち、Tf2NHの多彩な触媒活性を利用した反応集積化を行い(2+2)環化付加を含む連続反応を開発するとともに、生理活性天然物の母核構造の短行程合成に成功した。また、低pH応答型DNA切断分子を設計し、実際に目的の機能を示すことを明らかにした。
著者
高須 清誠
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

申請者がこれまで集積した精密有機合成に関する知見を基盤に細胞内タンパクもしくは核内DNAを選択的に化学修飾できる機能性低分子を開発した。当初はタンパク標識化剤の創製を目指していたが、グルタチオン等のチオール官能基との反応性があまりよくなかったことが明らかとなったため、第二の目標であったDNA標識化剤の開発に研究方向をシフトした。誘導体合成の結果選択した化合物を用いてDNA切断活性の評価を行った。種々の酸性pHの緩衝液中、プラスミドDNAと37℃で24時間培養すると、pHの低下に伴いDNAの切断活性が向上した。またpH 6. 5の緩衝液中、種々の濃度の5を用いて37℃、24時間培養したところ、最小0. 3 mMでDNAの切断が見られ、濃度依存的にDNA切断活性が向上することも確認できた。以上のことから研究計画で提案した方法は有効であることを証明できた。