著者
高須賀 明典 渡井 幹雄 入路 光雄 米田 道夫 中村 政裕 亘 真吾
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

魚類において「産卵親魚量と卵生産量は比例する」というパラダイムは、現在の水産資源管理・加入研究における根本的仮定である。しかし、卵生産における種内・種間密度効果によって、この比例関係には歪みが生じることが示された。本研究では、野外データ解析・標本分析と飼育実験によって、様々な小型浮魚類 (イワシ類、サバ類等) について、卵量・卵質に対する種内・種間密度効果を検証する。卵生産量に基づいた資源管理基準の設定方法の検討と資源管理リスク評価、卵生産量に基づいた生残指標値の検討と既存の加入研究の再検証を行う。以上より、従来の産卵親魚量ではなく、卵生産量に基づいた新しい資源管理・加入研究の基盤を構築する。
著者
小路 淳 高須賀 明典 三田村 啓理
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

沿岸生態系における魚類群集の主要な捕食者―被捕食者を特定するための魚類群集調査と胃内容物解析を広域的に実施した.コアサイトとして季節別調査を実施した瀬戸内海と北海道では,季節に関係なく捕食者のバイオマスが夜間に増大することが明らかとなった.日中に比べて夜間に藻場を利用する大型魚食性魚類が増加することにより,小型魚類の被食リスクが高まる傾向が南北サイト,季節で共通して認められたことは,夜間の藻場において日中よりも捕食圧が高まることが普遍的なものであることを支持している.一連の結果から,沿岸域の食物網構造は,小さい時空間スケールで大きく変動する特性を備えていることが明らかとなった.