著者
髙橋 儀平
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.62-67, 2020-01-01 (Released:2021-01-15)
参考文献数
2
被引用文献数
1

本稿は日本における1960年代後半のバリアフリーの発祥から今日までの展開を概観したものである.日本のバリアフリーの動きは1970年初頭に始まっているが,当初から欧米諸国からの学びが多く,同時にその経験をいち早く実行に移した,障害者自身の行動力によるところが大きい.一方,研究者らはそれらへの技術的情報提供を怠らなかったともいえる.その後80年代の福祉のまちづくりの取り組みを経て,90年代以降のバリアフリー関連法制度の時代が始まる.そして2020年の東京オリンピック·パラリンピックの開催決定を向け,多様な市民の共生を謳うインクルーシブな社会環境への創出に向かっている.ユニバーサルデザインはこれらをハード·ソフトの両面から具体化する技術的プロセスとして今や十分な市民権を有したといえる.バリアフリーの新たな展開に対応した重要なキーワードの1つである.
著者
髙橋 儀平
出版者
東洋大学ライフデザイン学部
雑誌
ライフデザイン学研究 (ISSN:18810276)
巻号頁・発行日
no.10, pp.283-297, 2014

バリアフリー、ユニバーサルデザイン(以下BF、UD)の政策的起点を、1961年の米国基準協会における世界最初のアクセシビリティ&ユーザビリティ基準の制定と捉えると、既に50年以上を経過している。2015年は日本で初めてオリンピック大会が開かれた1964年から51年目の節目でもある。1964年11月の大会は、わが国の障害者にとって初めて世界に触れ、その後の障害者の生活環境改善の転機となる大会でもあった。東京体育館を始め幾つかの施設が一時的にせよバリアフリー化され、この大会に集った障害者がその後の日本におけるバリアフリーを牽引したことは良く知られている。その30年後、1994年にわが国で初めて建築物のバリアフリー化を促進するハートビル法が成立した。本論文では、このようなわが国のバリアフリーの動きを軸に、この間の欧米の先進的なバリアフリー法制度を根底に、近年特に活発な動きを示している中国、韓国との比較考察を行った。 日中韓の3カ国は歴史的にさまざまな社会、文化交流が行われ、都市、建築物、ある日は人々の暮らしに共通する部分も少なくはない。しかし今日の日中韓は政治経済体制、生活習慣、言語等に大きな相違がある。BF、UDも同様である。そこで、本論では、1)日中韓の3カ国がどのようにBF、UD化の経緯を辿ったか、その要因は何か、2)その際に障害者、利用者の参画はどうであったか、3)現状における各国のBF、UDの到達点はどうか、4)今後におけるBF、UD活動の共通性、各種基準の標準化の可能性、等について比較考察を試みる。結論として、BF、UDの沿革と到達点については、出発点は異なるものの3カ国とも国際的な動きに強く影響されていることが判明した。特に中国では、国際障害者年、北京オリンピックを契機とした変革があった。一方、韓国では、日本と同様に障害者運動が大きな役割を果たした。今後3カ国によるBF、UD施策の共有化や意見交換が極めて重要であることが確認された。日中韓の標準化については、交通機関、建築物、公共トイレ等で一定の可能性があるのではないかと考えられる。
著者
菅原 麻衣子 髙橋 儀平 野口 祐子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.87, no.799, pp.1688-1698, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
6

According to the enforcement of the Discrimination Prohibition Act in 2016 and the amendments to the Barrier-Free Act between 2018 and 2020 in stages, the improvement of physical accessibility in cities and the promotion of social participation of people with disabilities have been expected in Japan. However, children with disabilities and their parents still often face social obstacles and the details are not clear. Therefore, this paper reveals the features of physical/attitudinal obstacles in cities and proposes methods of accessibility improvement through the analysis of a questionnaire to all the parents of three special schools in the municipality of X.
著者
河野 裕之 髙橋 儀平 竜口 隆三
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.22, no.51, pp.701-706, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
3

This report summarizes the series of studies on which legislated as JIS S0026 on Mar. 2007, “Standardize the layout of the toilet operation equipment and appliance in public rest room”, is based. The authors implemented user verifications with the cooperation of approximately 100 persons with disabilities (physical and visual), the main group of people to whom extra consideration should be given. According to the verifications, the study proposed the appropriate measurements for installation of the three fixtures (toilet paper holder, flush button, and call button), including the allowable range, as the recommended standard layout.