著者
髙橋 由佳矢 河野 忠
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.244, 2013 (Released:2013-09-04)

1. はじめに 静岡県浜松市水窪町の標高654mに位置する窪地にはほぼ7年周期で出現すると伝えられている湧水池がある。普段は水の無い窪地となっていて,スギやヒノキといった人工林に覆われている。湧水池が発生する直前には大量の降水が確認されている。杉森ほか(2001)によると,地質と降水が地下水面に影響し,湧水池が出現すると報告されている。また,400年以上前から出現していたと言い伝えられているが,詳しいことはわかっていない。この池は,今現在も明確な発生条件やメカニズムが解明されておらず,周期的に出現する理由も不明のままである。そこで,本研究では,降水量や現地の自然条件を基に,出現メカニズムを解明することを目的とした。今回は,主に2012年7月と12月に現地調査において湖盆測量を行った結果を報告する。2. 研究対象地域 池の平の池は水窪町奥領家にある亀ノ甲山峠を200m程下った場所の窪地にある。山道は佐久間ダム建設以来,廃道に近い状態である。山道は崩れている箇所が多くあり,山全体が地すべり地であることが伺える。3. 調査・研究手法 現地では,湖盆測量,検土杖を用いた簡易地質調査,湧水と沢水のサンプリングを行い,現地にて電気伝導度,ORP,pH,水温を測定した。持ち帰ったサンプルは役場から頂いた2010年出現時の池の水と共にイオンクロマトグラフィを用いて無機イオン成分の分析を行った。3. 結果と考察 標高654m付近で湖盆測量を行い等深線を示した結果,この池の最大長は130m,最大幅50m,周囲244m,面積4325m2,容積11375m³,となった。 水質分析の結果,2010年出現時のサンプルは各溶存成分量が乏しく雨水と変わらないことが判明した。池の100m程下った場所の沢水は2010年出現時の水質と比較して,各溶存成分量が高くなっていて,特にカルシウムイオン濃度の値は6.73mmg/lの値を示した。4. 今後の研究課題 池水の出現機構解明のために,湖盆に時期水位計を,水窪町役場に雨水採水器と転倒ます型雨量計を設置した。今後は,同位体水文学的手法を用いて涵養源の推定を行う予定である。5.参考文献杉森・佐藤・津田・尾口・小森(2001):遠州七不思議の池 「池の平」 の出現理由.日本地理学会発表要旨集,No.60,147.
著者
髙橋 由佳 河原 弘太郎 遠藤 敏喜
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究 (ISSN:21896933)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.50-63, 2016 (Released:2017-04-21)
参考文献数
21

古来から多くの芸術家や研究者がそれぞれの目的で音楽の可視化・図形表現を試みている.本論文では楽譜の持つ音楽要素を縞模様で表現する.縞模様には,自由学園生活工芸研究所のオリジナル・テキスタイルであるプラネテを用いる.手法としては,計量情報学でよく知られているジップの経験則を用いる方法と,ヨハネス・イッテンの色彩論を用いる方法を紹介する.聴覚と視覚という異なる感覚を用いた表現メディアの融合の,縞模様を用いた新たな例を提供する.
著者
井口 福一郎 谷口 善知 草野 純子 髙橋 由佳 村井 紀彦
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.8, pp.1108-1114, 2014-08-20 (Released:2014-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
5

唾液腺導管癌は予後不良な唾液腺悪性腫瘍であり, 遠隔転移再発後の有効な治療法はこれまで知られていなかった. HER2 過剰発現する本腫瘍へトラスツズマブを含む分子標的治療が著効した症例を経験したので報告する. 症例は69歳男性, 原発巣と所属リンパ節への手術, 術後照射の初回治療から半年後に肝, 椎骨への遠隔転移を来した. パクリタキセルとトラスツズマブによる化学療法を行ったところ, 転移巣は肝, 椎骨ともに著明に縮小した. パクリタキセルによる四肢の末梢神経障害が認められた後はトラスツズマブのみの投与を続けているが, 心障害は生じていない. 遠隔転移から3年経過するが再増大は認められず, 在宅で日常生活を送っている.