著者
鬼塚 哲郎
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.307-310, 2017-02-28 (Released:2017-03-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

頸部郭清術後のリハビリテーションの目的は,肩関節可動域の維持と肩周囲の関節痛,筋肉痛の予防である。肩関節可動域訓練の要点は,なるべく早期に開始し,最初は上肢の重力負荷が軽減されるような仰臥位で開始すると安全である。過負荷による関節痛や筋肉痛を生じないように留意する。近年多く行われている副神経を保存した頸部郭清術においても高率に副神経障害をきたしているためリハビリテーションが必要である。副神経を切除した頸部郭清術においても,リハビリテーションにより日常生活に支障のない上肢可動域が得られるようになる。
著者
鬼塚 哲郎 中西 勝彦
出版者
京都産業大学
雑誌
高等教育フォーラム (ISSN:21862907)
巻号頁・発行日
no.4, pp.29-35, 2014

本研究では、低単位・低意欲層に向けて開講されているキャリア形成支援教育科目「キャリア・Re-デザインⅠ」に登録した受講生が、授業期間中にどのような変化を被り、どのような学びを獲得したのかを分析し、検証する。本科目は2005年の開講以来、自己理解と社会への目線づくりを統合するキャリア教育プログラムとして、グループワークを中心とし、元受講生が学生ファシリテータとしてかかわる独自の授業運営により、徹底した参加型授業を行ってきた。分析にあたっては、受講生が授業期間中に被った変化についてライフストーリーを記述したもののうち、研究目的の利用を許可したものに限って分析を行った。その結果、多くの受講生が対話を通じて他者との親和的な関係を構築し、そのことを契機に変化を促され、閉塞的な価値観および人間関係を相対化する視点を獲得したことが明らかになった。また、授業の立案・運営にあたっては、成果の産出をどうデザインするかという視点とともに、プロセスを意識しつつ授業をデザインすることが重要であるとの示唆を得た。
著者
海老 原充 海老 原敏 岸本 誠司 斉川 雅久 林 隆一 鬼塚 哲郎 朝蔭 孝宏 吉積 隆
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.1406-1411, 1998-12-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

分化型甲状腺癌は比較的悪性度の低い癌として知られているが,中には周囲臓器への浸潤を来すものもある.特に浸潤頻度の高い臓器は気管である。そこで当院での気管浸潤例における手術手技,気管再建法における工夫,及び成績に関して報告をした.対象症例は国立がんセンター中央病院(1978年1月~1990年2月)およびセンター東病院(1992年7月~1996年12月)にて気管合併切除を施行した分化型甲状腺癌30例で,同期間中に手術を施行した分化型甲状腺癌全486例の約6.2%にあたった.病理組織学的には全例乳頭癌であった.性別は男性10例,女性20例であり,平均年齢は58.8歳(22~75歳)であった.切除後,21例に関しては二期的にhinge flapにて気管孔閉鎖が可能であった.気管部分切除•局所皮弁による再建は,気管環状切除•端々吻合に比較して術後の気道管理も容易であり手術侵襲も少なく,甲状腺分化癌のように悪性度の低い癌ではこの術式にて十分対応可能と考えられた.残りの5例に関しては欠損範囲が大きく,そのままでは二期的閉鎖が不可能であったため,3例に関しては気管壁欠損の上下方向を縫縮し残った欠損部に気管孔を作製し,局所皮弁にて閉鎖を行った.さらに,他の2例ではハイドロキシアパタイトを使用し気管壁の支持を試みた.ハイドロキシアパタイトは組織親和性に優れ,わん曲,長さ等の選択が可能で気管再建に有用と思われた.なお閉鎖のできなかった4例に関しては他因死が1例,肝癌併発にて気管孔縮小に止まったものが1例,経過観察中のものが2例であった.