著者
鯵坂 学 徳田 剛 中村 圭 加藤 泰子 田中 志敬
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.1-87, 2010-05

日本の大都市では2000年を画期として、長らく続いた人口の郊外化がおわり、人口が都心部に向かう都心回帰といわれる状況がみられる。その原因は、不況により都心地域の地価が下がり、オフィス需要が減少し、そこに大型のマンションが建てられ、新しい住民の居住が促進されたためである。本研究では、大阪市の都心区における新しい住民と古くから住んでいた住民との関係について、大阪市特有の地域住民組織である「地域振興会」(振興町会や連合振興町会)に焦点をあて、共同調査を行った。結果として、新住民のそれへの参加は少なく、旧住民中心に運営されてきた振興町会の側も新住民への対応に苦慮していること、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
鯵坂 学 徳田 剛 中村 圭 加藤 泰子 田中 志敬 Manabu Ajisaka Tsuyoshi Tokuda Kei Nakamura Yasuko Kato Yukitaka Tanaka
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.91, pp.1-87, 2010-05-31

日本の大都市では2000年を画期として都心回帰がみられる。その原因は、不況によりオフィス需要が減少し、大型マンションが建てられ、新住民の居住が促進されたためである。大阪市特有の地域住民組織「地域振興会」へのインタビューを通して、大阪市における新住民と旧住民との関係について調査した。その結果から、新住民のそれへの参加は少なく、旧住民中心の振興町会側も対応に苦慮し、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
鯵坂 学 上野 淳子 堤 圭史郎 丸山 真央
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.1-78, 2013-05

日本の大都市では,1990年代後半から都心部の人口が減少から増加に転じる「都心回帰」現象が起きている。本研究では,2つの方向から人口の都心回帰が大都市の都心コミュニティにもたらす変化を探った。(1)既存研究が少ない札幌市,福岡市,名古屋市を対象として,自治体等へのイン タビュー調査と行政資料の分析を行った。その結果,3都市ともに都心回帰を経験しているが都心回帰の担い手や都心を取り巻く状況は異なることが明らかになった。都市自治体の対応は都市計画分野に限定されており,都心コミュニティの再編に直接対応する制度がないため,地域住民組織は対応に苦慮している。(2)札幌市と福岡市に絞った都心マンション住民へのアンケート調査からは,東京や大阪における都心回帰の担い手と相違点が示された。また,マンション内外の付き合い方は住居の所有形態,世帯構成,年齢による違いが大きいとともに,都心による違いがあることが分かった。
著者
鯵坂 学 アジサカ マナブ Ajisaka Manabu
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.101, pp.85-135, 2012-06-15

資料(Material)日本の近代化の中で明治以降、農山漁村や地方小都市から都市への大量の移住が生じ、その多くの移住者は大都市圏や太平洋ベルト地帯の都市、最寄りの地方大都市に移り住んだ。戦前期には、これら都市に移住した人々は、移住した都市における就労や住居の確保、生活面での情報や援助を得るために家族や親族のネットワークを利用するとともに、同郷的な「つて」を頼って、厳しい都市での生活を生き抜いていった。戦後も、農山漁村からの多くの移住者は都市に定住していったが、都市での就業や住居の確保、配偶者の紹介、厳しい都市生活の中での安らぎや親睦、アイデンティティを得るために、同郷であることを契機として様々な同郷団体・同郷会を形成していった。本稿では、筆者が1995年~1997年に全国の市区町村の役場・役所に対しておこなった全国市区町村調査により析出された1,890の「同郷団体」について公表し、都市-農村関係におけるその歴史的な普遍性を明らかにすることを目的とする。In the process of Japan's urbanization caused by industrialization and modernization since the 1880's, large amounts of the population moved from rural areas to the cities. Focal points of migration are the three metropolitan areas of Tokyo, Keihanshin (Kyoto, Osaka, Kobe) and Nagoya, as well as local prefectural capitals. People from the lower middle class and the lower class, especially people from villages created communities of people from the same hometown (Hometown- Based Associations, called "Dokyo-Kai" in Japanese) that helped and supported one another. I found 1890 hometown-based associations at the end of 20 century in my research. The majority of those were connected to rural areas such as Hokkaido, Tohoku, Hokuriku, Sannin, South-Shikoku , South-Kyushu and Okinawa.