著者
麻植 久史 小池 克明 吉永 徹 高倉 伸一
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.180-191, 2007-10-10 (Released:2010-03-26)
参考文献数
37
被引用文献数
2 4

過去の活動記録が少ない活断層で大規模地震が発生していることから, 地震の発生メカニズムを理解するうえで, 活断層の深部構造の解明がますます重要になってきている. 本研究では, 地域により微小地震の発生頻度や傾向が異なる布田川-日奈久断層帯に注目した. その地域性の要因を明らかにするために, 深部探査に有効なMT法を用い, 比抵抗分布に基づく深部構造と微小地震分布との関係について検討した.まず, 日奈久断層の北部と中部におけるリニアメントの下部で比抵抗の不連続境界がほぼ垂直方向に見出せた. これは, 広範囲に低比抵抗帯を伴わないので, この地域のダメージゾーンは小さい. 一方, 日奈久断層の南部では断層沿いに低比抵抗帯が現れた. ここは日奈久断層と臼杵-八代構造線が交差する位置に当たるので, 大きなダメージゾーンが形成されたと考えられる. また, 1995~2005年の震源分布に基づくと, 布田川-日奈久断層帯は北からI~IVの四つの区域に分割できる. 各区域において, MT法深部比抵抗分布と震源分布とを重ね合わせ, 地震発生メカニズムについて考察した. これより, 布田川-日奈久断層帯は地形的には連続した同一断層系のように見えるにもかかわらず, 破砕構造, 力学的物性, 応力環境は大きく異なることが明らかになった.
著者
尾原 祐三 大谷 順 椋木 俊文 佐藤 晃 山田 文彦 麻植 久史
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

この10年間であまり行われていないX線CTを用いた非破壊試験と最近の地球資源システム工学と地盤環境システム工学の管球課題で重要な解明すべき課題に対し,基本的試験法および測定法の高機能化に焦点を絞り研究を実施した。例えば,破壊靱性の荷重負荷速度依存性,寸法効果を評価するとともに,X線CTによるき裂の可視化により破壊靱性の粒子配列依存性を明らかにした。また,ベントナイトやアスファルトを含む地盤材料を対象とした移流拡散・分散試験により,および裁荷試験により,空隙内部での水や塩の流動特性を明らかにするとともに,物質のマトリクストラップ現象の定量化に成功した。