著者
角田 出 黒倉 寿
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.289-290, 1995-12-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
10
被引用文献数
19 28

マダイの白点虫感染に対するラクトフェリン(LF)の防御効果を調べた。頻繁に白点虫感染の起こる場所でマダイを予備飼育し, 白点虫の自然感染を惹起した。その後, マダイを地下海水流水式の水槽に収容し, LF添加または無添加餌料で28日間飼育した。LF無添加区では14日間頃より肉眼的に白点虫の感染が認められ, 28日間の飼育期間中に大半の魚が死亡した。LF投与区(40mg/kg 体重/日)では, 白点虫の感染や外観的な異常は認められなかった。以上より, LF投与がマダイの白点虫感染防御に有効であることが判った。
著者
呉 俊剛 黒倉 寿 平野 禮次郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.749-754, 1990-05-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
8
被引用文献数
3 6

Crossbreeding between Pseudocentrotus depressus egg and cryopreserved Anthocidaris cras-sispina sperm were performed, in order to obtain several information concerning the influence of maturation of egg and sperm donors on the morphological appearance of parental characters in hybrids. Hybrid larvae were reared up to metamorphosis at 20°C, and Chaetoceros gracilis was used as the food. Skeletal structure of hybrid larvae exhibited intermediate characters, such as incomplete compound basket body structure, structural differences in postoral rod, postero dorsal rod and posterior transverse rod. Utilization of cryopreserved sperm in the experiment, permitted the use of sperm collected during the breeding season of the paternal species. This in turn is thought to have enhanced the probability of producing intermediate characters in the hybrid larva.
著者
高橋 信吾 石川 智士 黒倉 寿
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.185-193, 2005 (Released:2005-04-27)
参考文献数
2

カンボジアの内水面漁業はトンレサップ湖およびその下流のメコン川の氾濫域で特に盛んであり,動物性のタンパク質の供給源として重要である.カンボジアの漁業形態は,大規模漁業・中規模漁業・小規模漁業に大別され,漁獲物の多くは家族漁業等の小規模漁業で捕獲されている.近年,漁業者の増加から漁業者間の軋轢,特に大規模漁業と小規模漁業の間の利害対立が問題となっている.政府は大規模漁業を抑制し,生業的な地域零細漁業を保護する方向で制度の改革を行っているが,地域零細漁業者を主体とする資源管理・環境保護のシステムは十分に普及しておらず,このことが漁業の持続的発展の障害となっている.メコン川の水利用・管理システムの変化は水産資源に大きな影響を与えると考えられるが,資源量推定・変動予測に必要な,漁獲統計等のデーター収集システムも構築されていない.このような現状では,水産資源学的な研究を可能にするための情報収集システムの構築とともに,重要魚種についての生態学的な調査をすすめ,これらの結果を総合して解析を進めることが,資源量の推定,資源変動要因の解明のための現実的な対応と考えられる.
著者
小河 久朗 林崎 健一 黒倉 寿 佐野 光彦 馬場 治 堀之内 正博 小河 久志 KANGUWAN JUNTARASHOTE CHATCHAREE KAEWSURALIKHIT ANCHANA PRATHEP PRASART TONGUNUI
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

津波後の水産資源は回復しつつあるが、大型海洋植物の植生回復が遅れたところでのイカ・カニ漁業への影響は大きく、資源と漁業の回復への植生の重要性が分かった。一方、津波後、沿岸漁業と沖合漁業間に新たな漁場競合問題が発生しており、援助の不平等性と重複がこの問題の複雑化の一因であった。津波後の水産資源や漁業の回復には、植生に重点を置いた環境修復や零細漁民への被害実態に即した公平な援助の重要性を示唆した