著者
シュクリ アグス ファナル 森田 光 太田 敏澄 齊藤 泰一
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.21-29, 2004-09-30

当選者を選択する福引や宝くじ, 当番の順番を決めるアミダくじなど, 社会には公平な抽選が必要になる場面が多数存在する。ジャンケンやルーレットなど, 慣習的に納得できる方法はあったが, インターネットを介して結ばれた多数の個人の中で抽選するための, 公平で誰もが納得できる抽選方法は余り議論されて来なかった。この抽選会を組織する運営会社に, 抽選を一任することが理想的な解と考えられるが, 規模が大きくなるほど不正を行うメリットが増すため, 安全性を確保するには困難である。本論文では, 抽選の電子化を目的に, ハッシュ関数を用いて多数の参加者が広く納得できる公平な抽選方法を提案する。
著者
税所 哲郎 齊藤泰一 土井 洋 辻井 重男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.43, pp.13-18, 2002-05-23
参考文献数
12
被引用文献数
4

株主総会における議決権行使は,各株主が所有株式数に比例した投票権を持つことから,1人で複数投票可能な投票とみなすことができる.しかし,現状では,郵送等によって行使されるため電子化は進んでおらず,セキュリティが確保されているとも言いがたい.我々は,株主総会の電子化を検討しているが,このためには議決権行使の電子化は不可欠である.本稿では,1人で複数投票可能であるという条件に注目し,それによる問題点等を分析する.更に,電子議決権行使に対応できる1人複数投票可能な電子投票プロトコルを提案し,その評価を行う.Since any stockholder has ballots the number of which is proportional to his amount of stocks, the voting procedure in the annual stockholder's meeting can be seen as a modification of usual voting in democratic meetings. However the computerization of the procedures in stockholder's meetings and its security technologies have not been developed enough. We have studied the computerization in stockholder's meetings, in which the proposal of electronic decision systems at stockholder's meetings is one of our main purposes. In this paper, we focus on the property that one stockholder can vote several ballots in a stockholder's meeting, and consider related issues. Moreover we propose electronic voting schemes for stockholder's meetings through which that property holds, and clarify their benefits.
著者
田中 紘世 齊藤 泰一
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.2, pp.601-606,

ファイルレスマルウェアでは,ダウンロードされたマルウェア本体 (ペイロード) はハードドライブ上に格納されることはない.ダウンロードされたペイロードは,OSの機能により直接メモリ上に展開され,実行された後,削除される.メモリ上から削除されること,ファイルとしての実体を持たないことが,ペイロードのフォレンジックを困難とする.ハードディスク上に存在するドロッパー・ローダーは,ペイロードをダウンロード・実行するのみであり,これを解析してもマルウェア全体としての動作を解析できない.我々は Linux において想定されるファイルレスマルウェアに使われる技術を分析し,その対策法について考察した.本項では Linux システムコール memfd_create を利用したファイルレスマルウェアへの対策手法を述べる.
著者
田中 直毅 齊藤 泰一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.524, pp.435-440, 2008-03-06
参考文献数
8

匿名P2Pネットワークにおける情報漏洩は,WinnyなどのP2Pファイル共有ソフトを使用するユーザのPCから発生しており,各個人の機密情報や個人情報をAntinnyと呼ばれる暴露ウィルスがP2Pネットワーク上に拡散するものである.特にP2Pファイル共有ソフトWinnyによる情報漏洩拡散の被害は急増しており,対策技術は社会的な必要性を増しつつある.しかし,法的な問題もあり現在の対策技術の有効性は疑わしいとされている.本研究では,既存の対策技術の有効性について検討した上で,それらを改良した新しい方式を提案する.本システムは,Winnyネットワーク上に存在するファイルの要約情報であるキーを偽造することによりWinnyネットワークの検索機能を撹乱させ検索性能を低下させることにより漏洩情報の拡散を防止することを目的としたものである.
著者
押切 徹 齊藤 泰一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.1964-1970, 2014-09-15

時限式暗号(Timed-Release Encryption, TRE)とは,復号できる時刻を暗号化の際に指定できる暗号方式である.本稿ではIDベース暗号(Identity-Based Encryption, IBE)にTREの機能を持たせた時限式IDベース暗号(Timed-Release Identity-Based Encryption, TRIBE)を提案し,その安全性定義を行う.さらにIBEとワンタイム署名からなるTRIBEの一般的構成法(generic construction)を示し,定義した安全性を満たすことを証明をする.Timed-Release Encryption (TRE) is an encryption mechanism that allows a receiver to decrypt a ciphertext only after the time that a sender designates. We propose a notion of identity-based encryption scheme with TRE encryption mechanism, timed-release identity-based encryption (TRIBE), and define its security models. Moreover we show a generic construction of TRIBE from IBE and one-time signature, and prove that the constructed scheme achieves the security we defined.