著者
税所 哲郎 齊藤泰一 土井 洋 辻井 重男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.43, pp.13-18, 2002-05-23
参考文献数
12
被引用文献数
4

株主総会における議決権行使は,各株主が所有株式数に比例した投票権を持つことから,1人で複数投票可能な投票とみなすことができる.しかし,現状では,郵送等によって行使されるため電子化は進んでおらず,セキュリティが確保されているとも言いがたい.我々は,株主総会の電子化を検討しているが,このためには議決権行使の電子化は不可欠である.本稿では,1人で複数投票可能であるという条件に注目し,それによる問題点等を分析する.更に,電子議決権行使に対応できる1人複数投票可能な電子投票プロトコルを提案し,その評価を行う.Since any stockholder has ballots the number of which is proportional to his amount of stocks, the voting procedure in the annual stockholder's meeting can be seen as a modification of usual voting in democratic meetings. However the computerization of the procedures in stockholder's meetings and its security technologies have not been developed enough. We have studied the computerization in stockholder's meetings, in which the proposal of electronic decision systems at stockholder's meetings is one of our main purposes. In this paper, we focus on the property that one stockholder can vote several ballots in a stockholder's meeting, and consider related issues. Moreover we propose electronic voting schemes for stockholder's meetings through which that property holds, and clarify their benefits.
著者
Vithanage Ananda 猪俣 敦夫 岡本 栄司 岡本 健 金岡 晃 上遠野 昌良 志賀 隆明 白勢 政明 曽我 竜司 高木 剛 土井 洋 藤田 香 Jean-LucBeuchat 満保 雅浩 山本 博康
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.45, pp.31-35, 2008-05-15

双線形写像を利用するペアリング暗号は、ユビキタスネットワークに適した新しい暗号プロトコルを実現できるため、近年注目されている。しかしながら RSA 暗号のような普及している公開鍵暗号より、演算時間が数倍必要であることが欠点であった。我々はペアリング暗号を高速に計算するため、ペアリングアルゴリズムの軽量化、FPGA 実装を経て、世界初となるペアリング演算 ASIC、"Pairing Lite" を開発し動作確認を行った。Pairing Lite のゲート数は約 200 000、動作周波数は 200MHz で、1 回のペアリング演算を 46.7μ 秒で行うことを確認した。Pairing cryptosystems that utilize a bilinear map have attracted much attention because they can create new cryptographic protocols suitable for ubiquitous networks. However, their calculation time is several times longer than that for RSAs. We have developed an ASIC for calculating a pairing, "Pairing Lite," that is the world's first ASIC implementation of the pairing through improving algorithms for calculating the pairing and implementing FPGA. The scale of the circuit for Pairing Lite is about 200,000 gates, its operating frequency is 200 MHz, and it takes only 46.7μseconds to calculate one pairing.
著者
土井 洋平 下村 明弘 猪阪 善隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.477-485, 2020 (Released:2020-09-28)
参考文献数
9

スクロオキシ水酸化鉄は強力な血清リン低下効果を示す薬剤であるが, 透析患者のリン管理において服薬アドヒアランスも重要であるとされている. 今回スクロオキシ水酸化鉄チュアブル錠から顆粒剤へ切り替えた患者を対象にアンケート調査を行い, 臨床検査所見の推移についても検討した. 対象は92例で85例 (92.3%) が3か月以上切り替え後顆粒剤を継続していた. アンケート調査からは顆粒剤のほうが飲みやすく, 指示された用法・用量通りに服用できる患者が増加することが示唆された. 臨床検査データに関しては血清リン濃度を含めた骨ミネラル代謝, 鉄代謝パラメーター, ヘモグロビンなどに臨床的に有意な変動を認めなかった. スクロオキシ水酸化鉄顆粒剤はチュアブル錠と比較して臨床検査値に大きな変化はなく, 服薬アドヒアランスを考慮すると有用である可能性がある.
著者
西田 晶子 福田 晴喜 村川 勝哉 秋本 明男 土井 洋 藤騎 静男 梶返 昭二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.10, pp.1738-1741, 1989-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

13H-ジベ[a,i]フルオレン-13-オン〔2〕種々のアリールリチウムを作用させて13-アリール-13H-ジベソゾ[a,i]フルオレン-13-オール〔3〕を合成した。〔3〕は酢酸中ヨウ化糠酸で還元して13-アリール-13H-ジベンゾ[a,i]フルオレン〔4〕とした。つぎに13-(2-メチフェニル)-13H-ジべンゾ[a,i]フルオレン〔4a〕のCsp3-Csp2単結合の回転障壁をDNMR法で求めて,ΔG≠(ap→sp)18.66kca/mol,ΔG≠(ap→sp)=18.70kca1/mo1の値を得た。さらに単離された13-(2-メチル-1-ナフチル)-13H-ジベソゾ[a,i]フルオレン-13-オール〔3c〕のap⇔spの,また13-(2-メチル-1-ナフチル)-13H-ジペソゾ[a,i]フルオレン〔4c〕のap⇔spの種々の温度での異性化速度を,NMRスペクトルの経時変化から求めて,Csp3-Csp2単結合の回転障壁を求めた。〔3c〕:ΔG≠(ap→sp)=24.96kcal/mol,ΔG≠23.224kcal/mol,〔4c〕:ΔG≠(ap→sp)=34.78kca/molΔG≠(ap→sp)34.52kcal/mol。
著者
奈良 成泰 天田 拓磨 西出 隆志 土井 洋 吉浦 裕
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.1464-1482, 2017-09-15

個人や組織の活動にともなって時系列的に発生する情報をサーバで安全に集計することは実世界で大きなニーズがある.この集計において,サーバは受け取る時系列情報の範囲をあらかじめ予想できないため,情報の受取りにともなって集計表の値の加算だけではなく,集計表の拡張を行う必要がある.本論文では,時系列情報の安全な集計問題を新たに定義したうえで,秘密分散によって時系列情報を秘匿しながらマルチパーティ計算によって集計する方式を検討する.まず,秘密分散とマルチパーティ計算によって個々の値を秘匿しても,アクセスパターンを通じて集計表の推定が可能になることを示す.表の全探索によって値の加算と表の拡張を行う方法を提案し,アクセスパターンは秘匿できるが通信量が大きいという問題点を明らかにする.この分析に基づいて,全探索を避けながらアクセスパターンを秘匿するために,再帰的Path ORAMを用いる手法を提案し,通信量のオーダーレベルの削減効果を明らかにする.
著者
飛田 孝幸 山本 博紀 土井 洋 真島 恵吾
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.43, pp.19-24, 2006-05-12

近年,高速・広帯域の通信ネットワークの急速な普及により,映像・音楽等のコンテンツ配信サービスの利用者が増加している.また,サーバ型放送などデジタル放送の高度化により,放送・通信連携による高度な情報サービスが期待されている.これらのサービスではコンテンツの利用履歴や利用傾向はプライバシ保護の観点から秘匿することが望ましい一方,有料サービスにおいては,視聴内容に応じて利用料金が正確に計算され利用者に正しく課金される必要がある.本稿では,これらの要件を満たす利用履歴を秘匿できるコンテンツ配信・課金方式の一つとして,Atenieseらにより提案されたグループ署名を利用し,利用者の計算・通信コストが利用可能なコンテンツの総数に依存せず利用したコンテンツ数のみに依存する方式を提案する.As broadband lP networks have spread rapidly, the number of users of content distribution services has grown. Also,the new possibilities brought by digital broadcasting,such as broadcasting based on home servers,are expected to lead to sophisticated information services utilizing broadcasting and communication networks. Although for privacy reasons it is desirable to protect the usage history and preferences provided that usage charges is calculated correctly based on the contents that the user got. This paper proposes content distribution and charging scheme with privacy, based on the group signature proposed by Ateniese et al. In this construction, the computation/communication cost only depends on the number of contents that the user got. They do not depend on the number of all contents that the user can get.