著者
山中 千恵 伊藤 遊 百瀬 英樹 Yamanaka Chie Ito Yu Momose Hideki
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要. 人間学部篇 (ISSN:21853355)
巻号頁・発行日
no.14, pp.39-50, 2015

本論文の目的は,台湾南投県にあるテーマパーク型宿泊施設「妖怪村主題飯店-渓頭明山森林会館」が作る南投渓頭妖怪村の事例をとりあげ,ポピュラー文化を活用した観光資源創造の可能性について検討することにある.非場所的な性質を持つポピュラー文化が,その特質ゆえにローカル化を容易にし,それによって,あらたな場所性を創造していくことを可能にする過程を確認する. 調査を通じて明らかになったのは,「妖怪」をめぐるポピュラー文化の再場所化を支えるのが,そこに書き込まれた「物語」を消費することではなく,むしろ,そうしたテキスト間の横断をうながす「キャラクターの自律性」という,日本に顕著にみられる能動的なポピュラー文化消費の形式と,それを支えるシステムだということである.こうしたシステムの存在に注目することで,ポピュラー文化のグローバルな消費をめぐる議論を,ファンの受容行動にとどまらない文脈へと接続することが可能になると思われる.
著者
村田 麻里子 山中 千恵 伊藤 遊 YAMANAKA Chie 伊藤 遊 ITO Yu 谷川 竜一 TANIGAWA Ryuichi
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.95-113, 2012-03

本稿は、宝塚市立手塚治虫記念館を取り上げ、館がいかなるコンセプトのもとに設計・運営されているのか、訪れる来館者がその空間をいかに受容しているのかに注目して行った調査結果を考察するものである。地域活性化・地域振興を掲げたマンガ関連文化施設の一例として、その現状を来館者の行動から詳細に繙き、地域振興という言葉が抱える矛盾や、そもそもマンガを博物館などで扱うことの意義や課題が見過ごされてきた点について分析・考察する。This paper questions the purpose of manga museums intended to promote regional development. This has been at rend for more than 20 years in Japan,an d Tezuka Osamu Manga Museum is one of the earliest museums established for such purpose. Through conducting a visitor survey and analyzing the visitor's movements and attitudes,w e aim to understand what it means to adopt manga in a museum for regional development.