著者
渡邉 一弘
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.174, pp.95-118, 2012-03-30

日中戦争中の弾丸除けの御守である千人針や日の丸の寄書きを見ていると、かなり頻繁に出てくる見慣れない漢字のような文字「[扌+合+辛][扌+台][扌+合+辛][扌+包+口](サムハラ)」。その文字は千人針のみならず衣服に書き込まれたり、お守りとして携帯された紙片に書かれたり、戦時中の資料に様々な形で見られサムハラ信仰とも言うべき習俗であることが分かる。戦時中のサムハラ信仰は、弾丸除け信仰の一つに集約されていたと考えられるが、その始まりは少なくとも江戸時代に遡り、その内容は、怪我除け、虫除け、地震除けなど多岐にわたっていた。「耳囊」をはじめとした江戸期の随筆にこの奇妙なる文字、あるいは符字とも呼ばれる特殊な漢字が度々紹介されている。その後、明治時代になり、日清・日露戦争といった他国との戦争に際して、弾丸除けのまじないとして、活躍することとなる。出征する兵士に持たせるお守りとして大量に配られ、その奇妙なる文字は兵士たちの間で弾丸除けの俗信として広がっていった。なかでも田中富三郎という人物の活動がサムハラ信仰を全国的に知らしめるきっかけとなり、戦時中のサムハラ信仰を全国的に普及させ、現在のサムハラ神社に引き継がれている。俗信の研究の重要性は、宗教などに権威化されたお札などと違って、民間信仰のなかから生まれ、少しずつ様々な意味づけがなされ、いつの間にか人々がその奇跡を信じ、成立するものである。戦時中の人々は、弾丸除けの俗信を信じることで、その現実を乗りきろうとした。こうした俗信の由来は、その時代時代に信じやすいように様々な逸話が加えられ、加工されていく。その時代のなかで解釈することと、その俗信の変化を通史的に整理することと、その両面が研究として必要となる。サムハラ信仰の研究は少なからずあるが、断片的であり、通史的に現代までを俯瞰する研究はない。本稿では、江戸期に始まるサムハラ信仰を現代まで俯瞰することを目的とする。

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「サムハラ」の論文あったので目ぇ通しとこ。 約十年前高野山参拝の際に偶然に災難除のサムハラなる文字の記載ある守り札を入手したところ、商利に機敏なる田中はその複雑な組み合わせ文字の霊効宣伝によって利を売ることを企画した。 https://t.co/xVv6ZKBmc9
【サムハラについての考察②】サムハラ信仰についての研究 怪我除けから弾丸除けへの変容 渡邉一弘博士 国立歴史民俗博物館研究報告 第174集2012年3月https://t.co/shioPHwLMB
サムハラ信仰についての研究 : 怪我除けから弾丸除けへの変容 (兆・応・禁・呪の民俗誌) 渡邊一弘:本稿では、江戸期に始まるサムハラ信仰を現代まで俯瞰することを目的とする。https://t.co/shioPHwLMB
サムハラ 信 仰 についての 研 究 https://t.co/hnghV22aZE
サムハラ信仰についての研究 https://t.co/f9GgHrT9fU
サムハラ信仰 https://t.co/TwxbmUPI3T
国立歴史民俗博物館学術情報リポジトリ-国立歴史民俗博物館 サムハラ信仰面白い https://t.co/JPU7HqqsxV
サムハラ信仰についての研究 : 怪我除けから弾丸除けへの変容 https://t.co/lGEUQTLenE 全部載ってました_(:3」∠)_
@Jinja_Kikou_Net 歴博のサイト、サムハラ信仰についての研究というPDFがhttps://t.co/zbEIxV9npx こちらで読めるようです。 何となく今の世の中、思わぬ事もあるのでサムハラ様持っています(^_^;) 絵銭は古銭商にあると思いますよ~!
このサイト今日まで知らなかったけどワクワクするなぁ〜 サムハラ信仰についての研究 : 怪我除けから弾丸除けへの変容 https://t.co/QDctu3Bi7x
渡邉一弘 「サムハラ信仰についての研究 : 怪我除けから弾丸除けへの変容 」 https://t.co/2FYWRRlxgt 江戸時代から現代まで俯瞰したもの。サムハラの字形や読みのゆれ、成り立ちの説など

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