著者
鈴木 久美
出版者
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所
雑誌
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所報告 (ISSN:0386636X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.95-108, 2018-03-15

1990 年代後半、日本長期信用銀行の破綻など、金融機関の破綻が相次いだ。そのため、この時期には金融システムの安定化のための議論や提案が多くなされた . そもそも、部分準備制度のもとでは健全な経営をしている銀行でさえ、銀行取付にあい破綻する可能性を持っている。この経営が健全な銀行でさえ破綻する可能性を理論的に示した Diamond and Dybvig(1983)モデルでは、効率的な均衡と非効率的な均衡のどちらが達成されるかはサンスポットであるとしていた。本論文では、実験経済学の手法を利用し、Diamond and Dybvig(1983)モデルの検証を行った。結果、銀行破綻回避策がない場合は、非効率的な均衡が達成される、すなわち、銀行破綻が生じやすいことが確認された。また、消費者(預金者)のタイプの割合がわかっている場合、支払停止条項は有効な銀行破綻回避策となりうることが、消費者のタイプの割合がわからないときは、政府による預金保険が有効な銀行回避策であることがわかった。
著者
亀ヶ谷 雅彦
出版者
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所
雑誌
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所報告 (ISSN:0386636X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.37-52, 2018-03

本論文では、山形県においてフィールドワークを行って参院選の投票来場者を観察・記録し、三世代同居と投票率の関連性について実証的研究を行った。その結果、マクロデータでは両者の間には正の相関関係がみられるものの、実際に観察してみると、三世代同居による直接的な投票動員効果は、ほとんど見られなかった。今後さらに、他の市町村でのフィールドワーク結果の比較検討や、間接的な投票動員効果についての検討が必要であろう。
著者
山本 淳
出版者
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所
雑誌
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所報告 (ISSN:0386636X)
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-14, 2012-03

山形大学附属博物館後藤文庫が持つ、近世村山地方の郷土本『老の寐言』を国語学的に検討した。文章語体を旨として書かれながらも、聞き手を意識した箇所での断定辞ジャの使用、あるいは助辞ニの脱落や助辞イの使用が観察され、音韻面でも促音や撥音の使用といった口頭語性が諸処に発現している。さらに連接母音こと ai・oi におけるイからエヘの交替、チからツへの交替、カタ行有声化などの方言的事象も色濃く観察され、さらに同系統の江口本では、音韻現象において後藤本とは異なる現れ方をしていることが判った。 キーワード:近世村山地方郷土本, 口頭語性, 音韻表記, 村山方言資料