- 著者
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河村 正二
- 出版者
- 公益社団法人 日本農芸化学会
- 雑誌
- 化学と生物 (ISSN:0453073X)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.5, pp.325-336, 2012-05-01 (Released:2013-05-01)
- 参考文献数
- 112
- 被引用文献数
-
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ヒトの網膜には色覚,すなわち色を感じるために赤,緑,青に対応した3種類の視覚センサー=視覚オプシンが存在する.脊椎動物の中で魚類と霊長類は色覚が多様性に富む点で特異である.たとえば新世界ザルはオプシン遺伝子のアレル多型によって2色型と3色型からなる高度な色覚多型を示す.この多型は強い自然選択圧により維持されているが,2色型と3色型のどちらか一方が有利とは必ずしもいえない.ここでは,魚類と霊長類の視覚センサー遺伝子の適応と進化の経緯を検討する中で,色覚の多様性の意味を考える.