- 著者
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宮本 賢一
- 出版者
- 公益社団法人 日本農芸化学会
- 雑誌
- 化学と生物 (ISSN:0453073X)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.7, pp.496-500, 2008-07-01 (Released:2011-04-14)
- 参考文献数
- 9
無機リン酸(以下,リン)は,生体の基本的構成成分として,成人の体内に約850 g含まれ,その85% が骨,14% が軟組織,そして残りの1% が細胞外液,細胞内構成成分および細胞膜などに分布する.リンの体内プールは,ホルモン調節のもとに腸管における吸収と腎臓からの排泄によって維持されている.リン代謝は副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone : PTH)や,1,25-ジヒドロキシビタミン D (1,25(OH)2D) により調節されている.さらに最近,リン調節に関与する分子が次々に明らかにされており,副甲状腺,骨および腎を結ぶカルシウム/リンの新しい制御機構の存在が注目されている.生体におけるリン代謝とその異常症について,最近の知見を概説する.