著者
根本 俊男 堀田 敬介
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.136-147,226, 2005-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
9

一票の重みの格差に関する議論での新たな視点として格差の限界を客観的に提供し,考察を加えていきたい。例えば,現在の定数配分法と区割指針に沿った格差の限界は1.977倍と算出できる。格差拡大要因として指摘の多い各都道府県への一議席事前配分を廃すると2.032倍と逆に拡大し,この指摘は誤りといえる。定数配分法による要因を見るために,広く知られている人口比例配分法毎の限界値を算出したところ,最良でも1.750倍であった。また,現行法内で考えられる自由度を配分法に許してもやはり1.750倍が限界で,さらに法律の枠を超えた状況でさえ1.722倍未満は実現不可とわかった。これらより,格差の是正には,定数配分法の議論だけではなく,議席数の変更や県境を跨いだ選挙区設定への緩和など制度自体の改革が重要であることが数理的に明らかとなった。
著者
金 宗郁
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.158-168,216, 2006-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

本稿は,近年自治体において行っている改革政策を検討しながら,自治体の政策パフォーマンスに影響を与える要因を析出する。また,こうした自治体の政策パフォーマンスを地域住民は,いかに受け止めているのかを分析する。分析対象は,672市(2001年基準)であり,自治体の政策パフォーマンスとして行政サービスと各政策や制度を設定する。分析では,政策パフォーマンスの規定要因として各自治体の組織規範(政策執行規範•組織運営規範•公共参加規範)を設定し検証を行った。さらに,自治体に対する影響力について地域住民がいかに意識しているかを分析した結果,地域住民は,各市の政策パフォーマンスが自分の日常生活においてあまり,影響力がないと認識していることがわかった。ただ,住民参加政策が進んでいる市ほど,自治体が自分の生活を改善してくれると思う住民が多いことがわかった。
著者
上川 龍之進
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.54-68,195, 2007-02-28 (Released:2009-01-27)
参考文献数
11

本稿は,2005年総選挙以後の小泉政権において,政策決定過程がどのように変化したのかを論じる。第1に,小泉首相が政権発足直後に打ち出したものの,与党や省庁の反対にあって頓挫していた政策が,総選挙以降,小泉のリーダーシップによって次々と決められていったことを示す。第2に,2005年末以降,「官邸主導」による政策決定を可能にしてきた経済財政諮問会議の役割が変質し,自民党•官僚主導の政策決定が復活したという見解に対し,歳出•歳入一体改革の決定過程は依然として「首相主導」であったことを明らかにする。第3に,2006年の通常国会では重要法案が軒並み成立しなかった。これも,会期延長を求める与党の声を無視した「首相主導」の結果であると論証する。総選挙での大勝によって小泉の自民党内での影響力が飛躍的に高まった結果,政策決定過程が先述したように変化したというのが本稿の主張である。
著者
大山 礼子
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.158-168,287, 1997-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
22

Direct elections of the Presidency after the constitutional amendment of 1962 had the effects of not only developing bipolarisation between Left and Right, but also changing campaigning styles. Presidential candidates are being forced to mediatise their candidacy in a massive scale.As money becomes more important to the pursuit of election campaign, equality of opportunity declined. Since 1988, France has introduced a set of legal restrictions on campaign funds. Corporate contributions are banned by the 1995 legislation. In 1995 election, campaign expenditure is limited to 90 millions of francs (or 120 millions for the two candidates presenting the second round). Candidates must submit a statement of income and expenditure to the Consutitutional Council, which has a power to examine, correct or reject it.The influence of television has been increased from election to election. The governing body of broadcasting, Conseil supérieur de l'audiovisuel, acts as a watchdog during election time and ensures that all candidates have equal access to television and radio channels.