- 著者
-
牧野 幸志
- 出版者
- 摂南大学
- 雑誌
- 経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, pp.35-47, 2013-02
本研究の目的は,青年期におけるコミュニケーション・スキルと精神的健康との関係を調べることである。第1 に,同性友人,異性友人に対するコミュニケーション・スキル(以下,CS と表記)と孤独感との関連を検討する。次に,2 つのCS とソーシャル・サポートとの関連を検討する。さらに,2 つのCS と精神的健康との関連を検討する。調査参加者は大阪府内の私立大学(共学)に通う大学生160 名(男性103 名,女性57 名,平均年齢19.34 歳)であった。相関分析の結果,同性友人,異性友人に対するCS いずれも,孤独感と負の相関がみられた。CS が高い人ほど,孤独感は低かった。次に,同性友人,異性友人に対するCS はいずれも,ソーシャル・サポートと正の相関がみられた。特に,同性友人CS において,状況判断スキル,会話スキルとソーシャル・サポートに強い相関がみられた。CS が高い人ほどソーシャル・サポートを得ていた。さらに,同性友人CS の中で,会話スキルと葛藤解決スキルは精神的健康と負の相関がみられ,スキルが高いほど精神的健康状態が良好であった。異性友人CS においても,自己表現スキル,会話スキル,葛藤解決スキルが精神的健康と負の相関がみられ,スキルが高いほど精神的健康状態が良好であった。CSが高いほど,友人関係が良好となり,ソーシャル・サポートが得られやすくなり,精神的に健康であることが示唆された。