著者
太田 義雄 影山 智絵 薄井(三宅) 教子 角田 咲絵 福本 美里 前田 佐紀 又賀 春奈 松本 千加 三村 麻依 山本 由希乃 湯浅 美代子
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.103-108, 2014-06-16

「身体の冷え」改善の食材として,ショウガに注目し,ヒトがショウガを単回摂取した際および長期摂取した際の生体応答(体温,血圧,脈拍,末梢血流,表面温度の変化)について検証した。ショウガの単回摂取においては,腋窩体温や血圧の変動は認められないが指末梢血流量が一時的に増加する傾向が認められた。体感的な体温上昇を感じるのは,この末梢血流量の増加に起因した感覚であると考えられる。しかし,今回の条件下(摂取量:ショウガ粉末0.25 ~ 0.75g/100g,測定時間:1時間)の単回摂取では,からだ全体の体温上昇は認められず,温熱効果は確認できなかった。また,ショウガを10日間連増摂取した際の,緩和な寒冷ストレス負荷試験において指表面温度の回復が早くなる傾向が認められた。この変化は冷え症を自覚している人の方が顕著であり,温度回復後の指表面温度の上昇も認められた。このことから,ショウガの長期摂取により,末梢の血流改善が図られる可能性が示唆され,冷え症の改善が期待できる。
著者
有道 惇 津上 崇
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.183-193, 2007-06-16

今日,我が国の子どもたちが歌っている歌は非常に多様である。それらは,ポップス調,民謡調,わらべうた,唱歌,童謡そしてアニメソング等と,歌の種類は非常に幅が広く,全国各地に広まっている。これには,昭和24年に始まった「歌のおばさん」1)等のマスメディアの力による影響が大きく,このような傾向は今日まで継続している。一方,これら多様な「子どもの歌」は,明治以降における西洋化の影響と,これに沿って取り組まれた,西洋的な歌を作るという国の方針とが相俟って,多数の唱歌や童謡が誕生してきた。ところが,この国の方針にも関わらず,誕生してきた歌は,日本語の抑揚にも起因して,伝統的な「わらべうた」,「子守歌」,「民謡」等にみられる「ヨナ抜き音階」の側面が今日まで尾を引いているものも少なくない。そこで,明治以降の「子どもの歌」を分析検討することで,いわゆる西洋音楽(以下,洋楽と略)の受容がどのように行われて,伝統的な音楽(以下,和楽と略)が「子どもの歌」にどのような影響を及ぼし,両者がどのように融合してきたかを検討する。
著者
原田 眞澄
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.51-58, 2015-06-16

おんぶや抱っこは単に搬送の手段としてではなく,子どもを育児するうえで肌と肌がふれあう温もりの伝わる関わり方で,大人と子どもの間に精神的つながりを深める効果に言及する者もいる。しかし,日本に特有の風習とされるおんぶひもを使ったおんぶは年々減少傾向であると感じられる。犬飼は1998年の研究で外出時の子どもの運搬方法におんぶひもを使ったおんぶは全体の6.5%と報告したが,現在はもう少し少ないと推測できる。一方保育所ではおんぶひもを使うことは多く,東日本大震災でも避難時に重宝した。私はこの違いに興味をもち,平成27年2月15日~3月23日の期間に,倉敷市立中央図書館,中国学園図書館の育児雑誌や育児書に関する情報収集と,インターネットやベビー用品売り場でおんぶひもに関する情報収集をおこなった。その結果,親世代に向けた育児雑誌の情報およびベビー用品売り場などにおんぶひもとういう表現は全くなくなっていて,抱っこやベビーカーによる育児が当たり前という印象を受けるものであった。少子化で,一人の親が子どもを抱っこできる余裕ができたことも背景として考えられる。育児雑誌でおんぶ兼用抱っこひもでおんぶをする場面が紹介され,親の立場からのメリットが紹介されていた。近年脳科学の分野でミラーニューロンが発見され,子どもをおんぶして大人のしていることを一緒に見ることが脳に良い刺激を与えることがわかった。今後は,子育て支援や保育学生への教育においてこの最新の情報提供をおこない,TPOに応じておんぶをすることの取り組みにつなげていきたいと考える。
著者
斉藤 真奈美
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.10, pp.19-27, 2011-06

1990年代にアメリア・アレナスによって提唱された対話型鑑賞教育は,その後まもなく日本にも紹介され,美術館,学校現場が一体となった取り組みがなされている。この取り組みがそれまでの鑑賞教育と最も異なっているのは,美術の知識を一方的に教えるのではなく,ひとりひとりが作品と向き合い,意見を述べ合い,考察を深めていくところにある。 大学生を対象として,講義の一環として対話型鑑賞教育を取り入れる際には,幼い子供たちに対する場合とは違った配慮が必要となる。小論では,「まなざしの共有」というエッセンスを損なうことなく,すでにある程度の知識を身に着けた鑑賞者をどのように対話型授業に参加させてゆくかについて考察を試みる。
著者
仁宮 崇
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-6, 2017-06-16

2000年代半ばより,わが国では「格差社会」という言葉がよく聞かれるようになった。非正規雇用割合の増大,失業率の増加等で低所得者が増え,所得格差が拡大している傾向にある。所得格差が拡大することは,ただ貧富の差が広がるのみならず,生活面の格差にも影響を及ぼす。本研究では「所得格差」と「生活面での健康格差」との関連性に着目した。高所得であれば体調が悪いと感じたら医療機関で受診する,健康診断を受診して疾病の予防に努めることが可能である。一方で,低所得のため,診察や健康診断の受診をためらう等健康を守る活動を行えず,健康意識の低い生活をするようになれば,疾病に罹る危険性も増してくる。人間が生活していく中で,健康は必要不可欠な要素の一つであり,所得格差と健康生活指標との関連性を調査,分析し,社会経済状態と健康との関連における実態を明らかにする。
著者
原田 眞澄
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.51-57, 2017-06-16

私は,タッチケアを特集する雑誌を見たことをきっかけに,どのようなものか興味をもった。タッチケアとはどのようなものなのか,肌に触れるスキンシップのことを指すのであろうか,抱っこやおんぶやベビーマッサージなども含むのであろうかと様々な疑問をもった。そこで,平成29年2月12日~3月16日の期間,タッチケア・抱っこ・おんぶをキーワードに中国学園図書館で文献検索を行った。その結果,タッチケアという言葉には狭義と広義があることがわかった。狭義では,アメリカマイアミ大学のTouch Research Institute のタッチセラピーを起源としたもので,1999年吉永により日本に伝えられたものをいう。一定の圧力をかけながら子どもの全身をゆっくりとマッサージするふれあいの方法であり,従来から言われてきたスキンシップや,赤ちゃんマッサージ全般を指しているものではないということがわかった。また,広義では子どもの体に(あるいは肌に)触れること全般(たとえば,子どもに対する整体や子どもの気持ちに寄り添ったスキンシップ,ベビーマッサージなど)が包括されていた。タッチケアとベビーマッサージを比較すると,目的や手技に大差はなかった。どちらも赤ちゃんの肌に指や手のひらで触れ,一定の圧力でマッサージしながらふれあえるものである。する側,される側のどちらにとっても情緒が安定する効果があることと親子の絆が深まることがわかった。しかし,タッチケアが未熟児・新生児も対象とする点で対象月齢が広いこと,資格取得・講習会などが無料で営利を目的としていない点で,ベビーマッサージと違うことがわかった。子どもは,抱っこやおんぶによって大人と広範囲に肌を接触してもらうこと,手のひらで優しくマッサージしてもらうこと,トントンとリズミカルに皮膚に刺激をされることなどを好む。「皮膚は露出した脳」といわれ,大きな意味がある。近年,スマホで子育てする親も少なからず見受けられるが,一緒にいるときには子どもと肌を密着すること,心地よい接触の仕方をすること,子どもの状態をしっかり感じ取ることが大切であることが分かった。
著者
松田 文春 二階堂 修以知 福森 護
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.195-201, 2007-06-16

知的障害のある生徒にとって,自己決定に基づく活動が円滑に行えることは,学校教育終了後の主体的な社会参加を可能にするための基礎的な力となる。本研究では,この自己決定の過程において,とくに選択・決定場面に焦点を当てた。複数の選択肢の中から一番欲するものを明確な自己の意思に基づいて選択できるための選択肢の提示方法,そして,選択・決定後の活動に向けてどのような支援が生徒の主体性を引き出すことができるのか,その具体的実践論について考察した。
著者
國田 祥子 山本 あゆみ
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.13, pp.131-140, 2013-06-16

子どもの問題行動の背景には,自己表現力や自己抑制力の欠如があると言われている。本研究では,この2者の関係について検討した。保育者および小学校教諭を対象に,担任している子どもについての質問紙調査を行った。回収した質問紙を学年によって幼児,低学年,中学年,高学年に分類し,適切な自己表現であるアサーティブな自己表現および不適切な自己表現であるノンアサーティブ,アグレッシブな自己表現の生起頻度について平均得点を算出した。さらに,自己抑制を構成する行動の抑制,注意の移行,注意の焦点化の3因子についても平均得点を算出した。自己表現に関する得点を説明変数,自己抑制に関する得点を従属変数とする重回帰分析を行ったところ,アサーティブ得点から自己抑制の3因子に対して概ね負のパスが見られた。このことから,適切な自己表現を行っている子どもほど自己抑制ができないと捉えられていることが示唆された。保育現場や教育現場においては,本来独立しているはずの自己表現と自己抑制が,対照的なものと捉えられているのかもしれない。保育者や小学校教諭は,子どもの自己表現をより肯定的に捉えられるよう,配慮していく必要があるだろう。
著者
小倉 毅 須貝 静 小倉 譲
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.21-30, 2008-06-16

いきがい対応型デイサービス利用者140名に調査をした結果,前期高齢者に旅行希望が多く,国内外に関係なく観光ツアーに希望が多かった。また,国内旅行においては,夫婦や家族と旅行するより,「気のおける友人」と楽しい旅行をしたいという要望が強い。逆に海外旅行では,夫婦や家族といった身内との旅行を望んでいる。また,オーダーメイドの手作り旅行や目的地のみを設定する旅行では,兄弟や親戚,ご先祖様の供養にお墓参り,思い出の地に行きたいといった希望がある。旅行日程は「2泊3日」が最も高く,次いで「1泊2日」,「日帰り旅行」である。旅行中の心配事については,「目的地までの移動時間・手段を考えると体力に不安,荷物を運ぶのが不安,トイレが近いので,休憩回数・時間がきになる。また,後期高齢者になるほど,付き添い者がいてほしい」という結果がでた。これらの結果をもとに,「長崎に単身赴任中の息子に会いに行きたい」と願う89歳(男性)のエスコートヘルパー旅行を実施した。長崎で息子に会えた喜び,観光,希望のかなった食事に満足して,「一生懸命遊び,人生を楽しむことこそ生きがいである」という本人の人生観に基づいた旅行が実施できた。今後の課題として,旅行先の移動手段,お手洗いの整備状況,入浴・食事の手配と介助方法,疾患状況を把握するためのアセスメント技術,さらには,旅行者の「生きがい感(人生観)」を理解する技術,車いすの操作方法,準備物の運搬方法を確立する必要がある。
著者
小野 文子 廣畑 まゆ美
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.13, pp.177-182, 2013-06-16

2013年3月に執筆した「芸術と社会の関わりを強めるために-地域の音楽活動を実例に-」の調査では,地域の音楽活動や先人の音楽活動の実例をもとに,現代における音楽と社会の関わりの希薄さを述べた。比較対象として山田耕筰の調査を行っていたが,山田の音楽の発展の陰には,彼の「すぐれた時代を読む力」があったことがわかった。明治から大正にかけて,列強諸国に追いつこうと必死の政府,企業の方針が文化にまで及んだことが,芸術家にとっては追い風となっていた。複雑化する中で,近年の音楽はどのような時代背景とともに今の姿になったのか?また今後,音楽文化が発展していく中でどのようなことが課題になるのか?明治,大正,昭和の日本における音楽と社会の動きを考察しながら,近年の音楽を社会的な視点を交えて考察する。
著者
佐生 武彦
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.61-67, 2008-06

本稿では,最新のオリジナル作品である"Kasa Jizo : The Stone Buddhas With The Straw Hats"(以下「カサ地蔵」)での幾つかの新しい試みを紹介しながら,前稿(2007)に引き続いて,英語劇のシナリオ作成と舞台作りのためのヒントを提示したい。シナリオ作成に関する新しい試みとしては,「二人三脚」及び「一人舞台」と筆者が呼ぶものがある。前者は,ナレーターに「突っ込み」を入れる役を配置し,二人の掛け合いで物語りを展開させて行く手法である。後者は,文字通り役者が一人で舞台に立ち,一回の発話で大量のセリフを発するものを指す。今回の作品中では,主人公のお爺さんによる地蔵を相手にしたモノログがこれに当たる。また,原作には存在しない「それらしい話」を創作・挿入する「部分創作」というものについても新しい視点から少し論じておきたい。舞台作りに関しては,地蔵にまつわる事項について検討する。
著者
西田 典数
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-22, 2007-06

「メタボリックシンドローム」とともに「喫煙」による健康障害(被害)が国内だけでなく世界中でも大変深刻な問題となっている。WHO(世界保健機関)では,「タバコは,病気の原因の中で,予防できる最大の単一の原因」としている。日本人の喫煙率は特に男性で非常に高く,未成年者や妊婦の喫煙問題も重大である。喫煙は「自傷他害行為」であり,家庭や職場,社会だけでなく学校においても喫煙による直接・間接の健康障害や火事・事故等に対する取り組みが求められており,それがその学校(大学)の評価にも繋がっている。中国学園では,これまでも禁煙活動に取り組んできた。アンケート調査や啓蒙活動,更に職員によるタバコの吸殻を含めた学園内清掃等が今でも毎日根気強く継続されている。筆者(医師)も,平成15年度からニコチン代替・置換療法(ニコチンパッチ)を含めた禁煙医療支援を継続している。今回は平成17年度の取り組みを中心に,その1年後までの経過を含めて概略(評価,問題点等)を述べる。(1)学内の禁煙医療支援によって禁煙成功率は高かった。(2)学生達の場合は若年者であるため喫煙年数が比較的短く,ニコチンパッチは短期間使用で成功する場合が多かった。ニコチンパッチのサイズも「中」以下でも良い場合が多かった。(3)かぶれ,頭部・腹部症状等の副反応が比較的多かったが,薬剤(パッチ)の減量・休止で対処できた。(4)家庭(家族)・職場・アルバイト先・大学(友人)等で喫煙環境から抜け出せない場合は,再度喫煙してしまう場合が比較的多かった。(5)喫煙の根底に精神的に重大な問題を抱えている場合は少なかった。(6)長期的で十分なフォローや禁煙失敗者の再挑戦への十分な支援は難しい場合もあるが,その点が最も大切である。(7)「ニコチン依存」に対してはニコチン代替療法を,「心理的依存(習慣)」に対しては行動療法(後述)を併用する事で禁煙成功を高めることができた。
著者
富田 昌平
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.127-138, 2007-06

本研究では,乳幼児期における移行対象(毛布やタオル,ぬいぐるみなどへの愛着)とその先駆物としての指しゃぶりの出現の実態について,3歳から6歳の子どもを持つ保護者261名への質問紙調査をもとに検討した。調査の結果,(1)移行対象の出現率は31%,指しゃぶりの出現率は24%であり,そのうち両者が同時に現れたケースは9%であった。(2)移行対象と指しゃぶりは一人っ子,長子,末っ子において同程度に出現し,中間子において少なかった。(3)指しゃぶりは生後6ヶ月以前に出現し,生後6ヶ月から36ヶ月でピークを迎えるのに対し,移行対象はより遅れて生後24ヶ月から60ヶ月がピークであった。また,ぬいぐるみや人形などの二次性移行対象は,毛布やタオルなどの一次性移行対象よりも出現が遅かった。(4)移行対象と指しゃぶりは入出眠時に多く必要とされ,その他テレビ視聴時や退屈な時に必要とされた。それらは子どもを落ち着かせ,安心感を与えると保護者に解釈されていた。(5)対応については無理にやめさせようとした者は少なく,多くはいつか子ども自身で手放すだろうという予測の元に,自然ななりゆきに任せていた。
著者
小野 文子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.125-129, 2006-06-16

音楽の原点は,言葉を話すのと同じように自分の思いを音にのせ,人と人が繋がることであろう。人は「聴く」ことから音楽体験を始め,聴いた曲を「歌う」ことを試みる。「歌う」ことは音楽活動の基本である。
著者
藤本 義博 上島 孝久
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.89-95, 2004-06-16
被引用文献数
1 2

20世紀に入って世界各地で人間の活動による生物種の急速な減少が起きており,我が国も例外ではありません。従って,生物の多様性に及ぼす人間活動の影響を明らかにし,かつ「種」の絶滅を防ぐための実際的で,効果的な方策を開発することが重要な課題になってきています。この様な状況のもとで,学術的に極めて重要で、わが国の特別天然記念物に指定されていて、現在は日本と中国の極く一部にしか生息していないオオサンショウウオも、その生存が危ぶまれている生物種の一つです。オオサンショウウオの保護は、わが国にとっては勿論のこと、その主要な生息地である岡山県にとっても、文化財保護の面からばかりでなく環境保全の面からも重要な対策の一つであるといえます。岡山県真庭郡内の湯原町,川上村,八束村,中和村はすでに昭和2年に全国で唯一全地域(土地)がオオサンショウウオの生息地として国の「天然記念」指定を受け,文化庁,教育委員会による保護下にあります。それにも拘わらず,平成9年度7月から平成10年12月までの河川調査では,23年前の「昭和50年度オオサンショウウオ緊急調査委員会報告」と比較してその生息確認河川数が激減していることが示されました。本論文では河川構造物とオオサンショウウオの生息状況との関係を明らかにすることを目的にしました。
著者
谷本 満江
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.23-28, 2007-06

筆者の体育講義内容は,健康分野を中心としている。我々は講義すること,受講させることは簡単であるが,実際に皆が健康なからだで,健康な日常生活を送ることが重要と考えている。現代社会では,夜型生活の傾向があり,特に大学生に於いては,親元を離れて生活をしたり,サークル・アルバイト活動が多いなど,いろいろな面で自己管理しなければならない。しかし,多くの学生は不規則な日常生活を送りやすいと考えられる。本学の学生に対しては,これまでの生活習慣をいかに行動修正・行動変容させるかは筆者の責任と考え,講義している。最初に学生の体脂肪率測定を行い,これまでのライフスタイルを生活に関する調査でチェックした。そこで,まず自分の身体とライフスタイルを確認し,興味・関心を持つこと,そこからの出発なので学生の中に講義内容が浸透しやすかった。健康の3本柱である《食事》《休養》《運動》に於いて,最低気をつけたい具体的目標をかかげた。《食事》(1)朝食を摂る(2)三食きちんと取る《休養》(1)平日と休日の起床・就寝時刻を同じにする(2)その日の内に寝る《運動》(1)日常生活での姿勢に気をつける(2)できるだけ歩く…これらは簡単そうに思えるが,実はこれを実行し,継続することは意外と大変である。しかし,体育講義受講後はダイエットしようと考えていた学生も間違った方向に行かないように考えていた。そして,各自可能な内容を1週間,2週間と行動修正し,継続できた者が結果的にダイエットに繋り,更に精神的にも前向き・意欲的になり,他学生にも報告し自他共に認めていた。また,9割の学生は少なくとも何らかの形で,健康に気をつけて生活できるようになったと記述していた。今後もこれが行動変容として習慣化されることを願っている。
著者
近藤 信子 冨氣 久江
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-19, 2008-06

1990年(第1回調査)と2007年(第2回調査)に女子学生を対象に行った質問紙調査の結果を比較しながら,和服の現状と今後の在り方について検討した。調査内容は和服に対するイメージと評価である。和服に対する評価についてはファッション性・審美性・実用性・社会性の次元で項目を設定した。和服に対するイメージについては,1990年の調査結果では「好感」「女性的上品さ」「華やかさ」の3因子が抽出されたが,2007年調査の分析結果からは「儀礼性」「好感」「静的」の3因子が抽出された。女子学生は,和服の審美性について高く評価しており,和服への関心も高いことが明らかとなった。この結果については,調査年による大きな差異はみられない。ファッション性については,和服の個性的な着付けや新しい組み合わせを工夫したいとする者が2007年調査結果では多かった。和服の実用性についての評価は高くない。民族服に対する意識は1990年調査より2007年調査のほうが有意に低かった。