著者
高橋 史 小関 俊祐
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.183-194, 2011-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
9

本研究の目的は、14編の論文を用いたメタ分析によって、日本の子どもを対象とした学級単位の社会的スキル訓練(SST)の効果について検討することであった。本研究から得られた結果は、以下のとおりである。(1)学級単位のSSTによる社会的スキル向上効果は大きい。(2)小学1〜3年生の児童に対して最も効果を示しやすい。(3)セッション数(5セッション以下、6セッション以上)による効果サイズの差異は見られない。(4)担任教師がSSTを実施することの明確な優位性は見られない。(5)セッション時間外の介入を行うことでSSTの効果が高まると明確には結論づけられない。(6)教師評定や仲間指名法においてSSTの効果が示されやすい。これらの結果を踏まえて、学級単位のSSTにおける今後の研究動向について展望が行われた。
著者
大桃 敏行 秋田 喜代美 村上 祐介 勝野 正章 牧野 篤 藤村 宣之 本田 由紀 浅井 幸子 北村 友人 小玉 重夫 恒吉 僚子 小国 喜弘 李 正連 植阪 友理 市川 伸一 福留 東土 新藤 浩伸 齋藤 兆史 藤江 康彦 両角 亜希子 高橋 史子 星野 崇宏 伊藤 秀樹 山本 清 吉良 直 星野 崇宏 伊藤 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本を含めて多くの国で多様化や競争、成果に対するアカウンタビリティを重視するガバナンス改革が行われてきた。また同時に、単なる知識や技能の習得からそれらを活用する力や課題解決力、コミュニケーション能力などの育成に向けた教育の質の転換の必要性に関する議論が展開されてきた。本研究の目的はガバナンス改革と教育の質保証との関係を検討しようとするものであり、成果志向の改革では、広い能力概念に基づく教育において評価がどこまでまたどのように用いられるのかが重要な課題となってきていることなどを示した。
著者
高橋 史朗
出版者
八戸工業大学
雑誌
八戸工業大学紀要 (ISSN:02871866)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.295-304, 2009-02
著者
高橋 史早
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.78-91, 2018-06-30 (Released:2018-12-14)
参考文献数
64
被引用文献数
1

従来のサービス・クオリティ研究は,主要なサービス品質測定尺度であるSERVQUALを中心として発展するとともに,サービス品質と顧客満足を仲介する知覚価値についても検討してきた。本研究は,知識的な知覚価値である教養の獲得に着目し,生涯学習施設におけるサービス品質や施設に対する総合的な評価との関係を検討する。すなわち,本研究の目的は,教養の獲得が利用者の総合評価に関係しているかを検証し,利用者の教養獲得がどのようなサービスによって促されているのかを解明することにある。公立美術館の利用者122名に対して実施した質問紙調査データを分析した結果,(1)教養の獲得は総合評価を高めること,(2)展示方法と従業員サービスの2つのサービス品質が教養の獲得を促すこと,(3)施設の快適性は総合評価を高めていることが明らかとなった。これらの発見事実は,理論的・実践的観点から検討された。
著者
高橋 史武
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.III_307-III_314, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
25

水銀はその毒性の高さから水俣条約(2015年)など国際的な規制が強化されつつある。水銀が環境へ排出される際の環境リスクを推定するには、水銀の環境動態をモデルシミュレーションし、最終的に水銀曝露量を求める必要がある。しかし環境動態モデルは多くのパラメータを必要とし、そのパラメータ値は環境に応じて数桁の範囲で変化する。本研究はパラメータ値の不確実性を統計分布解析によって定量化し、推定される水銀曝露量の不確実性を評価した。想定したモデルケースにおいて、モデルパラメータの不確実性のため水銀曝露量は8桁もの大きな変動幅を示した。魚介類の摂取量などの社会的条件よりも生物濃縮係数などの環境的条件に関わるパラメータが水銀曝露量に大きな影響を与えた。上記の不確実性を加味して水銀曝露量が耐容摂取量を超える確率を計算したところ、1.78%と評価できた。本手法は環境リスクの市民的理解を促す可能性がある。
著者
高橋 史人 山口 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.259-268, 1985-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
6
被引用文献数
1

The authors have made investigation into about five thousands men and women aged above twelve all over Japan in 1978,1980 and 1982 in order to find structures of food preference.The investigation was made by self-writing method to evaluate individual preference on about one hundred fifty kinds of dishes and foods, and thirty four kinds of strength of taste and type of textures. For preference on dishes and food, five-point scale was adopted. On the contrary, paired choice was adopted for strength of taste and type of texture.Two papers in terms of this study were already published. Main results of this paper are as follows.(1) The largest factor which affects food preference is age. And age characteristics have been analyzed by the common preference factors found in prior studies. Take teenagers for an example, their characteristics are dislike of “Japanese foods” and like of “Western and heavy foods”.(2) Area characteristics have been analyzed by the common preference factors. Take Kanto area for an example, its characteristics are “Western and spicy tastes”.(3) To find how food preference changes according to age, likes and dislikes of the common preference factors and of the forty-two foods composed of those factors were studied. For example, the foods of “Japanese” factor become prefered as age goes up, while the food of “Western” factor have the opposite tendency. The terning point of preference on the foods of “Japanese” factor is the thirties and that of “Western” factor is the forties.(4) The similarity among the area characteristics, of the food preference seen in the eight areas in Japan were found out. The food preference of Tohoku area is similar to that of Hokkaido, and so is Hokuriku to Tokai.
著者
高橋 史 大塚 明子 熊野 宏昭
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.23-33, 2012-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
3

本研究は、嚥下失敗を含む身体的症状および窒息恐怖を示す40代男性に対して、内潜的な認知的反応と嚥下の反応連鎖に関する行動分析に基づいて介入を行うことで改善をみた症例の報告である。行動分析の結果、本症例では、口腔内の食塊と窒息に関する認知的反応が同時に提示されることで嚥下失敗が生じ、嚥下失敗が回避行動を強化する結果事象となっている可能性が考えられた。そこで、嚥下中の認知的反応の妨害と、嚥下に伴う身体感覚の単独提示を行った。具体的な治療手続きとしては、飲食物を口に含んでから飲み込みがすむまでの身体感覚を言語的に記述し続けることで、「死ぬかもしれない」といった認知的反応の抑止を行った。介入の結果、症状の軽減が認められ、介入効果は1カ月後および3カ月後のフォローアップ期においても維持されていた。
著者
武部 匡也 岸田 広平 佐藤 美幸 高橋 史 佐藤 寛
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.169-179, 2017-09-30 (Released:2017-10-31)
参考文献数
28

本研究の目的は、児童青年期の感情としての怒りの測定に特化した子ども用怒り感情尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。小学4年生~中学3年生を対象に予備調査(n=101)および本調査(n=1,088)を実施した。その結果,1因子7項目の子ども用怒り感情尺度が作成され、「COSMIN」に基づいて検討したところ,十分な信頼性と部分的な妥当性が確認された。また,性別と発達段階で得点に差が認められ,男女ともに発達段階が上がるにつれて怒りを強く抱く傾向があること,そして,男子は女子に比べてその傾向が顕著であることが示唆された。さらに,項目反応理論による項目特性の分析では,子ども用怒り感情尺度は怒りを母平均よりも強く抱いている子どもに対して十分な測定精度を有していた。最後に,子ども用怒り感情尺度が怒りの認知行動療法に関する研究と実践の発展に貢献する可能性と本研究の限界,そして今後の課題が議論された。
著者
高橋 史生 田淵 香苗 坪井 美奈子 加藤 勲
出版者
日本酪農科学会
雑誌
酪農科学・食品の研究 (ISSN:03850218)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.A-107-A-112, 1995 (Released:2015-10-31)
参考文献数
12

紅茶浸出液が低温に保存されるとクリームダウン,あるいはクリーミングを生じる。その要因について,本研究は,特に紅茶浸出液に及ぼすカルシウムの影響を中心に検索した。1) カルシウム添加は,明らかにクリームダウンを促進した。その促進効果は,カルシウム濃度依存の傾向を示した。VC や EDTA は,カルシウム添加で生じる紅茶の濁度上昇の抑制効果を示した。2)タンニンとカフェイン各溶液にカルシウムを添加するとある範囲内で濁度の急上昇を認めた。3)カルシウム添加で人為的に作成して得たクリームダウンの沈降成分中のカルシウム濃度は経過時間と共に増大し,しかもカルシウム添加量の増加と共に各沈降成分中のカルシウム濃度が増大する傾向を示した。4) カルシウム添加でクリームダウンを生じさせた沈降物の形態は,球形以外に小桿状,あるいはダンベル型の結晶型も認めた。市販のミルクティーの沈降物中には,紅茶浸出液にカルシウムを添加しただけでは得られない典型的なダンベル型が多数認められた。
著者
佐藤 寛 高橋 史 松尾 雅 境泉 洋 嶋田 洋徳 陳峻 〓 貝谷 久宣 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-30, 2006-03-31 (Released:2019-04-06)

本研究では、問題解決能力を測定する尺度であるSocial Problem-Solving Inventory-Revised(SPSI-R)日本語版を作成し、信頼性と妥当性の検討を行った。一般対象者(大学生863名、平均年齢20.6±2.8歳:成人210名、平均年齢43.4±14.1歳)のデータについて確認的因子分析を行った結果、SPSI-R日本語版は原版と同様に「ポジティブな問題志向」「ネガティブな問題志向」「合理的問題解決」「衝動的/不注意型問題解決」「回避型問題解決」の5因子構造であることが示された。また、SPSI-R日本語版には十分な内的整合性と併存的妥当性、および中程度の再検査安定性が認められた。さらに、臨床対象者(46名、平均年齢35.1±9.4歳)は一般対象者に比べてポジティブな問題志向が低く、ネガティブな問題志向が高く、全般的な問題解決能力が低い傾向にあることが示唆された。