著者
西 香織 鈴木 慶夏
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.16, pp.131-148, 2018-03

本稿は、コミュニケーションの場での使用をめざす教育文法には、必要に応じて表現形式を適宜選択できるよう、これまで一つの学習項目として扱ってきた文法事項を分割、分散して提示することが有益であると主張するものである。本稿では陈・周(2005)、陈(2010)の案をもとに、主に前置詞“比”を用いる比較表現について、日本の大学で使用する中国語教材における初中級段階の文法事項の分割・分散化試案を提示する。
著者
鄧 紅
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.13, pp.55-80, 2015-03

「日本における儒教国教化論争について」の第二弾として、まず「福井再検討」以後の主な動向とみられる「渡邊2005」および「福井2005」の合評会部分を検証し、合評会の学術性の欠如を指摘する。そして渡邊「儒教国家論」について、五つの指標を中心にくわしく検証し、その内蔵したトリックを暴露し、論理学的錯繆を批判する。
著者
須藤 廣
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.187-199, 2014-03

東京ディズニーランドの文化やシステムは、虚構を虚構として消費するポストツーリズムの原型である。またそれらは、「他者性」へと向かう解放的な力と、「他者性」をコントーロールし抑圧する「柔軟な権力」の両義的な特徴を持っている。
著者
小林 浩明 安部 祥子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.16, pp.119-129, 2018-03

大学生活において英語サークル活動を積極的に行う大学生は、自主学習を行う「優れた言語学習者」と見られることが多い。しかし、サークル活動からの引退と同時に、英語学習もやめてしまう姿を見れば、彼らを「優れた学習者」と見ることに疑問が生じるであろう。本稿では、英語サークル活動を積極的に行っていた大学生の経験に耳を傾けながら、学習者オートノミーの観点から分析を行ったものである。その結果、サークル活動には長年の経験から培われた学習計画が存在し、それが固定化されることでメンバー一人ひとりが自身の英語学習を考えなくなり、学習者オートノミーが育てられていなかったことがわかった。そのため、サークルからの引退が英語学習をやめることに連動していた。
著者
印道 緑
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.15, pp.93-112, 2017-03

この論文では、初級日本語の授業において、教師が学習者の反応についてどのようなフィードバックを行っているかを明らかにすることを目的としている。90分の授業の様子をビデオに録画し、それを文字化した資料をもとに、学習者からの自発的言語行動 (learner initiatives) によって引き起こされた教師のフィードバック行動 (follow-up moves) を抜き出し、その機能を分析、分類した。語学の授業のインターアクションにおける特殊性は言語が教育の内容 (content) でもあり、また、教育の手段 (medium) でもあるという点である。一般的に語学の授業の談話 (discourse) においては、form-focused talk (文型や文法に焦点を当てた談話) とcontent/meaning-focused talk (意味や話大に焦点を当てた談話) の2つの形態が現れ、前者はnon-communicative talk、後者はcommunicative talkであるとされる。しかし、この論文ではこの2つを対立するものとしてではなく、互いに補完しあうものとしてとらえる。その上で、教師が学習者との対話を維持し、深めていくために、そのfollow-up movesがどのような役割を果たしているのかを探る。
著者
劉 暁華
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.11, pp.13-37, 2013-03

本稿では、「条件の必要性」、「結果出現の必然性」、「時間性」という三つの相関要素を抽出し、三次元座標系のX軸、Y軸、Z軸とし、言語主体の各相関要素への認識の変化を表す「度合い」という概念を取り入れ、「ば」「たら」「と」の三形式を中心に、日本語条件文の三次元空間モデルを構築してみた。一つの空間、二つの平面、三つの軸という視点から条件表現の空間にある点の意味用法の解釈と理解を検討してみた。
著者
五月女 律子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-17, 2016-03

本稿は、スウェーデンの安全保障防衛政策の特徴について、冷戦終結後を中心として安全保障・軍事の国際化の視点から分析を行う。第1節で冷戦期におけるスウェーデンの安全保障防衛政策の特徴を概観し、第2節で欧州共同体(EC)加盟を契機としてスウェーデンが「中立政策」から「軍事的非同盟政策」に転換した際に、安全保障と防衛を切り離したことを示す。第3節で冷戦終結後の国際的な平和活動(Peace Operations)や危機管理活動(CrisisManagement)の活発化に対する・・・
著者
下野 寿子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.14, pp.97-116, 2016-03

本稿は、近年の訪日ブームが日本の地域社会にどのような影響を与えるのかについて、福岡の状況ならびに熊本県を中心に考察し、地域社会が新たな段階の国際化に挑戦する上での課題を指摘する。初めに日本政府の観光立国戦略の経緯と訪日ブームの状況ならびにブームを牽引する要因について、ビザ発給要件の緩和と免税対象範囲拡大を中心に紹介する。次に、九州での訪日ブームの実態について、福岡一極集中型の構造を指摘しながら紹介する。・・
著者
板谷 俊生
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-11, 2007-03

中国の新劇は話劇という。話劇は1907年に清国留学生が日本東京で結成した劇団「春柳社」の旗揚げ公演からスタートした。 今年は中国話劇の誕生百周年に当たる。劇団「春柳社」の代表者の一人に李叔同という東京美術学校の留学生がいた。 来日前、彼は上海にいた。その頃の上海は学校演劇に火がついた時期、話劇の萌芽が生まれようとしていた時期であった。 本論では彼が東京に留学する前の上海の学校の状況や教育事情について検証した。
著者
清水 順子 小林 浩明
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.8, pp.53-62, 2010-03

本稿は学部留学生対象の読解授業の在り方を検討したものである。言語教育の分野で新たなパラダイムシフトが起こり、社会の構成員としての学習者の自律性が重要視されるようになっている。また、大学における学びも学習者の自律的かつ主体的な行動なしには成立しない。学習者オートノミーを育てながら読解力を養成するために、日本語の授業で何ができるのだろうか。そこで、個々の学習者が自律的にテキストに取り組むために個別対応型チュートリアルの授業を行い、一人一人の学びに対応することにした。さらに、従来の読解授業では、一斉授業方式で行われ、学習者の読みの結果のみを扱ってきたことが問題であった。そのため、個々の学習者の読みのプロセスを共有し、自己発見を促すためにピア・リーディングの授業を並行して行うこととした。ピア活動における他者は、学習者の「読んだつもり・わかったつもり」にゆさぶりをかける存在であり、対話という他者との相互作用によって新たな発見が起こり、テキストへの更なる理解をめざす。
著者
鄧 紅
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.13, pp.55-80, 2015-03

「日本における儒教国教化論争について」の第二弾として、まず「福井再検討」以後の主な動向とみられる「渡邊2005」および「福井2005」の合評会部分を検証し、合評会の学術性の欠如を指摘する。そして渡邊「儒教国家論」について、五つの指標を中心にくわしく検証し、その内蔵したトリックを暴露し、論理学的錯繆を批判する。
著者
石川 朋子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.163-185, 2014-03

本稿は、普通体基調会話教育の現状把握を目的として、日韓の日本語教科書の分析結果を報告するものである。分析の結果、日本の教科書の方が普通体基調会話をより多く提示していること、また、両国の日本語教科書の普通体基調会話に共通する問題のあることが明らかになった。現行の教科書を見る限り、普通体基調会話は断片的に扱われているに過ぎず、日本語教育においては普通体基調会話を体系的に学習者に示す必要がある。
著者
小尾 美千代
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.7, pp.83-102, 2009-03 (Released:2012-07-01)

米国では1970年代後期から企業別平均燃費(CAFE)基準を通じて自動車の燃費規制が行われてきたが、当初の10年間は燃費がかなり改善されたものの、その後は約20年もの間、基準はほとんど強化されず、実際の燃費も向上どころか逆に低下していった。そして、2005年の新エネルギー法を契機として、再びCAFE 基準の強化が重要な議題となり、2007年12月に成立した「エネルギー自給・安全保障法」によって、CAFE 基準は強化されることとなった。本稿では燃費規制の持つ多面的な機能に注目し、コンストラクティビズムの観点から政策アイディアとしてのCAFE をめぐる議論を分析することで、CAFE基準をめぐるこのような変化について解明することを目的とする。