著者
山﨑 勇治
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.8, pp.73-120, 2010-03

日清戦争後の清国賠償金をめぐる英・露・仏・独の壮絶な外債引き受け権獲得戦で英国の勝利に導いた清国総税務司ロバート・ハート。彼とイギリス本国の間で交わされた159回におよぶ秘密書簡と電報を紹介したものである。
著者
森 裕亮
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-18, 2017-03

この論文は、外国人の訪日旅行とアニメ聖地巡礼の関係、特にアニメ聖地巡礼がいかに訪日旅行の動機となるのか、その需要動向とアニメ聖地巡礼の特色を通じて、地域とツーリズムの観点からその展望を明らかにする。アニメ聖地巡礼は日本国内では流行語大賞候補となるほど注目されているが、各種データからは、外国人の訪日動機にアニメをあげる人はそれほど多くなく、需要も低下傾向にある。その意味で、アニメ聖地巡礼には訪日外国人数の面で期待することは難しい。ただし、地域とツーリズムという観点からは、一定層がファンとしてセグメントを形成している可能性からも、聖地巡礼を目指して日本にやってきたコアな外国人ファンと地域の人々とが交流し、訪日リピーターとして地域の人々とのネットワークを形成するという、量より質の局面を展望すべきである。
著者
蘇 小楠
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.13, pp.113-121, 2015-03

近年、日中近代語交渉に関する研究が盛んにされているものの、学術用語の生成についてまだ言及する余地がある。本稿では日中両国における近代訳語の発生及び相互の影響関係という日中語彙交渉の過程の時代区分をもとに、日中語彙交流史の見地から先行研究の問題点及び本研究で扱う範囲、位置づけを明らかにした。
著者
鄧 紅
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.103-126, 2014-03

この論文は、六節に分けて、日中両国における「儒教」、「国教」、「化」という概念を検討することを通じて、日本で四十年以上も続いてきた儒教国教化論争の歴史を回顧し、いわゆる「福井再検討」の問題点を指摘し批判するものである。
著者
濱野 健
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.11, pp.77-98, 2013-03

近年国内外で大きな社会問題としてとりあげられている、国際結婚の破綻とその後の子どもの養育や面会交流といった問題、とくに日本の「ハーグ条約」加盟問題をとりあげている記事を対象とし、メディア・フレーム分析を試みた。2013年初頭までに国内の主要全国紙で掲載された該当記事を分析対象とし、その報道フレームの時系列的な変化だけではなく、類型化した四つのそれぞれのフレームの相互参照関係についても注目した。
著者
任 章
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-20, 2015-03

米国会計学会『基礎的監査概念』(ASOBAC, 1973)は、現代の監査概念形成に関りマウツ=シャラフ『監査哲学』(1961)の貢献が多大であると認めている。マウツらが監査証拠の属性に見出していた要素と、彼らが用いた接近法は、畢竟、米国20世紀初頭に興隆した実用主義基盤の分析哲学観の応用であった。本稿の目的は、監査概念基盤に対して現代哲学が強く影響した可能性について論究することにある。本稿にては殊に、嘗てマテシッチ(2008, 序言)が言及していた視座、なかんずく「会計史は哲学史に相似性を有する。それはドクトリンかつ方法論の歴史であり、財務上のリアリティーを実用主義的に表現する方法の一つである」、に依拠し、監査概念基盤への分析哲学の浸透過程を探る。以って筆者は、会計とは事実的記録に過ぎず、監査とは報告数字の単なる検証に留まるという、根深い、軽薄な社会的妄信の打破に努める。
著者
石川 朋子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.163-185, 2014-03

本稿は、普通体基調会話教育の現状把握を目的として、日韓の日本語教科書の分析結果を報告するものである。分析の結果、日本の教科書の方が普通体基調会話をより多く提示していること、また、両国の日本語教科書の普通体基調会話に共通する問題のあることが明らかになった。現行の教科書を見る限り、普通体基調会話は断片的に扱われているに過ぎず、日本語教育においては普通体基調会話を体系的に学習者に示す必要がある。
著者
山本 直
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.35-56, 2014-03

EUの多数決制度は、その前身共同体が発足した1950年当初に導入された。意思決定に唯一関与できる政府間機関における多数決であったために、導入に際しては国家間で種種の議論があった。1960年代以降には、この制度を形がい化する試みや票決で敗れることへの動揺もみられた。しかしながら、多数決制は存続し、加盟国が「譲りあう」政治が定着しつつある。
著者
中井 遼
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.18, pp.43-72, 2020-03

欧州における右翼政党台頭や反移民態度の問題は2010年代後半の欧州政治の一つの重大トピックとなっている。右翼政党支持や反移民態度の規程要因については,これまでも多くの先行研究が知見を蓄積してきた。しかし,欧州難民危機以降の社会状況でも同様の要因が有効であるかは明らかではない。2019年に二つの欧州大の世論調査の先行公開データがリリースされ(特に欧州価値観調査[EVS]はおよそ10年ぶりの更新),2010年代後半のデータによる分析が可能となった。そこで本稿ではこれら2つの世論調査先行リリースデータを用い,近年の欧州における右翼政党支持や反移民態度などの排外主義態度の規定要因を分析する。分析結果は,主に次の3点を明らかにした。1)右翼政党支持は,移民による自国文化・治安への侵蝕といった社会文化的態度と欧州統合への反感によって規定されており,ジャーナリスティックに論じられがちな社会経済的弱者による反発という見解に実証的根拠は存在しない;2)移民による自国文化・治安への侵蝕の懸念は,欧州統合への反発と学歴が主たる規定要因となっており,国によっては自国政治への不信・不満が追加要因となっている;3)右翼政党支持・移民文化侵蝕懸念・欧州統合反対のトライアングル構造は西欧主要国においては盤石なものの,必ずしも欧州全体で支配的なパターンではない。これらの結果は,ポスト難民危機期の欧州における排外主義分析にリテラチュアが有効であること,ならびに,社会経済的な「上か下か」のみに着目していては欧州における排外主義台頭の背景を分析できずより多様な政治意識への考慮が必要であることを示す。その際,さらに多様で包括的な排外主義構造の理解のために,少数の西欧主要国にとどまらない分析・研究が必要であることが示唆される。
著者
鄧 紅
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.13, pp.55-80, 2015-03

「日本における儒教国教化論争について」の第二弾として、まず「福井再検討」以後の主な動向とみられる「渡邊2005」および「福井2005」の合評会部分を検証し、合評会の学術性の欠如を指摘する。そして渡邊「儒教国家論」について、五つの指標を中心にくわしく検証し、その内蔵したトリックを暴露し、論理学的錯繆を批判する。
著者
須藤 廣
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.187-199, 2014-03

東京ディズニーランドの文化やシステムは、虚構を虚構として消費するポストツーリズムの原型である。またそれらは、「他者性」へと向かう解放的な力と、「他者性」をコントーロールし抑圧する「柔軟な権力」の両義的な特徴を持っている。
著者
五月女 律子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-17, 2016-03

本稿は、スウェーデンの安全保障防衛政策の特徴について、冷戦終結後を中心として安全保障・軍事の国際化の視点から分析を行う。第1節で冷戦期におけるスウェーデンの安全保障防衛政策の特徴を概観し、第2節で欧州共同体(EC)加盟を契機としてスウェーデンが「中立政策」から「軍事的非同盟政策」に転換した際に、安全保障と防衛を切り離したことを示す。第3節で冷戦終結後の国際的な平和活動(Peace Operations)や危機管理活動(CrisisManagement)の活発化に対する・・・
著者
清水 順子 小林 浩明
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.8, pp.53-62, 2010-03

本稿は学部留学生対象の読解授業の在り方を検討したものである。言語教育の分野で新たなパラダイムシフトが起こり、社会の構成員としての学習者の自律性が重要視されるようになっている。また、大学における学びも学習者の自律的かつ主体的な行動なしには成立しない。学習者オートノミーを育てながら読解力を養成するために、日本語の授業で何ができるのだろうか。そこで、個々の学習者が自律的にテキストに取り組むために個別対応型チュートリアルの授業を行い、一人一人の学びに対応することにした。さらに、従来の読解授業では、一斉授業方式で行われ、学習者の読みの結果のみを扱ってきたことが問題であった。そのため、個々の学習者の読みのプロセスを共有し、自己発見を促すためにピア・リーディングの授業を並行して行うこととした。ピア活動における他者は、学習者の「読んだつもり・わかったつもり」にゆさぶりをかける存在であり、対話という他者との相互作用によって新たな発見が起こり、テキストへの更なる理解をめざす。
著者
石川 朋子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.163-185, 2014-03

本稿は、普通体基調会話教育の現状把握を目的として、日韓の日本語教科書の分析結果を報告するものである。分析の結果、日本の教科書の方が普通体基調会話をより多く提示していること、また、両国の日本語教科書の普通体基調会話に共通する問題のあることが明らかになった。現行の教科書を見る限り、普通体基調会話は断片的に扱われているに過ぎず、日本語教育においては普通体基調会話を体系的に学習者に示す必要がある。
著者
小尾 美千代
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.7, pp.83-102, 2009-03 (Released:2012-07-01)

米国では1970年代後期から企業別平均燃費(CAFE)基準を通じて自動車の燃費規制が行われてきたが、当初の10年間は燃費がかなり改善されたものの、その後は約20年もの間、基準はほとんど強化されず、実際の燃費も向上どころか逆に低下していった。そして、2005年の新エネルギー法を契機として、再びCAFE 基準の強化が重要な議題となり、2007年12月に成立した「エネルギー自給・安全保障法」によって、CAFE 基準は強化されることとなった。本稿では燃費規制の持つ多面的な機能に注目し、コンストラクティビズムの観点から政策アイディアとしてのCAFE をめぐる議論を分析することで、CAFE基準をめぐるこのような変化について解明することを目的とする。