著者
猪原 健弘
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.204-211, 2013-04-01
参考文献数
27

コンフリクト解決のためのグラフモデル(GMCR: The Graph Model for Conflict Resolution)の枠組を扱う.GMCRの枠組の特徴である「状態変化の不可逆性」や「状態の実現可能性」の明示的な取り扱いについて,ゲーム理論の代表的モデルである標準形ゲームと比較しながら述べる.また,GMCRの「標準的な分析方法」と「提携分析の方法」で用いられる安定性概念を,それぞれ4つ紹介する.さらに,安定性概念の適用例や安定性概念間の相互関係についての基礎的な知見を紹介する.
著者
松井 知己 平賀 智紀
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.219-223, 2013-04-01

本稿では,サッカーチームの強さに対し,Analytic Network Process (ANP)を用いた分析を行う.ANPを用いた分析では,分析に用いる項目間の関係を考慮に入れることにより,項目別の強さの推定が可能となる.提案モデルを実際のスポーツデータに用いた際の結果についても報告を行う.
著者
宇野 裕之
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.308-314, 2012-06-01
参考文献数
29

検索エンジンがウェブページにその重要度を与えるランキングの基礎技術について解説する.とくにウェブページのリンク構造に基づき,現在の高性能な検索エンジンのランキング手法の先駆や原型となっているHITSとPageRankのアイデアを紹介する.そのうえで,いくつかの発展的な話題を取り上げ,ランキング技術の現状を理解する.
著者
鈴木 良介
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.659-665, 2012-12-01
参考文献数
2

2011年以降,情報・通信業界にとどまらぬ広範な事業者により「ビッグデータ」への注目が高まっている.これは,事業における付加価値の向上や,社会システムのより効率的な運用への活用が期待されるためである.ビッグデータとはどのようなものであり,なぜこのタイミングで注目されるに至ったのだろうか.国内外の先鋭的な事例を通じて,事業の革新に向けて,ビッグデータをどのように活用していくべきであるのか検討する
著者
垣村 尚徳
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.21-26, 2011-01-01
参考文献数
20

組合せ的行列理論とその数理計画への応用を紹介する.組合せ的行列理論とは,行列の要素が零か非零かなどの組合せ的な情報を利用して解析を行う理論である.このような理論は工学に現れる大規模疎行列を扱う際に有用である.本稿では行列要素の符号に着目する定性的行列理論に焦点を当て,その線形計画と線形相補性問題への応用を述べる.
著者
古関 聰 佐藤 直人
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.325-330, 2011-06-01

高速ネットワーク環境の普及にともない,現在,社会の様々な場面においてデータの大規模な収集・蓄積が進んでおり,これを解析することで有用な情報を抽出したいという機運が高まっている.このための計算基盤として,並列分散計算の仕組みであるHadoopが有望視されており,実際にHadoopを活用した事例もいくつか報告されている.しかし,Hadoopの提供するMapReduceフレームワークは比較的低レベルな仕組みであり,データ解析利用にはプログラムの特別な設計が必要であることから,Hadoopをデータ解析に活用するためのプログラミング・モデルやツールが求められている.本稿では,このようなHadoop上でのデータ解析をとりまく状況を概観し,Hadoopとデータ解析アプリケーションとの間のギャップがどのように埋められようとしているかについて解説を試みる.
著者
池田 俊也
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.353-358, 2003-05-01
参考文献数
6

複数の医療技術について,その費用と効果の比較を行う医療経済評価では,モデル分析が必要となる場合が多い.なぜなら,対象としている医療技術が健康結果や資源消費に影響を及ぼす期間が長期にわたる場合には,期間全体でかかる費用とその効果を実際に測定することが困難であり,シミュレーションなどによる分析が必要とされるからである.本稿では,医療経済評価におけるモデル分析の必要性とその種類について概説し,さらに糖尿病を例に医療経済評価のためのリスクシミュレーションモデルを取り上げる.
著者
大山 達雄 三和 雅史
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.569-575, 2008-10-01
参考文献数
5

鉄道は他の輸送手段に比べて安全性において優れているとされているが,まれに発生する大事故が与える社会的不安,損失は極めて大きいことから,安全な輸送を安定して確保するための安全性向上戦略を科学的に検証し,効率的な安全性向上策を検討することは重要である,一方,多くの死傷者をもたらす自然災害についても,その発生および被害データを統計的な観点から眺め,科学的に考察した上で安全性の向上に結びつけることも重要である.本稿では,わが国において発生した鉄道重大事故と自然災害に関する統計データ解析を実施し,発生傾向,原因,被害状況を把握した上で,有効な安全性向上策を検討する.
著者
後川 隆文
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.149-154, 2006-03-01

八幡製鐵所と自動車会社間における鋼材の納入指示から納品に至る業務にSCM(サプライチェーンマネジメント)を適用した業務システムを導入した.その適用に当って,(1)サプライヤーとユーザー双方の業務実態を調査し,(2)従来業務が抱える問題点や課題を抽出し,双方の業務効率化(デメリット排除)を達成出来る新業務モデルを考案し,(3)最適化技法やシミュレーション予測などを適用すると共に,(4)IT活用による情報連携を強化し相互メリットを享受出来る仕組みを実現した.この業務システム導入のいきさつおよび取組み事例などについて紹介する.
著者
寺野 隆雄
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.661-666, 2008-12-01
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿では,エージェント指向の社会シミュレーションの新しい手法として,複雑二重ネットワークモデルの概念を紹介する.複雑二重ネットワークモデルでは,個々の個体のもつ知識をエージェント内のネットワークで表現し,個体間の関係を社会ネットワークで表現する.これによって,社会ネットワーク上のエージェント間のインタラクションから生ずる個々のエージェント内の知識の変化ならびに社会ネットワークそのものの変化を動的に分析し,新しい知見を得ようとする.本稿では,最近の研究成果の例として貨幣概念の創発メカニズムの分析を述べるとともに,このような研究アプローチの今後について考察する.
著者
工藤 拓
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.719-724, 2007-11-01
参考文献数
6

単語や文節,係り受け関係といった特定の言語パターンの頻度を数え個々の表現の分布を調査することは,自然言語処理でもっとも基本的な処理であることは疑いの余地はなく,その応用範囲は多岐にわたる.処理の内容はいたって単純であるが,大規模データを扱えるようアルゴリズムのスケーラビリティーを確保することは容易ではない.本稿では,頻出言語パターンマイニングアルゴリズムを概観するとともに,マイニングアルゴリズムを応用した機械学習手法について紹介する.