著者
猪原 健弘
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2011年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.42, 2011 (Released:2011-12-01)

社会ネットワークの安定性概念としてハイダーの安定性とニューカムの安定性を取り上げ、それぞれから導かれる社会ネットワークの構造から、社会ネットワークの中での情報伝播の範囲について論じる。特に、ハイダーの安定性が達成されている社会ネットワークにおいてよりも、ニューカムの安定性が達成されている社会ネットワークにおいての方が、社会ネットワークの全範囲に伝播する情報が存在する傾向が高いことを示す。
著者
平野 充 村井 源 猪原 健弘
雑誌
じんもんこん2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.101-106, 2014-12-06

モーツァルトの器楽作品における主要なジャンルとして,弦楽器各声部を1 人で演奏する室内楽曲と弦楽器各声部を複数人で演奏するオーケストラ曲の2 つがある.本稿では,従来の人文学的研究において未定義であった“室内楽らしさ”と“オーケストラらしさ”を示す量的指標を提案し,多変量解析等の統計学的分析を用いて指標の妥当性を探る.指標として,自声部が他のすべての他声部と異なる状態にある頻度を示す“独立性”を考案し,これを音楽の3 要素と言われるリズム・メロディー・ハーモニーの3 項目について測定する.測定には筆者が開発したコンピュータープログラムを用いる.得られたデータに基づいて因子分析を行なった.
著者
山嵜 輝 猪原 健弘 中野 文平
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.286-301, 1999
参考文献数
7
被引用文献数
1

党派が形成されるような社会集団での投票による意思決定状況は, 従来, 協力ゲームの特別な形であるシンプルゲームで記述され, 社会選択へのゲーム理論的アプローチとして様々な研究がされてきた. 本論文では, 今まで考慮されてこなかった「意思決定主体の意見の柔軟性」を扱うために「投票者の許容範囲」という概念をシンプルゲームの枠組に導入し, また, 「意見調整ゲーム」や「敗因分析ゲーム」という, 投票状況の新たなモデルを用いることで, 「意思決定主体の意見の柔軟性」が意思決定に与える影響を調べる. 分析の結果, 1)従来のシンプルゲームを用いたモデルは, 本論文で提案する「意見調整ゲーム」の特別な形であること, 2)直接の投票では決定が得られない場面でも, 調整可能な意見が存在しうること, 3)複数の党派の意見の相違は十分な情報交換を行うことで解消できること, そして特に, 4)シンプルゲームの解概念として提案されているコアと決定案の間には「シンプルゲームのコアは各意思決定主体が後悔のない許容範囲を取ったときの安定した代替案の集合である」という関係が成立すること, が明らかになる.
著者
猪原 健弘
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.204-211, 2013-04-01
参考文献数
27

コンフリクト解決のためのグラフモデル(GMCR: The Graph Model for Conflict Resolution)の枠組を扱う.GMCRの枠組の特徴である「状態変化の不可逆性」や「状態の実現可能性」の明示的な取り扱いについて,ゲーム理論の代表的モデルである標準形ゲームと比較しながら述べる.また,GMCRの「標準的な分析方法」と「提携分析の方法」で用いられる安定性概念を,それぞれ4つ紹介する.さらに,安定性概念の適用例や安定性概念間の相互関係についての基礎的な知見を紹介する.
著者
猪原 健弘 木嶋 恭一 出口 弘 今田 高俊 桑子 敏雄 蟹江 憲史 金子 宏直 中丸 麻由子
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、人文学、社会科学、理学、工学を横断するアプローチにより、参加型合意形成メカニズムについての理論・方法・実践に関する知識体系を整備した。特に、(1)合理的な主体の集団の中に協力が生まれるメカニズムを、コンピュータ・シミュレーションを用いて解明した。(2)合意と合意形成が満足するさまざまな性質、特に、合意の達成のされやすさや、合意の崩れにくさについての理論的成果を集約し、可視化した。(3)合意形成の支援のモデルを構築した。という3点が研究成果として得られた。