著者
武田 植人 栗原 毅 鈴木 猛 佐々 学 三浦 昭子 松本 克彦 田中 英文
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.31-35, 1962
被引用文献数
7

1961年7月より10月までの間, 横浜市鶴見区師岡町付近で未吸血の蚊が炭酸ガスに多数集まつて来ることを利用してドライアイスと蚊張を用いたトラップを作り, 捕集される蚊について検討した.7月28日にはドライアイスの消費量が100g〜550gである蚊張に午後6時から9時までの3時間のあいだ3, 000〜8, 000の雌成虫を捕集することが出来た.侵入口の方向が発生源の反対側の方向および風下であると, より効果的に捕集することが出来, 多少の風力および蚊張の配置場所には著明な差が認められなかつた.ドライアイスとヤギおよびニワトリを入れた蚊張に集まる蚊の数はドライアイス>ヤギ>ニワトリとなり, 動物誘引法およびライトトラップ法に比べてドライアイストラップ法ははるかに効果的であつた.ドライアイスに集まる蚊の日週活動を8月4日から9月6日に至る間, 午後6時から翌朝午前6時まで一時間毎に採集し観察した結果, 午後7時から8時までに侵入数が最高となり以後漸次減少するが午前4時〜5時まで侵入は続いた.蚊の種類別による日週活動の差はあまり著明ではなかつた.
著者
佐々 学 西野 麻知子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.317-322, 1996
被引用文献数
3

琵琶湖に発生するユスリカ科Chironomidaeの昆虫については既に佐々, 河合(1987)の年間にわたる調査, および佐々, 西野(1995)の冬期における調査が報告されているが, 今回は年間において最も寒い時期における1995年2月8日の昼間に琵琶湖の南湖の岸2カ所と北湖の岸3カ所で, 捕虫網と吸虫管を用いユスリカの成虫を採集し, かつ湖岸の水面に浮かんでいる成虫, 蛹を拾いあげて, ガムクローラル封入標本として同定を行った。合計して76個体の雄標本が得られ, それらはBiwatendipes motoharui Tokunagaが60,Hydrobaenus biwaquartus Sasa et Kawaiが5,Orthocladius biwaniger Sasa et Kawaiが1,Smittia aterrima (Meigen)が3,Smittia nudipennis (Goetghebuer)が3の既知種に加えて, 今回Biwatendipes biwamosaicus sp. nov。と命名した雄が3個体, およびHydrobaenus biwagrandis sp. nov.と命名した雄が1個体であった。ここに両新種の雄の記載を行った。前者はハネや脚の構造はBiwatendipes属の特徴に一致するが, 触角の構造はユスリカの雌のそれに似た極めて特異な形態を示し, かつハネが異常に幅広い。後者は日本産の本属のうち特にH. togaundecimus (Sasa et Okazawa)に近い形態を示しているが, それより体がはるかに大きく, ARやP/Hの値が大で, SO, CL, PN, などの毛の数も2倍以上, かつ生殖器の形態にも差があって, 明らかに別種とみなされる。
著者
佐々 学
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.139-149, 1953-04-30 (Released:2011-06-17)
参考文献数
41
著者
田中 伸久 小林 貞 田中 英文 佐々 学 萱原 伊智郎 山口 安宣 林 治稔 小澤 邦寿
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-5, 2004-04-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

群馬県内において,ユスリカ幼虫が上水道給水栓から発見される苦情事例が発生した.ユスリカは,ヨシムラツヤユスリカおよびハモンユスリカ属の幼虫であり,これらは浄水場内でも確認されたことから,浄水場内のユスリカ幼虫が給水栓に達したものと推測された.また,前塩素濃度を上げる,凝集剤 (PAC) を多めに入れる,濾過機の逆洗回数を増やす,清掃を行うなどの積極的かつ厳重な管理によって,このような事例は防ぎうることが示唆された.
著者
佐々 学 長谷川 英男
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.305-341, 1983
被引用文献数
6 16

琉球列島の淡水域に住むユスリカについてはこれまでまったく報告がなかった。著者らは1981年12月から翌年2月にかけて, 沖繩本島, 宮古群島(池間島を含む), 石垣島の家庭ないし畜舎排水を受ける川と, 養鰻池, 溜池, エビ養殖池などを主たる対象として, これらに発生するユスリカの種類を調べた。Table 1に示す各採集地点では, 空中を群飛する成虫や発生源の近くの草むらなどに休息する成虫を捕虫網で集めることと, 幼虫の生息する水底の泥や草などを採集して研究室にもちかえり, これを水槽に入れて通気し, 成虫を羽化させたうえで標本とするという方法を併用した。この報告にはChironominae亜科のChironomini族に属する種だけについて, その同定, 分布, 形態の記載をまとめたものであるが, この族のみでも26種が区別され, うち17種は沖繩本島より, 14種は石垣島より, 13種は宮古群島より採集された。これらのうち養鰻池など富栄養化のすすんだたまり水からは13種, 下水のまざった流水からは9種(うち5種は前者と共通種), 下水のまざらない湧水や山間の渓流などからは7種(前者と共通種なし), 水の清浄な上水道の濾過池より2種, エビ養殖池をあふれた海水の溝より1種で, これら水域の水質とユスリカ各種の分布にきわめて特異的な相関がみられた。こりら26種のうち, 18種はその形態がすでにタイ, 台湾, 韓国, インドネシア, 日本本土などから報告された種の記載と一致ないし類似するため, 既知種として同定したが, 残り8種についてはその学名を保留した。今回琉球列島から見いだされた本族のユスリカには, 台湾等から報告された珍奇な構造をもつ諸種も含まれていた。しかし, 日本本土の下水溝などに圧倒的な優占種として発生しているChironomus yoshimatsui Martin et Sublette, 1972が1匹も採集されず, その代りに同じような環境の下水溝にChironomus属等の他の数種が混生していたことが注目される。
著者
河合 幸一郎 佐々 学
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.15-24, 1985-01-30 (Released:2009-11-13)
参考文献数
28
被引用文献数
2 5

The distribution of the chironomid larvae in the Ohta River, Hiroshima Prefecture, was studied at 12 stations covering almost the entire length of the stream by the method in which male adults emerging from bottom samples were identified.As a result, a total of 97 species was recorded, at least 12 of which are regarded as new species.Seven of these new species belonging to 5 genera, i.e., Cricotopus, Microtendipes, Polypedilum, Rheotanytarsus and Tanytarsus were described. In addition, brief comments were made on the larval habitats of 3 of these species.
著者
武田 植人 栗原 毅 鈴木 猛 佐々 学 三浦 昭子 松本 克彦 田中 英文
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.31-35, 1962-04-05 (Released:2016-09-05)
被引用文献数
2 7

1961年7月より10月までの間, 横浜市鶴見区師岡町付近で未吸血の蚊が炭酸ガスに多数集まつて来ることを利用してドライアイスと蚊張を用いたトラップを作り, 捕集される蚊について検討した.7月28日にはドライアイスの消費量が100g〜550gである蚊張に午後6時から9時までの3時間のあいだ3, 000〜8, 000の雌成虫を捕集することが出来た.侵入口の方向が発生源の反対側の方向および風下であると, より効果的に捕集することが出来, 多少の風力および蚊張の配置場所には著明な差が認められなかつた.ドライアイスとヤギおよびニワトリを入れた蚊張に集まる蚊の数はドライアイス>ヤギ>ニワトリとなり, 動物誘引法およびライトトラップ法に比べてドライアイストラップ法ははるかに効果的であつた.ドライアイスに集まる蚊の日週活動を8月4日から9月6日に至る間, 午後6時から翌朝午前6時まで一時間毎に採集し観察した結果, 午後7時から8時までに侵入数が最高となり以後漸次減少するが午前4時〜5時まで侵入は続いた.蚊の種類別による日週活動の差はあまり著明ではなかつた.
著者
水上 陽真 渡辺 弘之 五十嵐 隆夫 村上 巧啓 佐々 学 河合 幸一郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.287-291, 1986-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
7

19歳の女性銀行員にみられたユスリカ喘息の一例を報告した. 患者は富山県東部の黒部川河口付近の純農村地帯に居住している. 耕地は殆んど水田であるが, 同地では毎年, 決って6月中旬にユスリカの成虫が群飛する. 患者は3年前より同時期にユスリカ成虫が眼に入り, 著明な眼険浮腫, 結膜充血をきたすエピソードを数回経験していた. 1985年6月17日, ジョギング中, 空中を飛んでいる虫の一群の中を走りぬけた際, その虫を気管内に吸いこみ, 約30分後, 著明な呼吸困難, 喘鳴, チャノーゼを呈して救急入院した. 入院後, 気管支拡張剤, 副腎皮質ホルモンの投与にて症状は改善した. この場所に群飛していた虫は Tanytarsus oyamai オウヤマチビユスリカと同定された. 同ユスリカより抗原液を作製し, 皮膚テスト, RAST, 吸入誘発試験を施行した. これらのアレルギー学的検査はいずれも陽性であり, ユスリカを抗原とする気管支喘息であることが確認された.
著者
田中 伸久 小林 貞 田中 英文 佐々 学 萱原 伊智郎 山口 安宣 林 治稔 小澤 邦寿
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-5, 2004
参考文献数
12
被引用文献数
1

群馬県内において,ユスリカ幼虫が上水道給水栓から発見される苦情事例が発生した.ユスリカは,ヨシムラツヤユスリカおよびハモンユスリカ属の幼虫であり,これらは浄水場内でも確認されたことから,浄水場内のユスリカ幼虫が給水栓に達したものと推測された.また,前塩素濃度を上げる,凝集剤 (PAC) を多めに入れる,濾過機の逆洗回数を増やす,清掃を行うなどの積極的かつ厳重な管理によって,このような事例は防ぎうることが示唆された.
著者
田中 寛 佐々 学 上野 庸治
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.137-140, 1955-09-30 (Released:2016-09-04)

八丈島のある地域において人が近づくと岩の突端などに無数のタテツツガムシ幼虫が現われてくるという現象が上野により見出されたが, その機構について一連の実験を行つた結果, 刺戟されない状態においてはこの虫が頂点に近い日陰で集落を作つて待機しており, 人, 鼡, 鳥などの宿主が近づくとこれを空気中の炭酸ガスの増加で感知して興奮し, 頂点にむらがつて寄生の機会を握むということが明らかになつた.本研究によつて, 当初想像された音, 光, 輻射熱, 湿度などの物理的な要因は刺戟とならず, 主として宿主の呼気にふくまれる物質が興奮を起すことが分り, 更に炭酸ガスがその主要因であることが解明された.
著者
栗原 毅 秦 和寿 佐々 学
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.83-88, 1973

Four tanks, labeled A, B, C, and D, containing 750 liters of water, were placed outdoors near the laboratory. Breeding of Culex pipiens pallens was found in each tank in early June, 1972. Twenty guppies, or 10 mature pairs, were introduced in two of the tanks, B and C, on 9 June 1972. Tank B was then treated with fenitrothion 1ppm, tank C remained untreated. Tank D was treated with fenitrothion 1ppm on the same day, and tank A, the control tank, received neither guppies nor fenitrothion. The observation for each tank was conducted using a ladle to count the larvae and pupae densities every two or three days. Also counts of total number of egg rafts on the water surface were made on the same day. These observations were made until the end of September. According to the results, the larvae and pupae dramatically disappeared on the fourth day after fenitrothion treatment in both tanks B and D. In the case of tank D, the chemical treatment had to be repeated five times during a two-month period due to the outbreak of larvae every 10 or 20 days. Tank B, however, received no additional chemical treatment after the initial treatment because of the presences of the guppies. A number of pupae was observed for three weeks after introduction of guppies to tank C, but all pupae had disappeared by the end of this period. More than 100 rafts a day of oviposition were observed in tanks A and D. However, no rafts were recognized from tanks B and C, except for very few days during the peak time of oviposition activity of mid-summer. As Part II of the present report series showed, these egg rafts were eaten by guppies in each tank. Thus, in tanks B and C no adult mosquitoes emerged throughout the summer season.
著者
栗原 毅 佐々 学
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.41-48, 1965
被引用文献数
1

バンコク市でネッタイイエカの吸血, 休止などの行動について観察し興味ある知見を得た.当市の蚊の人吸血行動は屋内外でとも午前1〜3時をピークとする夜間攻撃性を示し, 屋内では屋外よりもその数が多い.これらの傾向は, 産卵経歴の有無に関わらずみられた.また攻撃蚊雌は3, 737匹を解剖して4匹以外はIb期であつた.休止蚊は屋内, 家畜舎内, 水ガメ内などにみられ, それぞれの休止蚊群の濾胞発育段階構成比は少しく相違を示した.また, box trapと水がめによつて侵入脱出の状態を観察した所, 共に早朝に侵入, 夕刻に脱出をし, またこれは雌雄の別, 濾胞発育段階の別に特に関係なく認められた.
著者
村主 節雄 原田 正和 佐々 学 石井 明 板野 一男 松岡 裕之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.33-39, 1989
被引用文献数
3 4

岡山県の児島湖において, ライトトラップによるユスリカ科昆虫についての調査を行った。まず1985年7月8日より9日に5カ所において予備調査を行った。その結果, 好適地点を決め, 1985年7月より1986年12月までの周年調査を行った。各月の平均採集数の年間合計は41,669匹(雄15,795匹;雌25,874匹)であった。15属21種のユスリカが採集され, 主要種およびその採集数はそれぞれ, Polypedilum arundinetum (14,254), Parachironomus arcuatus (5,234), Microchironomus ishii (4,622), Tanytarsus oyamai (4,057), Chironomus kiiensis (3,004), Tanypus punctipennis (2,490), Pentapedilum tigrinum (2,349), Polypedilum masudai (1,577), Polypedilum nubifer (980), Dicrotendipes niveicaudus (962), Cricotopus sylvestris (936), and Tokunaga-yusurika akamusi (526)であった。多くの成虫は6∿9月に採集されたが, 冬期に採集される数種, さらに春と秋に発生数が2峰を示すLimnophyes hudsoniがみられた。