著者
榊 剛史 鳥海 不二夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.2C201, 2018 (Released:2018-07-30)

フェイクニュースや炎上,エコチェンバー現象など,近年は個人による情報発信における負の側面が注目されている.我々は,それらの現象を引き起こす原因の一つとして,ソーシャルポルノという仮説を提案する.ソーシャルポルノとは,「特定のコミュニティに属するユーザが、脊髄反射的に拡散・共有してしまいたくなる情報」を意味する. 本論文では,ソーシャルポルノの観測を行う前段階として,ユーザ反応時間という尺度を定義し,いくつかのツイートについて,ユーザ反応時間分布の違いを考察した.結果として,特定のコミュニティのユーザが拡散する投稿とランダム抽出した投稿には,ユーザ反応時間の分布に違いが生じる可能性が示唆された.
著者
保住 純 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1K2OS2b03, 2018 (Released:2018-07-30)

本研究では深層敵対的生成ネットワークを用いたマンガイラスト(1コマ分に相当する画像)の自動生成を試みる.近年,深層学習を用いて自動的に画像を生成する研究が数多く行われてきたが,その際に用いられるモデルの一つに敵対的生成モデルがあり,高品質な画像を生成するための様々な手法が提案されてきた.ただし,これら研究の多くが検証に用いるデータセットは情報量が多い写真画像を対象としたものとなっているため,主にモノクロの線画によって構成され,かつ様々なシーンが描画されるマンガイラストに対してはこれらが適切とは言えない可能性がある.一方で,イラストを敵対的生成ネットワーク(GAN)によって自動生成する研究や,マンガを対象として人工知能を用いる研究も従来より数多く行われているが,マンガイラストを直接生成しようとする試みは,あまり行われていなかった.そこで,本研究では深層敵対的生成ネットワークを用いたマンガイラストの自動生成実験を,使用する層の数や損失関数を変更することで複数回行い,その結果を考察する.本研究にて得られる示唆は,人工知能によるマンガの自動生成を研究していく上で有益なものになると考えられる.
著者
赤坂 亮太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1F2OS5a03, 2018 (Released:2018-07-30)

自律的なAIの発展にともない、AIが原因となる何らかの問題が生じた際に関係する個人に結果について予見可能性を観念することが困難になってきており、またその行動のアルゴリズムが人間には理解できずブラックボックス化している。そのような状況において、今日の法制度では関係する個人に責任を観念することが難しく、被害者が救済されないなどの問題がある。その解決策の一つとして、AIに法的責任を観念できる法的主体性をもたせて、直接責任を負わせようという考え方がある。 本報告においては、我が国の不法行為法と不法行為責任に焦点を絞り、上記のアイデアが不法行為法の目的や機能を満足させることができるか検討した。検討の結果、十分に満足させることは難しく、むしろ既存の無過失責任制度や無過失補償制度を応用することが問題解決としては適しているとの考えに至った。
著者
鈴木 凱亜 大知 正直 榊 剛史 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1B302, 2018 (Released:2018-07-30)

ソーシャルメディア上でユーザのコミュニティが形成・発展する背景には,ユーザ同士の性格的な相性が関わっていると思われるが,その影響を定量的に捉えた研究は少ない.本研究では,Twitterユーザの投稿テキストから推定された性格スコアと,会話ネットワーク上のコミュニティの分析指標との相関を分析することで,性格とコミュニティ形成の関係を考察した.また,Homophilyと呼ばれる「類は友を呼ぶ」現象が見られるような性格はないか,確認した.本研究により得られる知見は,よりユーザの効用やチームパフォーマンスを向上させるようなSNSプラットフォームの設計などへの応用が期待される.
著者
グプタ ビィシュウ 中村 亮裕 福田 治輝 綱川 隆司 狩野 芳伸 西田 昌史 西村 雅史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.4Pin125, 2018 (Released:2018-07-30)

ニューラル機械翻訳モデルでは扱える語彙サイズに制約があり、この課題に対処する方法としてサブワード単位、文字単位、あるいはバイト単位で処理する方法が提案されている。一方、日本語においては文字単位に分割しても漢字のバリエーションが多いために語彙サイズは比較的大きくなる。本研究では日本語テキストに対して漢字分解を適用することで語彙サイズの低減と漢字情報の維持を両立させることを目指すニューラル機械翻訳手法を提案し、評価実験を行った。
著者
木村 優里絵 尾崎 知伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1H2OS13b02, 2018 (Released:2018-07-30)

不完全情報ゲームの一つである人狼ゲームでは,ゲーム中の会話から,他プレイヤの役職を推定することが重要となる.本論文では,役職推定の更なる精度向上を目的とし,複数のベクトル表現と多様な集計方法を用いて各プレイヤの発言をベクトル化する手法を提案する.また人狼BBSのログデータを対象に,種々の分類モデルを用いて提案手法を評価する.
著者
上野 未貴
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.4Pin116, 2018 (Released:2018-07-30)

人工知能技術の発展により,創作物を計算機が理解したり,自動生成することに強い関心が集まっている.画像キャプション生成や自動彩色,スケッチ生成など,創作に関わる特に深層学習を利用した技術に近年大きな発展が見られる.一方で,人の創作は高次の知的作業であり,計算機上に創作過程全体を具現化することは極めて難しい.この分野において,創作物が貴重で繊細な情報をしばしば含むため,機械学習向けのデータが非常に少ない.本研究では,「創作者と人工知能」の共作に向け,創作過程とメタデータを有する 4 コマ漫画ストーリーデータセットを構築する.
著者
吉川 友也 今井 優作
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.1N202, 2018 (Released:2018-07-30)

インターネット広告業界において,コンバージョン率(CVR)予測は,表示する広告の効果測定やユーザの興味を理解する上で重要になるため,CVR予測のためのモデルがここ数年よく研究されている. 基本的に,広告のクリックとコンバージョンの間には時間遅れ(delayed feedback)が発生するため,この時間遅れを考慮するCVR予測モデルが必要となる. 本論文では,時間遅れに対してパラメトリックな分布を仮定しないCVR予測のためのノンパラメトリックdelayed feedbackモデルを提案する. Criteoデータセットを用いた実験では,時間遅れに対して指数分布を仮定するCVR予測モデル等と比較して,提案法が精度良くCVRを予測できることを示す.
著者
四井 美月 Liang Kuo-ching 廣原 茉耶 北沢 桃子 吉村 道孝 江口 洋子 藤田 卓仙 岸本 泰士郎 榊原 康文
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4C2OS27b02, 2018 (Released:2018-07-30)

精神疾患の診断は現在,問診に基づく医師の主観的判断によって行われている.このような現在の診断方法は医師の経験に強く依存するため,正確な診断を行うための客観的な診断方法を開発する必要があると言われている.したがって我々の目標は,デバイスによって記録されたデータからうつ病患者の重症度を客観的に計算する深層学習手法を構築することである. 本研究では,うつ病患者と健常者を音声データで分類する深層学習プログラムを開発する.
著者
滑川 静海 手塚 太郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3Pin134, 2018 (Released:2018-07-30)

ゲームを作成することはAI研究の進歩に大きく貢献している。これは実世界における問題と共通するものが多く存在しているからである。つまりそれらに取り組むことで、AIは現実での問題に応用することができる。AIがチェスや囲碁などの高度な戦略が必要とされるボードゲームで人間を上回った今、次の目標の一つはビデオゲームをプレイするためのトレーニングが挙げられる。この論文では、シューティングゲームに焦点を当て、敵機が展開した弾幕を避けるためのプログラムを最適化する。遺伝的アルゴリズムを使用して、AIプレイヤーは敵の攻撃に被弾することなく動き回るように最適化された。実験には多くの時間を必要とするものの、学習に成功することを示した。
著者
高橋 恒一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.1F3OS5b03, 2018 (Released:2018-07-30)

長期的な機械知性の行き着く先が、その能力レベルの発展の上限により上限シナリオ、生態系シナリオ、多極シナリオ、シングルトンシナリオの順に分岐してゆく可能性を議論する。また、能力レベルの上限を制約する重要な要因として、高度な自律性を持つ認知アーキテクチャーの実現や自己構造改良能力などのアーキテクチャーレベルの問題のほかに、マルチエージェント状況における相対的優位性確立の難しさ、また計算の熱力学的効率や光速の上限などの物理的制約などがあることを議論する。
著者
平田 和暉 下川原 英理 高谷 智哉 山口 亨
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.2E4NFC1b02, 2018 (Released:2018-07-30)

近年,対話システムの研究は盛んに行われている. 先行研究としてクラウドベースの音声対話システムを開発した.先行研究で開発した対話システムの課題の一つとして,ロボットが時節情報を考慮して発話することができないことが挙げあられる.この問題を解決するために,ロボットの応答文に時節情報が含まれているかどうかを自動的に判別するシステムを考える.提案手法として2つの分類手法を用いた.1つは単語パターンマッチングによるシンプルな分類である.2つ目はMLP(Multi-Layer Perceptron)を用いた分類である.結果,MLPを用いた分類手法が単語パターンマッチングよりも有用であった.
著者
内田 脩斗 吉川 大弘 ジメネス フェリックス 古橋 武
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.2C105, 2018 (Released:2018-07-30)

文書分類は,現代の情報化社会において重要な技術である. また,Word2vecを用いて単語の意味関係をベクトルへ埋め込む分散表現が近年注目を集めており,文書分類へ適用する手法も報告されている. 分散表現は一般的にWord2Vecと呼ばれるツールを用いて生成される.そして,Word2Vecはニューラルネットワークを用いた学習構造をしており,ネットワーク内の入力側の重みを分散表現として利用している.しかし,Word2Vecでは,分散表現とは別にネットワーク上で学習される出力側の重みが存在し,異なる性質を持っていると考えられるが一般的に利用されていない. そこで本稿では,分散表現と出力側の重みを利用したアンサンブル学習による文書分類手法を提案し,提案手法の有用性を示す.
著者
木村 勇太 伊藤 毅志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.1H1OS13a03, 2018 (Released:2018-07-30)

従来の人狼AIでは、役職の推定は製作者によりヒューリスティックに決められてきた.本研究では既存エージェントの推定部分に機械学習の一つであるSVR(Support Vector Regression)を導入しその有効性を検証した.その結果,中盤以降で従来の手法を上回る推定率を実現することが出来た.また,序盤では従来の手法,中盤以降では提案手法を用いるエージェントを構築することで,従来のエージェントを有意に上回る勝率を実現することが出来た.
著者
Kohei NISHIMURA Hiroki SAKAJI Kiyoshi IZUMI
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.1P104, 2018 (Released:2018-07-30)

Visualizing chains of Economic events and Financial matters including background eventsfrom text data is useful for investors and manager to understand Economic events and Financial matters properly. However, extracting chains of Economic events and Financial matters manually takes a lot of time. Therefore, we treat chains of Economic events and Financial matters as chains of causal relations (we call them Causal Network) and propose the procedure creating causal network using vectors similarity which represent semantic similarities between expressions of Economic events and Financial matters.
著者
三宅 智仁 河合 祐司 朴 志勲 島谷 二郎 高橋 英之 浅田 稔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.1F2OS5a02, 2018 (Released:2018-07-30)

ロボットと共同作業をし,それが失敗したとき,人間はその失敗を自分とロボット,どちらの責任だと感じるのだろうか.本研究では,共同で行ったゲームが失敗した際の相手エージェントの責任と心の知覚を評価することで,その関係を明らかにすることを目的とする.さらに,相手エージェントとして,人,ロボット,コンピュータの三種類について比較することで,人の場合と人工物の場合で,責任帰属に変化があるかを調査する.実験の結果,課題を成功させるために重要な心の知覚が高いほど,失敗に対する責任は小さくなることがわかった.「相手は課題の成功のために行動している」という印象が責任を低減させたと考えられる.また,課題による相手エージェントの心の知覚の減少量と責任の大きさに関係があることがわかった.このことから,課題前に相手に対して抱いていた期待が課題中に裏切られることが,相手への責任帰属につながる可能性がある.これは,人条件で顕著である一方で,人工物に対してはほとんど見られなかった.人に比べると,人工物が心を持っていることを期待していないことがこの原因であると考えられる.