- 著者
-
飯干 紀代子
岸本 泰士郎
江口 洋子
加藤 佑佳
松岡 照之
成本 迅
三村 將
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.220-227, 2017-06-30 (Released:2018-07-02)
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
-
3
テレビ会議システムを用いて遠隔で行う時計描画検査 (clock drawing test: CDT) の信頼性を, 対面検査との一致度, 加齢性難聴の影響, 利用満足度の観点から検証した。対象は, 健常高齢者 (NC) 38 例, 軽度認知障害者 (MCI) 15 例, アルツハイマー型認知症患者 (AD) 24 例, 計77 例 (女性39 例, 平均年齢75.6 ± 6.5 歳) であった。一人につきCDT を遠隔と対面の2 回, ランダムな順序で実施した。 全対象における遠隔と対面のCDT 得点の級内相関係数 (ICC) は0.83 以上, 疾患別でもNC が0.67 以上, MCI が0.59 以上, ADが0.84 以上であり, 十分な一致を認めた。施行順序別では, 遠隔・対面どちらを先に行ってもICC は0.81 以上であり結果に差はなかった。難聴が疑われる群においても, ICC は0.91 以上と一致度は高かった。遠隔検査に対する利用満足度調査では, 恐怖心や緊張感を多少なりとも感じる者が7 割いたが, 答えやすさについては, 対面と同等, あるいはそれ以上であった者が7 割を占め, 強い拒否感はないことが示された。