著者
奥村 貴史 藤田 卓仙 米村 滋人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.1225-1233, 2022-05-15

2020年,世界的な混乱を引き起こしている新型コロナウイルスによるパンデミックへの対策として,各国は携帯電話を活用したさまざまな技術を感染リスク管理に投入した.しかし,研究分野としての背景や課題が論じられる機会は乏しかった.公衆衛生において,携帯電話の位置情報や接触情報を感染症対策へと活用した研究は,2010年のハイチ地震を対象として始まり,携帯電話の呼詳細レコードを利用した研究論文が2011年頃から出始めた.国内では,2017年頃より厚生労働省のグループが研究を始め,2019年に携帯電話の在圏情報を活用した接触リスク管理技術に関して世界に先駆ける研究成果をあげている.その後,2020年に入り,パンデミックへの対策として,シンガポール,イギリス,香港,台湾,韓国と,各国政府は関連技術を一気に実用化した.本稿では,この感染リスク管理における携帯電話の位置情報,接触情報の活用に関する国内外の歴史を整理し,2020年におけるパンデミック対応を概観するとともに,関連技術の発展に向けた性能評価とプライバシ保護上の課題を示す.
著者
江間 有沙 長倉 克枝 田中 和哉 藤田 卓仙 工藤 郁子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

「技術が発達することでどういう社会になるか」ではなく「どういう社会を作りたいか」を考えるとき、倫理的、法的、社会的課題(ELSI)は一つの切り口となる。また、AIやロボットが普及する分野・時期、雇用や働き方への影響なども重要な論点である。本報告では、異分野・異業種の人たちからなるワークショップでの議論をもとに、人と人工知能・ロボットを取り巻く社会における論点と課題を整理・紹介する。
著者
江間 有沙 長倉 克枝 藤田 卓仙
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

現在、様々な現場で人工知能(AI)利用に関する議論と同時に、プライバシーやセキュリティ、アカウンタビリティなどに関する原則作りが国内外行われている。いかに「信頼できるAIシステム」を構築できるかに関しては期待も多いが課題も多い。保健医療分野において活用されるAIを、技術的な観点ではなく医療の診療プロセスの観点から整理するため、本研究では医師による診療のワークフロー図を作成し、セミナーに参加する医療従事者に対して、AIの診断補助ツールに対してどのような課題があるかの自由記述の調査を行った。その結果、技術の有用性(精度)、安全性、利便性、セキュリティ、コストの他、いくつかのジレンマ状況に対する課題が指摘された。今後はこの質的なデータをさらに大人数を対象としたアンケート調査などによって深堀をしていく予定である。
著者
岸本 泰士郎 吉村 道孝 北沢 桃子 榊原 康文 江口 洋子 藤田 卓仙 三村 將 Taishiro Kishimoto Michitaka Yoshimura Momoko Kitazawa Yasubumi Sakakibara Yoko Eguchi Takanori Fujita Masaru Mimura
雑誌
SIG-AIMED = SIG-AIMED
巻号頁・発行日
vol.001, 2015-09-29

Most of the severity ratings are assessed through interview with patients in psychiatric filed. Such severity ratings sometimes lack objectivity that can lead to the delay/misjudgment of the treatment initiation/switch. A new technology which enables us to objectively quantify patients’ severity is needed. We here aim to develop a new device that analyzes patients’ facial expression, voice, and daily activities, and provides us with objective severity evaluation using machine learning technology. This study project was accepted by Japan Agency for Medical Research and Development (AMED) and will launch this year. The background of the study purpose and methods will be presented.
著者
四井 美月 Liang Kuo-ching 廣原 茉耶 北沢 桃子 吉村 道孝 江口 洋子 藤田 卓仙 岸本 泰士郎 榊原 康文
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4C2OS27b02, 2018 (Released:2018-07-30)

精神疾患の診断は現在,問診に基づく医師の主観的判断によって行われている.このような現在の診断方法は医師の経験に強く依存するため,正確な診断を行うための客観的な診断方法を開発する必要があると言われている.したがって我々の目標は,デバイスによって記録されたデータからうつ病患者の重症度を客観的に計算する深層学習手法を構築することである. 本研究では,うつ病患者と健常者を音声データで分類する深層学習プログラムを開発する.
著者
藤田 卓仙
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究においては、ゲノム情報を中心とする医療ビッグデータの3つの特殊性(1.対象情報 2.取得状況 3.情報の活用方法)に着目し、改正個人情報保護法を中心とした現行法制度下での医療情報の取り扱い及び必要な立法政策等に関する検討を行った。医療情報に関しては、匿名化のあり方や、情報取得の際の、利用目的の示し方と、同意のとり方に関して課題があること等が明らかとなり、医療情報を取り扱う特別法の立法の必要性が示唆された。