- 著者
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宍戸 勇
- 出版者
- 仙台大学
- 雑誌
- 仙台大学紀要 (ISSN:03893073)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.15-21, 1978-10
1. 1978年5月25日,宮城県亘理郡山元町字花釜地内の砂浜で,潮間帯生物の採集をおこなった。2. 採集には2種類の方形枠(20cm×20cm, 10cm×10cm)を用いたが,方形枠の違いによる採集個体数の密度には,有意差はなかった。3. 出現した種類は,シキシマフクロアミA. kokuboi,ヒメスナホリムシE. japonica,とヒゲナガハマトビムシT. britoの3種類であった。4. シキシマフクロアミは低潮帯のもっとも汀線に近い地点にのみ分布し,ヒゲナガハマトビムシは高潮帯に分布していた。ヒメスナホリムシは低潮帯から高潮帯にかけて広く分布するが,中潮帯でもっとも分布密度が大きかった。5. 20cm×20cm方形枠で得られたヒメスナホリムシの標本について,出現個体数から1δ-指標にもとずいて分布様式を調べると,潮間帯全域では中潮帯に偏よる集中分布の型を示した。潮間帯の高低別にみると,中潮帯および高潮帯では機会的分布を示した。6. 中潮帯の深度別採集の結果,ヒメスナホリムシは表層から5cmまでの深さに高密度に分布し, 5cm以深にはほとんど分布しないことがわかった。7. ヒメスナホリムシの多く分布する中潮帯では,粒度250μ〜500μの砂粒の占める割合が60%を越える。