著者
湯澤 直美
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.496-501, 2016-07-15

先進諸国における「子どもの貧困」が社会問題化するなか,日本においても政府による対応が着手された.2013年6月には「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(平成25年法律第64号)が成立し,2014年1月に施行されている(以下,子どもの貧困対策推進法).これを受け,2014年8月には「子供の貧困対策に関する大綱」(以下,大綱)が閣議決定された.また,生活困窮者への対応として,2013年12月には「生活困窮者自立支援法」(平成25年法律第105号)が成立し,2014年4月に施行されている.本稿では,これらの法律・大綱の内容を解説するとともに,施策の動向や課題について概観する.
著者
佐藤 拓代
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.486-490, 2016-07-15

女性の貧困 貧困に関しては,OECD(経済協力開発機構)が用いている「等価可処分所得の中央値の半分の金額(貧困線)未満の所得しかない人口が全人口に占める比率」が「相対的貧困率」と定義されて,世界的に比較に用いられている.子どもの貧困率は,次世代を担う子どもの成育状況を改善する指標として重要であるが,女性の貧困率は注目されているとはいいがたい.特に子どもを養育する年代で世帯主が女性である場合の貧困は,子どもの養育に及ぼす影響が大きい.厚生労働省によれば,2012年の国民生活基礎調査での相対的貧困率は16.1%で,世帯主が30歳未満では27.8%と多く,さらに大人一人と子どもの世帯では54.6%と多くなっていた1).わが国のひとり親世帯では母子家庭が84.7%2)で,さまざまなレポートで報告されているように母子家庭の多くは貧困であり,これも女性の貧困である. 子どもの養育の有無に関係なく,年齢別にみた女性の相対的貧困率は,阿部(2014)3)が平成25年国民生活基礎調査を用いて分析している.15〜19歳で男性18.8%,女性18.5%,20〜24歳で男性21.8%,女性19.5%と,女性の貧困率は男性より低いが,35歳以上では女性の貧困率が高くなり,75〜79歳で25.4%と男性の16.2%の1.5倍であるという.高齢女性の貧困も大きな課題であるが,本稿では20歳未満(若年)の女性の貧困について考えてみたい.
著者
大澤 真平 松本 伊智朗
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.462-469, 2016-07-15

本稿では,子どもの相対的貧困率の概要,子どもの貧困に関するいくつかの構造的背景,そして貧困の世代的再生産について述べることで,わが国の子どもの貧困の現状についての基本的な理解を示したい. 貧困のなかに生まれ育つ子どもの存在は,当然,子育て家族の貧困と切り離すことはできない.子どもの貧困という特別な貧困があるわけではなく,子どもの貧困もまた広く貧困に対する対応のなかに位置づけて議論されなくてはならない.
著者
安倍 三史
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, 1964-06
著者
大島一良
雑誌
公衆衛生
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.648-655, 1971
被引用文献数
2
著者
石川 善紀
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.p66-68, 1988-01
著者
北村 邦夫
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.581-586, 2009-08-15

少子化の原因を探る 少子化の要因として,一般に強調されている子育て環境の問題などは他者の研究に譲ることとして,筆者は以下の4点を仮説として挙げ,これに答えるべく実証的な調査研究を進めてきた. 1) 結婚に対して消極的である 2) 妊孕力が低下している 3) 人工妊娠中絶実施件数が増加している 4) 性交頻度が減少している 本研究の目的を達成するために,公表されている厚生労働統計のうち,①人口動態統計(出生,死産,結婚,離婚),②保健・衛生行政業務報告(中絶),③妊娠届出報告などに加え,筆者らが実施した「男女の生活と意識に関する調査」結果1~3)を資料とした.
著者
本庄 かおり
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.116-120, 2015-02-15

近年,長引く経済的停滞と経済格差の拡大に伴って貧困問題への関心が高まっている.特に最近では「女性の貧困」が取り上げられることも多い.貧困が健康に及ぼす影響についてはすでに多くの研究によって明らかにされており,貧困の健康影響の経路として貧困による物質的困窮に加えて社会的排除や心理的苦痛などの影響も報告されている. これまでに日本で実施された貧困と健康に関する研究の多くは仕事を失った男性を想定したものであった.しかし,実際には女性の貧困率は一般に想像されているより高く,その健康影響が懸念されている.そこで,本稿では女性の貧困と健康をテーマに,女性の貧困の現状を示しながら,貧困の背景とその健康影響について考えてみたい.
著者
中村 好一
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.782-790, 2014-11-15

point 1.データは数量データと質的データに分類される.分析手法が異なるので,扱っているデータがどちらなのかは常に意識しておく. 2.数量データはカテゴリ化して質的データに変換できるが,質的データを数量データに変換することはできない. 3.データ入力には必ず入力ミスがつきまとうと考えて対処する. 4.エクセルの基本的な使い方を習得しよう.

1 0 0 0 統計とは

著者
中村 好一
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.78, no.10, pp.712-718, 2014-10-15

point 1.道具として統計が使えるようになれば良い. 2.分析統計は確率論を用いて母集団についての推定や検定などの推論を行う. 3.記述統計は観察されたものを分かりやすく提示する.分析統計よりも重要である. 4.母集団からの無作為抽出が重要である.
著者
堺 淳
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.377-381, 2010-05