著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.59, pp.129-135, 2018-02

慶長5年(1600)8月、毛利家麾下の軍政を中心として城攻めがおこなわれた伊勢国津城合戦の際に、吉川家中で手負い(負傷)、討死(戦死)した者の人名リストである「伊勢国津城合戦手負討死注文」(『吉川家文書之一』<大日本古文書>、728号文書)の内容を検討することにより、慶長5年8月の時点における吉川家の軍事力編成について考察する。
著者
尾口 昌康
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.59, pp.161-166, 2018-02

精神障害者の医療・福祉領域において、本人の病状悪化時にはやむを得ず、さまざまな権利を制限せざるを得ない状況が多い。支援の過程でジレンマに陥ることも多い。 本稿では、精神障害者の「自己決定権」の発展に焦点を当て、日本の精神保健福祉施設の変遷を概観する。
著者
藤原 秀彦 牧井 忠 米元 俊一
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.58, pp.159-162, 2017-02

豆乳ヨーグルトは乳酸菌の乳酸発酵により生じた乳酸が豆乳中のタンパク質を変性させ固化したものである。本研究では福岡県宗像市の発芽玄米浸漬水中から乳酸菌を分離し安全性を評価し、より風味のよい豆乳ヨーグルトを作成し、市販することを目的とした。発芽玄米浸漬水中から3株の乳酸菌様微生物を分離し、同定を行った結果、病原性・毒性がない微生物であることが示唆された。これら2菌株を用い豆乳ヨーグルトを作成した。
著者
林 眞帆 織原 保尚 日和 恭世
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.61, pp.59-74, 2020-02

近年、医療における意思決定支援への議論は活発化している。ただし、判断能力の不十分な人を対象とする意思決定支援の議論は深まっているとは言い難い。とりわけ、実践の根拠となる成年後見制度の抱える課題は医療ソーシャルワーカーにも少なからず影響している。そこで、本稿は医療ソーシャルワーカーへのアンケート調査の結果を踏まえ、成年後見制度から弾かれている医療選択と同意という課題に対する医療ソーシャルワークの役割について検討した。
著者
安松 みゆき
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.61, pp.1-13, 2020-02

小論では、これまで都市単位での建築遺構に注目してきたが、今回は、ナチ政権下では象徴的な意味を持つ事例を取り上げた。そして3回の考察にわたって用いた分析方法、すなわち、破壊(一部破壊も含)、転用、変更なし、廃墟に分析した上で、これ以前に取り上げた事例と比較し検討した。それによって、破壊された遺構には、土地の持つ意味を変えてしまうほどの政治性の有無が深く関わっている可能性が想定された。その場合には、ナチドキュメンテーションセンターなどを設立することで、負の遺産であることを明示していた。ミュンヒェンでは文化都市であるため、総統官邸も芸術関係の転用によって脱ナチ化を実施するなど、都市によっても脱ナチ化の様相は異なっていた。脱ナチ化には問題点も残され、この問題は引き続き留意しなければならない。
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.60, pp.151-161, 2019-02

本稿は、慶長5年(1600)10月20日に立花家の軍勢と鍋島家・龍造寺家の軍勢が対戦した江上八院の戦い(江上合戦)において、鍋島家側が作成した頸帳(首帳)の内容について考察した。さらに、鍋島家先手の兵科別編成、この戦いにおける戦闘の具体的状況、『佐賀藩諸家差出戦功書』における記載内容についても論及した。 さらに追記では、江上八院の戦い関係の書状として、これまで関係書籍でよく引用されてきた「(慶長五年)十月廿日付吉村橘左衛門尉宛鍋島直茂書状」において、戦場地名を示す「八郎院」という記載は、「八郎院」ではなく「八之院」が正しいことを指摘した。
著者
山野 敬士
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.58, pp.27-37, 2017-02

本論は、映画『ミッドナイト・イン・パリ』を利用して「アメリカ文学史」の講義を効果的に実践する方法を考察したものである。映画に登場するロスト・ジェネレーションのアメリカ人作家達の伝記的事実や作品の読解が、どのような影響を映画鑑賞に与えるかを分析した。また、逆に映画内の描写を考えることが、文学作品の解釈の幅を拡げる可能性も探った。
著者
米元 俊一
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.58, pp.119-136, 2017-02

蒸留器の最初は香料蒸留であり、その後酒に応用された。西への流れは香料と酒蒸留がセットで発展したが東への流れは香料蒸留が徐々に少なくなり、特に雲南に入ってからは蒸し器を応用した蒸留器で造った蒸留酒が主になった。現在、世界の蒸留器の伝播・発生においてニーダムの学説が主流だが、東南および東アジアでは調理上の蒸し文化が酒の製造における原料の蒸しに、さらにその延長上で蒸留に応用され蒸留酒が生まれた。蒸留器(特に本格焼酎)の発生にもう一つの別ルートがあったと考える。
著者
吉井 文子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.59, pp.181-192, 2018-02

香りの本体は分子である。香りについて化学教育を推進するため、マンガ「超香少年サトル」を取り上げ、マンガの中に出てくる香りの成分を明らかにし、その分子の立体構造を理解しやすいように表示することにした。今回は、特に「食べ物や飲み物」に関わる香りに着目し、分子の構造は分子力学法を用いて求めた。また、マンガの中に現れた香りのはたらきのうち、香りとおいしさ、香りと記憶についての説明を加えた。