著者
島田 敬 山下 達雄 山本 正生 竹林 幸治
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.556-566, 2010

これまで,滑走路等の建設工事では,舗装工事と航空灯火設置等の電気工事とを別々に施工する方法が採用されてきた.関西国際空港第2滑走路工事では,「航空灯火基台設置と舗装の一体施工法」及び新型の「航空灯火基台」を考案・開発し,現地実験等を行い実施工に採用した.これにより,第2滑走路工事において,工期短縮,建設コスト縮減,環境保全の課題解決に大きく貢献することができた. </br> 本研究は,「航空灯火基台設置と舗装の一体施工法」を実用化するために行った灯火基台開発及び現地実験を総括するとともに,工期短縮,建設コスト縮減,環境保全効果について分析を行ったものである.
著者
菊本 智樹 川端 信義 丸山 大輔 山田 眞久
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.448-459, 2007

本論文は,小型道路トンネル火災の熱気流(煙)挙動特性について,3次元シミュレーションを行い検討したものである.シミュレーションの小断面トンネルに対する再現性は,火災模型実験との比較から確認した.また,小型道路トンネルの想定火災である乗用車の発熱速度(熱対流成分)および煙発生速度は,既往の実大火災実験に対してシミュレーションを試行錯誤し,それぞれ1.8MW,9g/s(最盛期)と決定した.小型道路トンネルにおける乗用車火災のシミュレーションから,普通道路トンネルに比べて煙が短時間・短距離で降下し,充満しやすいが,煙先端の移動速度は普通道路トンネルのバス火災時より遅く,普通乗用車および大型乗用車の単独火災時にそれぞれ最大で約0.8m/s,約1.0m/sであることを明らかにした.
著者
櫻井 春輔 清水 則一 芥川 真一 吉田 秀典 佐藤 稔紀 山地 宏志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.662-673, 2006 (Released:2006-12-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1

超大深度地下開発のアプローチとなる超大深度立坑は,その重要性を再認識されつつある.しかし,国内石炭産業の縮小に伴い,深度1,000m級の立坑はほぼ20年以上施工されていない.筆者らは超大深度立坑技術の継承と,定量的な立坑設計技術の確立を目的として,過去に施工された超大深度立坑の技術文献調査,およびかつて施工に従事された技術者からの聞き取り調査を実施し,立坑工事において発生する蓋然性の高い崩壊形態を調査した.その結果,立坑における崩壊のほとんどは高抜けと異常地圧による覆工破損の二つに分類されることが明らかとなった.さらに,その発生状況を検証したところ,この二つの現象は同じ原因により発生するものと判断された.
著者
鈴木 信行 鈴木 明人 濱田 政則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.72-85, 2007 (Released:2007-03-20)
参考文献数
21
被引用文献数
2

建設施工にPMBOKなどの近代的マネジメント手法を適用することは有効である.本研究ではPMBOKの9つのマネジメント要素をどのように適用しているかをアンケート調査で求めた.その調査結果をもとにデザインストラクチャーマトリックス(Design Structure Matrix)を用いて建設施工マネジメントのプロセスを分析した.さらにマネジメント要素間の相互依存性をネットワークモデルと捉え,グラフ理論を用いてネットワーク特性を分析し,建設施工における効果的なマネジメント順序を提言した.その結果,従来重視されていないスコープマネジメント及びコミュニケーションマネジメントがマネジメント全体の効率化に重要であることが明らかとなった.
著者
野口 孝俊 野口 哲史 奥津 宣孝 小倉 勝利
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.567-577, 2010 (Released:2010-11-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1

東京国際空港では逼迫する航空需要に応えるため,沖合に4本目の滑走路(D滑走路)を建設する再拡張事業が進められている.D滑走路の建設工事は性能発注による設計・施工一括発注方式が採用され,維持管理を含んだ一体的な調達方式が適用された.予防保全的な考え方を導入することで,空港施設における合理的な維持管理計画の考え方を立案したので報告する.
著者
野口 仁志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.131-140, 2007 (Released:2007-03-20)
参考文献数
4

港湾および海岸に設置されている消波ブロックの撤去は,一般には,作業員あるいは潜水士が,消波ブロックの隙間にワイヤーロープを通して玉掛けを行い撤去しているが,足場が不安定で危険な作業である.そのため,無人でブロックを撤去できる網チェーンを用いたブロック移設装置を開発した.種々のブロック視認状況での模型実験を行い作業効率を比較検討した.実際のブロック撤去工事においては,視認可能な水中ブロックの作業効率は5.0分/個と,潜水士による従来方法の6.1分/個を上回った.工事の作業方法を本装置に適した状態とすることで,作業効率は,ブロックが視認状況では,約3分/個,視認不可状況では約4~6分/個,撤去コストは,従来の人力工法の1/3程度に抑えられる試算結果となった.