著者
大東 辰起
雑誌
大阪産業大学経済論集 = OSAKA SANGYO UNIVERSITY JOURNAL OF ECONOMICS (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.35-63, 2017-06-30

Private sector funding was used in the government’s economic stimulus package after thecollapse of the Bubble economy (1991-1993). As a result, outstanding local bonds increased,and differentials expanded due to erosion of borrower credibility in the market. In March 1999, Japan Rating and Investment Information Inc. reported for the first time theJapanese municipal bond rating. In November 2006, Yokohama City obtained R & I. Withthis Japan has rapidly facilitated the use of municipal bond rating. Accordingly, much previousresearch has predicted that the acquisition of municipal bond rating will increase. However,this is not the case at present. Here the municipal bond rating is examined, and the following three issues are discussed.The first is the relationship between implicit security and municipal bond rating. I show thatfor local governments ratings are not essential, because of the macro and micro revenueprotection under the Ministry of Internal Affairs. The second is that municipal bond ratingsdone for local governments do not properly reflect financial benchmarks, resulting in a lackof confidence for these ratings. The third is that investor’s trust in municipal bond rating isquestionable. The discussion clarifies the need for rating companies to disclose accurate information,and the necessity for dialogue with the parties concerned for higher evaluation from localgovernments and investors.
著者
木村 敦
出版者
大阪産業大学学会
雑誌
大阪産業大学経済論集 = OSAKA SANGYO UNIVERSITY JOURNAL OF ECONOMICS
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.25-40, 2019-06-30

戦後日本の経済成長は,労働者の貧困を解消したわけでは必ずしもなかった。2015年,日本の相対的貧困率は15.7%に上る。労働者とその家族の貧困は深刻である。生活保護制度は,国民の最低生活保障に対応する最終的な社会システムであるが,生活問題対策システム(社会保障)全体の弱体化は,最終システムたる生活保護に負わされる課題を増大させる。生活保護より前で守るシステムの充実をみなければ,それは役割を果たすことができない。本稿では,生活問題の構造の明確化が図られた上で,生活問題対策・施策の構造が明らかにされる。その上で,生活問題対策全体における生活保護制度と保護施設の位置が示され,その果たすべき役割が明らかにされる。加えて,生活保護に負わされた過重な負担を返上するための社会福祉運動と労働運動の連携について言及される。
著者
斉藤 日出治
雑誌
大阪産業大学経済論集 = OSAKA SANGYO UNIVERSITY JOURNAL OF ECONOMICS (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.103-128, 2017-06-30

20世紀末から急進展したグローバル化は深刻な危機に直面している。グローバル化は,所得格差,地域格差を拡大し,中産階級を崩壊させ,大量の移民・難民を創出し,宗教紛争・民族紛争を激化させることによって,ついに反グローバリゼーションの反動を呼び起こした。イギリスのEU 離脱,米国におけるトランプ大統領の誕生,ヨーロッパ諸国における極右政党の台頭は,グローバル化の隘路に直面した諸国の反動を物語っている。この反動は,グローバル化の隘路を主権国家の強化によって打開しようとする。保護貿易を強化する,流入する移民・難民を排除し厳しく取り締まる,自国民の雇用確保を優先する,といった排外主義的な政策が強化される。 日本も同じ流れに棹さしている。経済の新自由主義的進展がもたらした雇用の不安定化,貧困の増大,所得格差と資産格差の拡大は,社会の監視の強化,治安の強化,そして国家の軍事化と排外主義への動きを強化し,立憲主義の危機,神権的国体論を触発している。 新自由主義とは,社会を市場の競争原理に委ねるシステムであり国家の非介入を原則とするにもかかわらず,新自由主義の行き詰まりが国家の軍事化および治安の強化と連動し,ひとびとの市民的自由を抑圧する動きが高まっている。本論では,このように一見すると逆説的にみえる経済と国家の動向を,市民社会の共進化という視点から再考する。この再考によって,経済における市場原理の進展と,国家における権威主義の台頭と,市民社会におけるポピュリズムという大衆的熱狂が相乗効果をともなって増幅する新自由主義の社会危機の動態を究明する。その究明を踏まえて,この社会危機を乗り越える連帯と協同の新しい共進化の方向を提示したい。