- 著者
-
平井 菜穂
角田 明良
- 出版者
- 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会
- 雑誌
- 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 (ISSN:18820115)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.3, pp.106-113, 2020 (Released:2020-12-01)
- 参考文献数
- 15
【目的】骨盤底筋協調運動障害を呈する便排出障害(骨盤底筋協協調運動障害)に対する肛門筋電計を使用したバイオフィードバック療法(Biofeedback Treatment,BFT)の介入効果を検証する。
【方法】対象は2016年7月~2019年5月に骨盤底筋協調運動障害と診断されBFTを行った患者。BFT施行回数は原則1ヵ月に1回計5回行った。治療効果の評価には、Constipation Scoring System(0-30)(CSS) スコア、Obstructed Defecation Syndrome (ODS) スコア、Patient Assessment ofConstipation Quality of Life(PAC-QOL)調査票を使用した。
【結果】対象者14例の年齢は73歳(58-85歳)で、男性が12例、女性2例であった。脱落例1例を除き13例で効果の検討を行った。CSSスコアはBFT前14(4-18)からBFT後8(3-15)と有意に改善し(p=0.007)、ODSスコアはBFT前16 (7-21)からBFT後7 (0-17)と有意に改善した(p=0.002)。PAC-QOLのOverallはBFT前1.9(1.0-3.6)からBFT後0.8(0.2-2.5)と有意に改善した(p=0.002)。
【結論】骨盤底筋協調運動障害患者を呈する便排出障害には、肛門筋電計を用いたバイオフィードバック療法が、便秘症状ならびに生活の質を有意に改善するため有用である。