著者
堀江 政広 横川 耕二 須永 剛司
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P16, 2007 (Released:2007-06-09)

高度な専門性をもつソフトウェア技術者等の不足が問題視されている。その不足という状況は、エンジニアだけでなく、ソフトウェア開発に関わるデザイナーにも当てはまる。それを解決するための手段のひとつとして、エンジニアと協調しソフトウェア開発を行えるデザイナーの育成が有効であると考えた。 本稿では、「グループ活動提示ツール」のプロトタイプ・ソフトウェア開発を事例に、「エクストリーム・プログラミング(XP)」というコーディングを中心的活動とする開発手法の実践を報告する。そして6週間(1.5人月)という短期間で行われたエンジニアとデザイナーとの協調について述べる。
著者
林原 泰子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.B05, 2007 (Released:2007-06-09)

本報告では,史料調査により戦後の「Solar」ラインナップを明らかとし,戦前・戦後を通した「Solar」シリーズの変遷について考察を行うことを目的とする。 戦後の「Solar」ラインナップとして,納入型,K型,F型,FW型,P型を確認した。戦前の形状を継承した納入型はF型,FW型,簡素化されたK型はP型へと発展しており,新規のデザインや技術を取り入れながら積極的に改良が重ねられていった様子が認められる。 1953(昭和28)年頃には,20社以上の国内企業が電気洗濯機の製造を行っており,その半数以上が撹拌式を手掛けていた。これら撹拌式の製造にあたり,外国機と共に「Solar」が参照されたことは間違いないと考えられる。「Solar」は,戦前より特許や実用新案の取得を含めた積極的な製品展開を行っていた。更に,戦後のFW型,P型においては意匠面についてもいち早く注意が向けられるなど,戦前戦後を通して日本の家庭用電気洗濯機市場を牽引する存在であったといえよう。
著者
平松 早苗
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.F14, 2007 (Released:2007-06-09)

本研究は、パブリックアートが作家・鑑賞者にとって、どのような思考で、どのような位置を持ち、公共空間における私的・公的な存在意味を有するのか、その可能性を考える。今回の発表では、公共事業の側面からパブリックアートの存在の仕方を、茨城県笠間芸術の森公園・陶の杜を例に、他事例の調査と併せて、どのような作用を場所に与えているか考察する。
著者
土屋 雅人
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.F04, 2007 (Released:2007-06-09)

紙の防災マップは,自然災害から身を守る有効な道具であり,携帯性と一覧性に優れているが,情報を更新したり追加することが容易ではない.一方,パソコンを用いたインターネット防災マップは,情報を逐次更新可能だが,閲覧時間,場所,設備に制約がある.筆者は2006年,辻堂地区防災マップを改定するにあたり,防災関連情報や復旧支援情報を住民に広く知らせる手段として,QRコードを掲載した防災マップを提案した.これは,携帯電話のバーコードリーダ機能を使用して,紙の地図上のQRコードを読み取ることで,携帯電話の防災情報サイトに容易にアクセスできるものである.紙メディアの携帯性,一覧性と,無線ネットワークを利用した携帯電話の迅速性,適時性のメリットを融合し,必要な時に必要な情報を,QRコードを介して提供できる防災マップである.本研究では,2005年度に作成した「辻堂地域防災マップ」(神奈川県藤沢市)に,利用目的別の10個のQRコードを掲載し,そのQRコードを利用して,携帯電話用の防災情報サイトにアクセスできる仕組みを構築した. この10個の目的別QRコードについて,シナリオライティングの手法を導入し,その有意性の検証を行った.
著者
山本 政幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.D07, 2007 (Released:2007-06-09)

本考察は、1920年代に出版された二冊の書物『旅と冒険の本』と『ディ・ノイエ・ティポグラフィ』の装丁を比較し、ヤン・チヒョルトの前衛活動初期におけるデザインの特徴を把握することを目的としている。二冊の書物について体裁、用紙、表装、刷色、図版、マージン、版面、活字書体の8項目を比較した。その結果、サンセリフ体活字の使用、非対称の構成、写真図版の多用といった方針は共通していたが、DIN規格の扱い、本文におけるサンセリフ体活字の導入、塗工紙の使用、特色赤や罫線の追加といった点で違いが見られた。これは報道記録と印刷技法書という内容の差から生じた結果というだけでなく、3年という期間を経て活版印刷術における機能主義が徹底した表れと結論付けた。
著者
浅野 智 熊野 幸代 小出 有紀
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P11, 2007 (Released:2007-06-09)

人は意思決定を行う際に、他人や情報システムとの対話の中から影響を受けることが少なくない。特に、最初から自分の考えやゴールが明確でない場合はその傾向が強い。 本研究は、動的なメタファを応用した劇場型Webサイトが、ユーザと対話を繰り返すことで、曖昧な考えが徐々に明確化して発見に結びつく知識の取得支援には効果的であるという仮説を立てた。検証には、同じコンテンツを劇場型Webサイトと従来のタスクを効率よく達成するための探索型Webサイトの両方を制作し比較する事で行った。
著者
齋藤 力也 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.A19, 2007 (Released:2007-06-09)

若い世代を中心に製品選択の意識や情報機器の使用状況は他の世代と比べて特殊に感じられる。接触や使用頻度が高く、仕事やコミュニケーションツールとして多面的に機能するパソコンや携帯電話であるが、買い替えは頻繁に行われる。そこで、製品に抱く愛着やパートナーシップを定量的に分析し、生活者の意識とモノに抱く愛着の関係性および生活観ごとに重要視されている要因を探り、モノの評価構造を解明することを目的とした。 結果として、情報機器への仲間意識や親しみなどの愛着感が見られたことから、「使い込むことによる充実感」が得られる可能性が示唆された。生活者の中には複数の携帯電話をシーンに合わせて使い分ける者や、これ以上新機能は不要で、壊れても生産中止でない場合は再び購入したいという「お気に入り」やファン心理の存在も確認された。
著者
神野 由紀
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.A08, 2007 (Released:2007-06-09)

これまで、ファッションに関する消費は特に女性特有のものと考えられてきたが、近代初期から男性もまた、積極的に流行ファッションを追い、自分の身なりに気をつかい、消費文化を享受していた。本発表では、男性とファッションの関係を明らかにするために、近代の男性の精神的基盤としての「紳士」という概念に注目し、明治期に多数刊行された紳士論を検討し、そこでの記述が精神的な教えにとどまらず、ファッションの指南に特に力を入れていることを明らかにした。さらに、この男性ファッションを支えるメディアとして、戦前期に刊行された『学鐙』『新青年』を調査し、特に服飾雑貨など流行商品に関する広告を検討し、戦前期の男性消費の実態を明らかにした。その結果、理性的な性であるべき男性は、実際には女性と同じく都市の消費者であったが、その消費を正当化するために、「紳士」になるための「こだわり」を重視する消費傾向が顕著になっていったことが判った。
著者
永井 由佳里 ゲオルギエフ ゲオルギ 田浦 俊春 森田 純哉
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.A03, 2007 (Released:2007-06-09)

グラフィックデザインでは,作品からどのような意味を想起させられるかが重要である。本発表では、グラフィックデザインの事例として,ロゴに焦点を当てた研究を示す。我々の研究では,良いロゴから想起される意味は,よく構造化されているという仮説を設定する。そして,ロゴの持つ意味構造と好ましさとの関連を検討した調査結果を示し,調査の結果からロゴに意味構造を付与するデザイン支援の方法論を論じる。我々は調査参加者にロゴを提示しそれぞれが想起した意味をできるだけ多く記入させる調査を行った。その後,それぞれのロゴの好ましさを5段階で評定した。得られたロゴの意味の相互の関連を,概念辞書を用いて測定した。その結果,ロゴから想起される意味間の関係が集束している場合,良いものと判断されていた。結果に基づき,意味の構造化に焦点を当てたグラフィックデザインの支援方法を提案する。視覚的な形状と言語によるラベルを対応づけるデータベースを用い,ロゴを言語化する。そして,概念辞書を用い,より上位の意味構造を抽出する。抽出された意味構造は,ユーザに提示される。そのことで,意味のない形状,誤解を与える形状,などの生成を防ぐことができると考える。