著者
辻 順行 辻 大志 辻 時夫
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.132-136, 2003-03-01
被引用文献数
3

平成11年8月から平成13年8月までに当院で手術を行った痔核298例の中で術後狭窄を来した23例を対象として分析を加え以下の結果を得た.1.結紮切除(LE)が1~4カ所の症例でそれぞれ0%,3.3%,7.0%,14.3%の頻度で術後の肛門狭窄が発生した.この症例をLE1~3カ所とLE4カ所の2群に分けて比較すると前者では6.2%,後者では14.3%で後者が有意に多かった.従ってLEは3カ所以下が適当であると思われた.2.嵌頓痔核の術後には肛門狭窄が非嵌頓痔核術後に比較し有意に多く発生した.従って術後狭窄から検討すると,嵌頓痔核は嵌頓状態の改善後に根治術を行うべきと考えられた.3.術前に狭窄を合併する症例では,術後も狭窄を来す可能性が高く,LEの数はより少なくそして術中広めの拡張術が必要であると判断された.4.術前の指診で肛門の緊張が高い症例では,術後も狭窄を来す可能性が高く,LEの数はより少なくし,拡張術も追加すべきと判断された.5.肛門狭窄は術後3カ月から6カ月の期間内に改善することが多く,全体の64.3%の症例が非観血的方法で改善した.
著者
桑原 明史 須田 武保 飯合 恒夫 畠山 勝義
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.21-26, 2009-01-01
被引用文献数
1 1

新潟県における大腸内視鏡検査関連の偶発症の実態を明らかにするため,アンケート調査を用いた検討を行った.対象は2000∼2004年に新潟大腸肛門病研究会の13幹事施設で行われた大腸内視鏡検査症例である.検査総数は,85,507件(観察のみ40,149件: 処置あり45,358件)であった.偶発症の発生頻度は,全体で198件,0.23%に認められ,処置あり群で8倍高くなっていた(観察のみ0.05%,処置あり群0.39%).偶発症の内訳は出血80.3%と穿孔13.6%が多く,発生頻度は出血0.19%,穿孔0.03%であった.出血の原因手技はEMRが76.7%で,治療はクリッピングが66%に行われていた.穿孔例の部位は96.3%が左側結腸であり,59.3%が観察行為のみで起きていた.穿孔に対する処置は85.2%で緊急手術が施行されていた.偶発症での死亡例は0.002%であり,いずれも穿孔例であった.<br>