著者
濱野 千尋
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.C10, 2017 (Released:2017-05-26)

本発表の目的は、ドイツにおける動物性愛者の任意団体「ZETA(Zoophiles Engagement fur Toleranz und Aufklarung/ Zoophiles Commitment for Tolerance and Awareness/ 寛容と啓発を促す動物性愛者委員会)」に属するメンバー8名へのインタビュー・データをもとに、人間と動物の関係、特に獣姦(Bestiality)および動物性愛(Zoophilia, Zoosexuality)を考察することである。
著者
黄 潔
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.B10, 2017 (Released:2017-05-26)

本報告は「憑く」という民俗現象に関する文化人類学的研究である。これまで積蓄してきた、日本民俗学の憑物信仰論や、中国華南少数民族の「蠱毒」に関する文化人類学研究の論点を、西南中国トン族の事例から考察する。調査地の語り及び呪術の実践のなかに表出する、鬼をめぐるトン族のもつ民間宗教や結婚禁忌との関係から、西南中国トン族の憑きもの信仰を論ずる。
著者
片岡 樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.B08, 2017 (Released:2017-05-26)

愛媛県菊間町の秋例祭に登場する牛鬼は、当初は妖怪として想像されたが、のちに疫病よけの御利益を期待され、今日に至っているものである。牛鬼は神輿とは異なり正式には神としての扱いを受けないが、にもかかわらずいくつかの場面では神の類似行為を遂行する。なかば祀られた存在であり、神に限りなく近づいてはいるがなおかつ神にはなれていない存在としての牛鬼から、神とは、宗教とは何かについて考えたい。
著者
長井 優希乃
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.A16, 2017 (Released:2017-05-26)

本発表ではインド、デリーにおいて働く不可触民であるメヘンディ描きの家族に焦点を当て、メヘンディ描きの仕事のなかでいかに彼らが他者のまなざしを操っているかということを考察する。その上で、まなざしを操る彼ら自身が、不可触民であるということを他者からまなざされることを恐れながらもそれを隠し、いかにビジネスをし、貨幣を介して装うのかということを考察する。
著者
池田 光穂
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.B16, 2017 (Released:2017-05-26)

この発表では、ラテンアメリカ(とりわけ中央アメリカ)における人種=民族カテゴリーに関するエスノグラフィーやエスノヒストリーを再検討しつつ、私自身がその地を訪れてきた際に参照してきた文献にもとづく知識が私のフィールド経験とどのように交錯してきたのかについて考察する。
著者
永田 貴聖
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.E09, 2017 (Released:2017-05-26)

本研究では、出自のナショナリティ・エスニシティを基盤として関係する側面だけでなく、移住先において、状況に応じて、移住先社会のマジョリティや他の移民と関係を構築することを明らかにする。本報告では、京都市・東九条地域を集住地域とする在日コリアン、日本人、フィリピン人移住者の関係形成、地域・多文化交流施設に集まるフィリピン人たちの同施設内での活動と地域の人びとと関係に焦点を当てる。
著者
浜田 明範
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.C20, 2017 (Released:2017-05-26)

ガーナ南部の仕立屋は2年強の修行の後に、卒業パーティーを経て一人前と認められる。この卒業パーティーは結婚式などの他のパーティーと部分的につながれているのだが、新たに承認される仕立屋は、このパーティーの特徴を巧みに利用する。仕立屋は、未来の花嫁の姿を先取りし、未来の顧客の衣装を先取りした衣装を身に着けることで、自らとその衣装をポスト多元的なものとして提示し、自らの技術を示すのである。
著者
秦 兆雄
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.B15, 2017 (Released:2017-05-26)

中国は今後どのような大国として発展し、世界にどのような影響を及ぼすかなどについては、世界の人々にとって強い関心を引く大問題である。しかし、この問題に対して、人類学者はほとんど議論をせず、従来の村落社会や少数民族などのミクロ研究にとどまっている。この問題意識をもって、本発表は主に改革開放以後急速に広がる儒教復興の動きについてフィールド調査資料に基づいて中国社会の現状を分析し、その行方を展望する。
著者
島田 将喜
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.F03, 2017 (Released:2017-05-26)

ヤンバルクイナは、やんばる地方のみに生息する無飛翔性鳥類である。琉球人の共存の歴史は長いが、民間伝承の中にクイナは明示的に登場しない。クイナは赤い嘴と足で忙しく地上を走り回り、道具を用いて大型のカタツムリを食べる。沖縄のキジムナーのもつ特徴は、クイナのもつ形態・行動的特徴と類似している。鳥と人間との境界的特徴が、現実世界と異世界の境界的存在としての妖怪のモチーフとなったとする仮説について検討する。
著者
合原 織部
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.F05, 2017 (Released:2017-05-26)

本発表は、宮崎県椎葉村の猟師と猟犬の交渉を、日常の場である里の領域と、狩猟が実践される山の領域の異なる位相から考察することを通じて、人とイヌの交渉を一元的に捉えるハラウェイに新たな視座を加えることを目指す。里ではつながれているだけのイヌが、狩猟の際には猟師をリードする主体性を発揮し、猟中に命を落とした場合にのみ神格化されるなど、種横断的交渉が各位相において全く異なるさまを民族誌的に提示する
著者
鈴木 和歌奈
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.C01, 2017 (Released:2017-05-26)

近年、「Anthropocene(人新世)」というキーワードがグローバルに注目を集めつつある。とりわけ欧米では、アカデミック内外で環境保護や人間の経済活動をめぐる論争など新しいムーブメントが生じつつある。本パネルでは、これらの「人新世」をめぐるポリティクスを紹介するとともに、それが欧米の人類学に及ぼしている影響について批判的に検討する。その上で、日本の人類学からの応答の可能性について示唆したい。
著者
河野 正治
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.C12, 2017 (Released:2017-05-26)

本報告では、再分配が倫理的な問いにかかわる点に注目し、倫理の人類学の観点から再分配を再考する。倫理の人類学は、普通の人々の日常生活における倫理、すなわち日常倫理への注目を基礎的な研究態度とするものである。本報告の目的は、再分配の当事者による倫理的判断を観察しやすい比較的小規模な再分配として、ミクロネシア・ポーンペイにおける首長制にもとづく祭宴を取り上げ、再分配における日常倫理を考察することである。
著者
西尾 善太
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.C17, 2017 (Released:2017-05-26)

本発表では、従来の権力/抵抗といった二項対立的な空間認識の展開に対し、多様な軌跡・歴史のもつれ合いと配置として「ともに投げ込まれている空間」の可能性を考察する。具体的には、第二次世界大戦によるマニラの荒廃のなかで市井の人々によるジープニーという交通機関の発展と、近年、急激に増加した自家用車との間で発生した深刻な交通渋滞を事例とする。
著者
梅津 綾子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.C09, 2017 (Released:2017-05-26)

日本人ムスリムは近年、国際結婚、二世の誕生、および自発的な改宗などにより増加傾向にある。本発表では、とくに日本人女性ムスリムの、性差別的と批判されて久しいイスラーム言説の捉え方に着目する。そして自学、および日本や夫の母国といった個別社会のジェンダー観との関わりの中で、特定のイスラーム言説を受容・実践したり、あるいは拒絶したりする彼女たちの対処法を明らかにする。