著者
小林 康徳
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.509-548, 1970-07

比較的低高度の地球軌道上を飛行する人工衛星に対する,太陽ふく射・地球のアルビドおよびその赤外温度ふく射による熱入力を計算する方法の展望を行ない,特に,あとの二つに対して重要な効果を持つ衛星表面と地球表面との間の形態係数の求め方について,幾つかの方法を提示した.これらの方法を使用して,ある軌道・姿勢の条件のもとに飛行している衛星に対する熱入力を計算するプログラムが示された.このプログラムを使用して,ある与えられた衛星の最も熱入力の変化が少なくなるような打上げ時刻を選定することができる.球状衛星に対する計算結果が示された.
著者
棚次 亘弘 成尾 芳博 長友 信人 岩間 彬 秋葉 鐐二郎 倉谷 健治
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.859-891, 1980-05

推力7トン級液水/液酸ロケットエンジン用ターボポンプを駆動するガスジェネレーターの設計および試験を昭和52年から実施し,その開発を完了した.このガスジェネレーターはリバースフロー型のものであり,撹拌リング付の球形燃焼室と12個の均一混合比型の同軸インジェクターおよびスタートバルブから構成されている.8回のガスジェネレーター単体での試験および10回のターボポンプとの組合せ試験によって,性能および機能の確認を行った.インジェクター,燃焼室およびタービン部に焼損は認められず,燃焼および混合が良好に行われているものと思われる.現在までの総燃焼時間は204秒である.ここでは,東大宇宙研において開発したガスジェネレーターの設計諸元,試験設備および試験結果を報告する.
著者
平尾 邦雄
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.1356-1366, 1966-10

電離層における電子温度の様相はK-1 S- 号機観測ロケットによって上りと下りの曲線を測定している.電子温度のプローブはスピンの軸に対してちょうど垂直に,ペイロードの頂上にすえつけられた.それゆえ,電子温度の測定は姿勢の影響を受けないので,測定された電子温度はかなり小さな分散を持ち,まったく確信が深い.プローブは鹿児島宇宙空間観測所から1965年8月28日に約72kの最高高度に飛ばされた.だから,測定された電子温度の様相は電離層が上端と底部の両方を,おおっている.一見して上昇曲線の様相は,下降曲線のそれとは全く異なっている.特に高度200kmにおいてしかりである.高さの段階が約60kmにずらされたとき二者の間に著しく似た様相が見られる.この似たような様相は下降時よりも上昇時において低いレベルで現われている.それゆえ南東の方向にむけて上向きに傾斜する層状構造のように見える.そして温度は北西から南西に,約200°K減っている.現在の結果だけの意味あいでこの温度の分布状態を分析するのは非常に困難である.しかしながら,単純な見地より見ると,電離層における大気成分の層状構造によって電子温度の層状構造が起因されているように見られる.しかも両曲線の間の温度の相違点は緯度による電子温度分布の一般的傾向によるのであって,それは他の論文に述べられている.
著者
寺沢 敏夫 大林 辰蔵
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.514-520, 1974-07

科学衛星「でんぱ」および「たんせい2号」の軌道観測データを用いて外囲大気温度の推定を行なった.推定された外囲大気温度と太陽電波フラックスおよび地磁気活動度の開には有意な相関が見られるが,Jacchiaの経験式による大気温度の推定値と比べ100°-150°高い値を得た.
著者
小塩 高文 東野 一郎 笹沼 道雄 増岡 俊夫 久田 秀穂
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.1195-1207, 1966-09

太陽水素ライマンアルファー線(1,216Å)ふく射強度の高度分布を求めるために次のような三つの電離箱をロケットに載せて観測を行なった. 1)各電離箱はNO(10cmHg)気体で充され,LiFの窓を持っている. 2)直流増幅器の入力抵抗は検出器No.1,No.2およびNo.3についてそれぞれ10^8,10^9,および10^10オームである. ロケットは1965年12月13日15時20分に鹿児島宇宙空間観測所より東南55度の方向に打ち上げられ,319kmの高度に達した.ふく射強度の高度分布から吸光係数(μ_p),および吸収率密度(単位体積当り吸収される光子の数α)が求められた.αの最大値の高度は85kmであった.酸素分子の密度分布は高度80,85,90kmでそれぞれ1.1×10^14,4.0×10^13および2.0×10^13particles/cm^3と推定された.高度40kmから70kmにわたって異常なふく射強度がある限られた到来方向で観測された.記録の波形から,この異常ふく射は太陽ふく射とは異なるものであり,その強度は高さの増加につれて減少しているようである.おそらくロケットに伴う衝撃波によるものと考えられる.