- 著者
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長友 信人
松尾 弘毅
- 出版者
- 宇宙航空研究開発機構
- 雑誌
- 東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.2, pp.325-334, 1968-04
太陽熱を動力源とした低推カロケットを,地球の近傍のミッションに用いる場合は,地球の日かげの部分でエネルギーの供給が停止する.とくに低高度の人工衛星として打ち上げられた太陽熱ロケットが,その速度方向に加速することによって,その軌道を拡大する場合は,日かげに入っている時間が長く,その飛行軌道に日かげの影響があらわれる.ここでは,この影響がもっともよくあらわれるようなケースについて軌道計算し,日かげなしの場合と比較した.すなわち,地球の公転によるかげの一の移動はなく,太陽熱ロケットは太陽と地球を含む面内を飛行し,しかも太陽ロケットの作動は,日かげでは停止し加速されないとする.ミッションとしては,500km高度円軌道から同期円軌道への遷移として,太陽熱ロケットの諸元としてのこのミッションに適した値とし考えられるものを用いた.解析結果を比較すると,日かげのある場合は,ない場合に比べてミッションに要する時間は25%多く,この値はロケットの比推力その他のパラメータの変化の影響をほとんどうけない.日かげなしのとき準円軌道で拡大してくる飛行経路は日かげありの場合,出発直後は比例的に長円となる傾向があるが,ミッション最終段階では,この傾向は鈍化し,そのときの離心率に相当する値はそれほど大きくなく,ここでの軌道修正は容易である.したがってエネルギー的損失も,ほとんど問題にならないくらい小さい.