著者
松本 敏治 菊地 一文
出版者
植草学園大学
雑誌
植草学園大学研究紀要 (ISSN:18835988)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.5-15, 2019

<p> 松本・崎原・菊地・佐藤(2014)は,「自閉症は方言を話さない」とする印象が全国で普遍的であることを報告している。しかしながら,共通語を使用してきたASD が学齢期あるいは青年期において方言を使用するようになる事例が存在するとの報告が教員・保護者からあった。該当する5 事例について,方言使用開始時期および対人的認知スキルに関する55 項目についての質問紙を実施した。方言使用開始時期は,7 歳,9 歳,16 歳,16 歳,18 歳で事例によって差がみられた。獲得されているとされた対人的認知スキルのうち,方言使用開始前後の時期に獲得されたとする項目数の割合は,26%〜97%であった。また,それ以前に獲得されていた項目数と方言使用開始時期に獲得された項目数の割合を領域別で求めたところ,意図理解および会話の領域での伸びが顕著であった。これらの結果にもとづいて,ASD の方言使用と対人認知の関連について議論した。</p>
著者
川口 由起子
出版者
植草学園大学研究委員会
雑誌
植草学園大学研究紀要 (ISSN:18835988)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.85-96, 2020

<p> 本稿の分析の対象は,人権侵害に関する苦情や批判を直接のきっかけとして謝罪に至る日本国内の広告等の発行物の文章事例である。本稿の目的は,その謝罪の発信者の伝達内容と意図に対して,日常会話理解の理論における話し手の意図概念を用いた分析が適用可能か,検討することである。語用論先行研究では,推論的に導出される非字義的内容は取り消し可能であるとされてきた。本稿は,2019 年の1 文章事例で,聞き手が導出する非字義的内容の取り消しを認めない批判が存在することを確認し,先行研究の事例と比較検討した結果,当該事例では取り消し可能性の問題が発話と話し手を対象とする道徳的非難と倫理的免責性に関連していること,および,先行研究における意図概念と取り消し可能性の議論に修正が必要であることを示した。</p><p>スマートフォン等からインターネット上の情報にアクセスしやすくなり<sup>2)</sup>,SNS(ソーシャルネットワークサービス)等で低コストで意見が発信できるようになった。その結果,公メッセージに対する迅速かつ多数の批判が容易になり,いわゆる「炎上」状態に至ることもある。批判を受けた公メッセージの撤回の告知や謝罪も,紙媒体だけでなくウェブサイトやSNS 公式アカウント等で発信されるようになった。これらの結果,公メッセージと,批判を受</p><p>けて取り下げ謝罪をする場合の告知の両方が,広く一般市民の目に触れることとなった。</p>
著者
松本 敏治 菊地 一文
出版者
学校法人 植草学園大学
雑誌
植草学園大学研究紀要 (ISSN:18835988)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.5-15, 2019-03-31 (Released:2019-08-21)
参考文献数
16

松本・崎原・菊地・佐藤(2014)は,「自閉症は方言を話さない」とする印象が全国で普遍的であることを報告している。しかしながら,共通語を使用してきたASD が学齢期あるいは青年期において方言を使用するようになる事例が存在するとの報告が教員・保護者からあった。該当する5 事例について,方言使用開始時期および対人的認知スキルに関する55 項目についての質問紙を実施した。方言使用開始時期は,7 歳,9 歳,16 歳,16 歳,18 歳で事例によって差がみられた。獲得されているとされた対人的認知スキルのうち,方言使用開始前後の時期に獲得されたとする項目数の割合は,26%〜97%であった。また,それ以前に獲得されていた項目数と方言使用開始時期に獲得された項目数の割合を領域別で求めたところ,意図理解および会話の領域での伸びが顕著であった。これらの結果にもとづいて,ASD の方言使用と対人認知の関連について議論した。