著者
武田 竜治 菅原 遼 畔柳 昭雄
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.34(2020年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.240-245, 2020-12-07 (Released:2020-12-07)
参考文献数
8

本研究では,水郷集落が多数立地する琵琶湖周辺に着目し,水郷集落の立地分布を把握した上で,湧水利用が盛んな米原市醒ヶ井地区を対象に,水路及び水利施設の利用管理の特徴を把握した。その結果,抽出した水郷集落61 ヶ所に関して,集落の立地分布と水路形態の傾向を整理し,上水道整備前後における水路利用の変化を把握した。また,醒ヶ井地区では,湧水の特性を活かし,現在においても洗い場や生簀等の水利施設を介した住民と湧水との係わりを確認でき,特に,集落の形成過程に応じた特有の水路及び洗い場の利用管理の実態を捉えた。
著者
谷川 智穂 中塚 雅也
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.34(2020年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.127-132, 2020-12-07 (Released:2020-12-07)
参考文献数
8

日本の農山村地域においては,人口流出などによる高齢化や担い手不足による地域経済力の低下や空き家の増加などの問題が顕著に生じている。一方で田園回帰と言われるように,若者を中心とした農山村地域への関心の高まりが指摘され,過疎と呼ばれる地域への移住や起業の動きも少なからず発生している。本研究では,移住者による起業の立地条件を,周辺人口および交通アクセス性の面から分析し,一般的に起業に有利でない場所でも起業が発生していることを明らかにし,そういった場所における起業促進の可能性を指摘した。
著者
高橋 俊守 菊池 紅音
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.34(2020年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.180-185, 2020-12-07 (Released:2020-12-07)
参考文献数
6

ハクビシン(Paguma larvata)は全国で分布を拡大しつつあり,農作物や家屋等における鳥獣害も増加している。本研究は,市町村による捕獲許可及び駆除会社による情報をもとに,市町村より小さな単位の小地域(町丁・字等)スケールでハクビシンの分布情報を可視化するための手法や課題について明らかにした。本研究を実施した宇都宮市では,捕獲許可及び駆除会社による情報は2013 年から2018 年の6 年間で326 件認められ,この内の254 件(77.9%)が,分布情報を小地域スケールで可視化することが可能な位置情報を有していた。小地域数でみると,ハクビシンの分布情報は2014 年以降一貫して増加しており,6 年間で市全体の小地域総数の16.0%において分布情報が認められた。
著者
四方 勘太 大野 暁彦
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.34(2020年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.115-120, 2020 (Released:2020-12-07)
参考文献数
10

本研究では,タケノコ生産林における維持管理手法の現状と変遷について境界部に着目し明らかにした。対象地の京都府西山地域ではタケノコや竹材の生産が盛んに行われてきた歴史があり,高品質のタケノコを栽培するために,「京都式軟化栽培」と呼ばれる栽培法が確立している。しかしこうした竹林は減少傾向にあり,広域的な地理的分布変遷の分析から,竹林面積に対する竹林外周の長さが大きくなり,竹林が細分化されていることが明らかになった。またヒアリング調査と測量調査など各畑地での空間分析から,タケノコ生産林の境界は竹林外部からの要因により形成された境界と造成を伴うタケノコ生産手法に伴う境界がみられることがわかった。
著者
平田 晶子 髙野(竹中) 宏平 相原 隆貴 中尾 勝洋 津山 幾太郎 唐 勤 松井 哲哉 肱岡 靖明
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.34(2020年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.210-215, 2020-12-07 (Released:2020-12-07)
参考文献数
20

気候変動にともない,西日本を中心に問題となっている竹林の拡大が,より高緯度,高標高域でも深刻化することが懸念されている。本研究では,日本と中国におけるマダケ属の分布情報と気候データを用い,マダケ属の潜在生育域を日本全土で推定する統計モデルを構築した。さらに現在と将来の潜在生育域の変化から,気候変動によって竹林の拡大リスクが増大する地域を推定した。その結果,東北地方から北海道の低地を中心に生育確率の上昇が予測された。西日本でも,広い範囲で現在より生育確率が上昇する傾向がみられた。気候変動による拡大リスクの変化を考慮しつつ,竹林の新規植栽や管理のあり方を検討する必要がある。
著者
佐々木 章晴
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.34(2020年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.204-209, 2020 (Released:2020-12-07)
参考文献数
26

野付湾は,アマモ(Zostera marina)が生育しており,ホッカイエビ(Pandalus latirostris)の漁場になっている。野付湾および湾外南側のアマモ場の流入河川の流域土地利用が河川水質に与える影響と,河川水質がアマモに与える影響について検討した。河川の流域森林率が低下し,流域窒素投入量が増加すると,河川水中のNO3-N,K,Caが増大した。そして,河川水中のNO3-N,K,Caが増大すると,アマモの生育質量が低下した。アマモ生育質量の低下は,NO3-Nの増加に伴って増大する未知の生育抑制物質が増加していることが原因ではないかと考えられた。