- 著者
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富田 寿代
水谷 令子
- 出版者
- 鈴鹿大学
- 雑誌
- 鈴鹿国際大学紀要Campana (ISSN:13428802)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.213-226, 2005-03-20
水環境の現状と保全について検討することを目的として,トルコの黒海沿岸,中部アナトリアおよびイスタンブールとその周辺の生活用水を調査した.黒海沿岸地域は温暖でトルコで最も雨が多い.この地方の水は,Na^+,Cl^-含有量,電気伝導度ともに低く,ほとんどは総硬度100 mg/L 以下の軟水であった.パイプで導水された湧水は,同様の軟水で,細菌学的にも問題はなかった.中部アナトリア地方は乾燥ステップ気候で,年間を通して降水量が少ない.この地方で使われている水は,pH値,総硬度,電気伝導度が高く, Na^+,Cl^-含有量も多い.これは,石灰岩質の土壌の影響によるものであろう.一部のレストランやドライブインでは井戸水を利用していると推測される結果が得られた.イスタンブール近郊は降雨量が少なく,季節により寒暖の差が大きい.この地方では,Na^+,Cl^-含有量が幾分多く,総硬度が200 mg/L以下の中硬水が使われている.トルコの水道水は,細菌学的に問題はなく,CODや遊離炭酸の含有量は日本の快適水質項目の基準値を満たしていることから,通常の浄水処理がおこなわれていることがわかる.いずれの水道の蛇口でも残留塩素は認められなかった.また,いくつかの試料のDOは幾分低い.以上の結果から,使われている消毒剤の量は多くなく,浄水処理過程において硬度調整等の高度処理はなされていないと思われる.イスタンブールの大手ホテルでは独自にイオン交換による軟水化処理がおこなわれていた.