著者
林 宏昭
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.563-573, 2018-03-10

日本では、戦後の税制の基礎となったシャウプ勧告で直接税中心主義が掲げられる。直接税は所得税と法人税であるが、シャウプ勧告では法人税については法人税を所得税の前取りと見なす法人擬制説の立場が示されたことから、基本的には所得税中心の税体系となった。個別間接税である物品税や相続税は所得税の補完と位置づけられた。1980年代の税制改革論では、「直間比率の是正」も大きなかけ声となり、物品税等の個別間接税に替えて一般的な間接税である消費税が導入される。税体系の中での間接税の比重は高まっているが、所得税は依然として重要な基礎税である。近年、配偶者控除などの控除制度のあり方を巡って、政府税制調査会でも集中的に議論が行われるようになった。
著者
木村 雄二郎
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1-2, pp.127-145, 1963-06-20
著者
長久 領壱
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3-4, pp.295-324, 1997-10-31
著者
加勢田 博
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3-4, pp.401-419, 2004-11-11

19世紀初頭に始まるアメリカ工業化への助走は、生産組織や技術進歩にみられる多くの革新に加えて、国内市場の拡大に繋がる交通の改良によってはじめて人や物の移動および情報の伝達をスムーズにし、大量生産をその最大の特徴とする工業化時代の到来を可能にした。本稿では、この交通改良において重要な役割を演じた有料道路(Turnpike Road)の建設を北東部を中心に概観する。
著者
中澤 信彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.215-235, 2022-03-10

本稿は初期(マンチェスター期)エンゲルスにおけるマルサス人口理論批判の形成過程を明らかにするべく、「ロンドン便り」(1843)、「国民経済学批判大綱」(1844)、『イギリスにおける労働者階級の状態』(1845)の3作品を取りあげて、それぞれにおけるマルサス批判をその文献的源泉に注目しながら検討した。若きエンゲルスがマルサス人口理論への批判を形成していくにあたり、ジョン・ウォッツの『経済学者の事実と虚構』(1842)への依拠がかなり大きかった、とする見解が今日では有力であるが、本稿はむしろ、若きエンゲルスにとって、それと並んで、あるいはそれ以上にロバート・サウジーの『人口論』第2版への書評(1804)から受けた巨大な影響の可能性を指摘した。このサウジーの書評は「貧民の敵」としてのマルサス像の起点に位置づけられる、経済学史・人口学史上きわめて重要な文献であるが、それだけにとどまらず、マルクス主義と人口問題(およびマルサス)との不幸な関係の発生の始源に位置する、マルサス批判の国際的展開(受容と変容)を考える際の最重要文書でもあったと考えられる。
著者
若森 章孝
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-39, 2000-06-15

本稿は,第1に,「資本主義の黄金時代」(1945-74)をフォーディズムのロジックによって解明したレギュラシオン理論が,脱フォーディズムのさまざまな試みと冷戦体制の解体という1990年代の文脈の中で急速に進展した経済のグローパリゼーションとそれにともなう「勤労者社会の危機」をどのように理解しているか,グローパリゼーションの進行の中に資本蓄積の新しい源泉と新しい調整様式の萌芽を,それゆえ勤労者社会の新時代の可能性をどのように検出しているか,について考察する。本稿は第2に, 「勤労者社会の危機」をめぐるフランスの論争におげる4つの立場を検討し,グローパリゼーションの下で社会統合を確保するためには,公的討論による価値観の形成という意味での「政治的次元」と新しい市民権(市民権所得)が重要であることを指摘する。
著者
岩井 浩
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.15-54, 2003-03

失業・雇用統計は、国際的に、主に2つの統計系列一世帯を調査対象にする労働力調査と失業救済の行政記録による請求者登録からなっているが、各国において、その源泉と作成方法に相違があり、直接にそれらを比較することができない。雇用・失業統計の国際基準は、ILO統計局で定められている労働力調査方式であるが、失業統計と公表失業率の事実反映性をめぐって、国際的論議が展開されており、その方式の意義と限界が問題とされ、失業の単一指標である公表失業率を補足・代替する指標として、不完全就業指標と失業の代替指標の概念規定が国際的に論議されている。 本稿では、歴史的に失業統計(請求者登録)の先駆をなし、失業統計の意義と限界の批判、隠された失業と本当の失業の推計、失業の代替指標の開発について論議が積み重ねられているイギリスの事例をとりあげ、批判統計学の視点から、若干の考察をおこない、残された研究課題を明にする。
著者
松尾 精彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.93-114, 2016-10-10

2000年10月5日の第一回抽選から始まった番号選択式の宝くじLOTO6も,去年2015年9月7日には第1000回目の抽選を迎えた.この宝くじは,購入者が1~43の数字の中から6個の数字の組合せを選び,主催者が用意した抽選器が抽出する6つの番号(本線番号)のうち最低3個同じ番号が共有されれば賞金がもらえる.この抽選器を製作した業者や抽選器を操作する主催者が未熟であったり,不正を犯したりしない限り,この宝くじの本選番号を当てることは不可能である.ましてや,当選確率の高い組合わせを見つけることも同様に不可能である.それにもかかわらず,いくつかの雑誌やWebサイトで本選番号の予選法が述べられている.これらの予選法は,本選番号となりうるいずれの組合せも互いに独立で等しい確立で選ばれることを無視し,何らかの傾向があると主張するものである. 大抵は,ある種の性質を有する組合せを選ぶと当選する確立が高くなると主張する.しかしどの方法も,その事象の確立が高いだけのことで,その事象が数多く生起しても何ら不思議はないものである.これらの予測法は多岐に渡り,事象の起こる確率を計算することが困難であるものがほとんどであるので,このような俗説についてここでは述べない.あえて言っておくと,3回の異常な抽選を除いた997回の抽選で期待される1等の口数は2606口であるのに対し,実際の当選口数は2521口数でしかない.つまり,予想は役に立たないということだ.ここではあくまでも,抽選においては,どの本選番号も独立で同確立で選ばれることを仮定して計算を行う.この論文で議論するのは,ロト6購入者の番号の選び方に傾向があるのかを調べることである.雑誌の情報などではなく,購買者集団が自らの意思で,どのような組合せを選ぶのかを調べることである.機械(抽選器)には傾向はないが,人には傾向がある.その傾向を明らかにすれば,他の人々が選びそうな組合せを避けることができ,仮に1等が当たった場合には賞金を独り占めにする確立が高まる.
著者
杉原 達
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.57-100, 1989-04-30
著者
津川 正幸
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.943-959, 1995-01-31
著者
楠 貞義
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.309-329, 2003-12-16

研究ノート
著者
辻 美代
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.239-259, 2019-03-10

経済のグローバル化が進み、国境を越えてSCM が行われるようになった。アパレル生産国が途上国に移転し、途上国で生産し先進国で消費するという20世紀型の大量生産・大量消費が浸透した。21世紀も5分の1が過ぎようとしており、この大量生産・大量消費が大量廃棄をうみだし、アンチテーゼとして、一品生産やスロー・ファッションが出てきた。本論文では、アパレル市場が縮小する日本と拡大する中国で、ワールドとICICLEを例に取りながら両国アパレル企業の動向を分析する。果たして21世紀を勝ち抜く企業は、IT産業と手を組み国内市場を守ろうとする日本企業なのか、それともリスクをとって自己ブランドでファッションの本場フランス市場に進出しようとする中国企業なのか?21世紀社会の変化を考慮しながらアパレル企業の可能性を考えてみたい。
著者
荒井 政治
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.687-713, 1990-10-31

本稿は、平成2年度関西大学学部共同研究費による研究の成果である。