著者
小林 茉利奈 Myers 三恵 W. MYERS Michael 丸岡 靖史
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.45-48, 2014-03-31 (Released:2014-07-31)
参考文献数
13
被引用文献数
1

歯科恐怖症患者は恐怖心により歯科治療が困難となり, 十分な治療を受けられない, 治療を拒否されるなど, 治療を諦める例も少なくない. そのため口腔内の健康が損なわれ, 生活のQOLが低下し大きな問題となっている. 当講座では地域歯科医院や院内から紹介された多くの歯科恐怖症患者に対して個々に適した方法で治療を行い, 患者より満足を得ている. しかし, 歯科恐怖症患者の治療には多くの時間とマンパワーを要するのが現状であり問題点も多い. そこで本稿では, 歯科恐怖症患者の治療の実態と問題点についてその概要を説明する.
著者
山本 松男 須田 玲子 小出 容子
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.274-277, 2009-11-25 (Released:2013-08-29)
参考文献数
20

歯周病は歯を失う二大疾患のうちの一つである. 歯周病がやっかいな理由は, 余り痛みを伴うことなく進行してしまうことで, 知らず知らずのうちに歯を支える顎の骨が溶けてしまう病気です. 歯肉は血管が豊富な組織であるため全身のメタボ疾患とも無縁ではなく, 最近の研究によれば, 糖尿病をはじめ動脈硬化症や心筋梗塞, 骨粗鬆症等全身の病気とも何らかの関係があると報告されるようになった. 今回は毎日の生活の中に潜む健康リスク (危険因子) として, 歯周病と全身の関係について最近の話題の中から, (1) 歯周病と高齢者における誤嚥性肺炎, (2) 妊婦さんの歯周病と早産・低体重児出産の関係, (3) 身近な防衛策「歯磨きではなくてブラッシング」について説明する.
著者
船登 雅彦 小野 康寛 馬場 一美
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.209-213, 2013

覚醒時の上下歯列接触癖(Tooth Contacting Habit; TCH)は顎関節症の原因因子として注目されてきている.TCH の評価は質問票や問診に基づくため信頼性が低く,TCH を客観的に評価することができなかった.著者らはTCH を客観的に定量化するために「TCH 測定システム」を開発し,臨床への導入をすすめている.<br/>このTCH 測定システムはコンピューターと専用ソフトウェアからなり,E メール機能を有する市販の携帯電話さえあれば,ランダムに送信されるE メールを受信した時にTCH の有無を確認し,空メールを返信するだけで,データが蓄積され,TCH の出現頻度や出現状況を自動分析することができる.<br/>本稿ではTCH 測定システムの概要と初期の運用実績および今後の発展性について紹介する.
著者
山本 舞 久保田 雅人 槇 宏太郎
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.167-177, 2010-07-31 (Released:2013-03-26)
参考文献数
15

骨格性の要素が強い下顎前突症の矯正治療において, 外科手術を併用する方法がしばしば選択される. しかし, 現在外科手術を併用するか否かを判別する明確な基準はなく, また患者の外科手術に対する希望の有無により, 治療法を決定しなくてはならない. そこで今回は骨格形態的所見, 歯列・顎堤の特徴的所見, 顔貌所見の類似する2症例において, 一方は矯正治療単独で, もう一方は外科矯正併用治療を選択した症例について比較検討を行った. 矯正治療単独症例は上下顎両側小臼歯を抜去し, マルチブラケット装置にて動的治療を行った. 外科矯正併用治療症例では術前矯正後, 下顎後退術を施行した. その後, 術後矯正と頤形成術を行い, 保定治療へ移行した. 治療の結果, 矯正治療単独症例では, 主に下顎前歯の舌側傾斜により被蓋は改善したが, 下顎正中矢状断面 (以下Symphysisと称す) に対し過度の舌側傾斜を与えたため下顎前歯唇側に歯肉退縮を認めた.外科矯正併用治療症例では, 初診時若干の歯肉退縮を全体的に認めたが, 矯正治療および外科手術により, 上下顎の前後的不調和が改善し, さらに上下顎前歯の歯軸傾斜を適正に近づけることができたため歯周組織の負担が軽減し, 歯肉退縮が改善した. これらの結果をふまえて, 過去の報告に, 上下顎の大きさや位置の不調和の補正を, Symphysisの形態が自らの厚みや形を変化させることで対応しているという報告よりSymphysisの形態的特徴と, 頭蓋に対する下顎前歯の傾斜の違いに着目し考察を行った. さらに, 両症例の審美的観点, 歯周組織的観点, 咬合機能的観点から加えて考察を行った.

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出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.375, 2013-11-30 (Released:2014-04-01)
著者
渡辺 仁資 井上 理 金塚 文子 栗原 祐史 松浦 光洋 吉濱 泰斗 代田 達夫 羽鳥 仁志 新谷 悟
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.57-62, 2010-03-31 (Released:2013-03-26)
参考文献数
12

公 告掲載論文の取り下げについて 本誌,Vol.30 No.1 (2010年 3月号)に掲載された「当科における過去 3年間の口腔悪性腫瘍症例の臨床統計的検討」渡辺仁資,井上 理,金塚文子,栗原祐史,松浦光洋,吉濱泰斗,代田達夫,羽鳥仁志,新谷 悟 上記論文につきましては,データ解析のための統計学的方法とその解釈に不備があっため,著者本人の依頼により取り下げに致します.なお,論文審査過程において指摘できなかったことを真摯に受け止めて,今後の論文審査を実践いたします.2013年 10月 30日 Dental Medicine Research編集委員長 中村雅典
著者
長谷川 篤司 木下 潤一朗
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.169-175, 2009-07-31 (Released:2013-08-07)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

良好な根管治療予後のためは, 治療過程のすべてのステップで根管内無菌化のための努力がもとめられている. これらのステップのうち, 根管壁の化学的清掃, すなわち根管洗浄には, 従来から次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素水による交互洗浄が用いられてきた. また, 近年ではEDTAの使用や, 超音波発生装置の併用などが取り上げられている. では従来からの根管洗浄法の問題点は何か. 新たな薬剤や器材によって何がどう改善され, どのような効果が見られるのか. これらを導入する際には, 臨床上どのようなことに配慮すべきか. 現状でどの程度の臨床現場で使用されているのかなどを簡単に解説した.
著者
菅沼 岳史 螺澤 庸博 小野 康寛 伊東 令華 馬場 一美
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental medicine research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.111-116, 2012-07-31
参考文献数
2

本学では学生のコミュニケーション能力,自学自習能力,問題解決能力,臨床推論・判断能力などに代表される基礎的臨床能力を向上させるために,南カリフォルニア大学歯学部にて開発された仮想患者 Virtual Patient(以下VP)システムをべースにした VP システムを開発し,導入を進めている.このシステムは,学習者がいつでもどこからでもWebにより学内サーバにアクセスして学習することができ,テキストベースで行う医療面接,歯科基本セットから器具選択して行う診査部分と,検査法,診断,治療法の選択を行う5つのパートで構成されている.現在運用されているVP症例は,昭和大学教育研究推進事業として各講座,診療科に提出していただいた症例の中から,医療面接から治療法の選択までのフルバージョンの3症例と医療面接のみの5症例を作成,運用している.本稿では,最新版のシステムの概要と現在までの運用実績とその評価および今後の展開について紹介する.
著者
真鍋 厚史
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.260-263, 2010-11-30 (Released:2013-03-26)
参考文献数
7

最近アンチエイジング, すなわち若返りや抗加齢ということが注目されている. アンチエイジングには, 大がかりなものからわずかな若返りなど幅があり, また患者個人が独自の考え方で若返りを追求するいわゆるサプリメント療法やエクササイズ等, また特に本人はアンチエイジングなどを気にしていないが他人から観察すると本来の年齢よりも若く写る場合がある. 昭和大学歯科病院は歯, 歯肉の病気や発声等の機能障害, 食事機能障害などの治療を専門としている. そこで患者が簡単にかつ清潔で美しく若返れる方法を実際の症例を例に説明する.
著者
浅川 剛吉 坂田 一恵 嘉手納 未季 船津 敬弘
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.41-44, 2014-03-31 (Released:2014-07-31)
参考文献数
5

我々が, 日常の臨床にて向き合っている歯 (歯根膜・歯髄) から獲得出来る細胞は再生医療の分野においても注目され, 歯根膜や歯髄そのものを再生する研究や有効活用する研究は盛んに行われている. 歯 (歯根膜・歯髄) 由来細胞はheterogeneityな細胞集団でありそれらの能力について未だ解明されていない部分も多い. また, 歯の形態異常や重度の歯周疾患を特徴とする全身疾患のある患者において歯 (歯根膜・歯髄) を採取し, 細胞の特徴を把握することが出来れば, 歯周疾患や外傷, 矯正歯科治療などにおける歯周組織の再生および恒常性の維持に必要な間葉系幹細胞の遊走制御やrecruitmentの機構を解明することも期待できる. そこで本稿は, 歯 (歯根膜・歯髄) 由来細胞の分離培養方法について報告する.
著者
太田 淳子 小澤 浩之 愼 宏太郎
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.170-174, 2008-11-30 (Released:2012-08-20)
参考文献数
7

患者は初診時年齢24歳6か月の女性.左側第一小臼歯から第二大臼歯まで連続する片側性鋏状咬合と著しい叢生を伴うAngle II級1類症例であった.治療としては, 上顎の歯列弓幅径の縮小と下顎歯列弓幅径の拡大により左側の鋏状咬合の改善を行った.その際, 上顎は歯列弓縮小用のポーター型装置, 可撤式スライディングプレートおよびアーム付きリンガルアーチを順に使用し, 下顎はポーター型拡大装置を使用した.これらの装置は, 片側性鋏状咬合であることを考慮し左右で異なるforce systemになるようデザインに工夫を施した.左側大臼歯の咬合が回復した後はパラタルアーチ, cross elasticsおよびヘッドギアを使用し, 左側の咬合の維持と安定に努めた.また, 上顎両側第一小臼歯および下顎左側第二小臼歯を抜去し治療した.その結果, 機能的な咬合の安定と個性正常咬合を得ることができた.
著者
松原 こずえ
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.258-260, 2011-11-30 (Released:2013-03-19)
被引用文献数
1

「お口の健康」とは口腔疾患に罹患していない,歯・歯ぐき・舌・粘膜の状況を言う.健康な状態を保つことで,美味しくご飯が食べられ,会話がはずむことなどにもつながる.お口の健康を保つために1番大切なことは毎日行っているブラッシングの習慣である.ブラッシングと一言でいっても方法は様々で,歯の数や並び方などお口の中の環境によっても大きく変わる.今回,歯ブラシの使い方のポイントや注意する点を紹介する.また,家庭でできるお口の機能向上と維持のための健口体操を行う.
著者
小林 茉利奈 Myers 三恵 W. MYERS Michael 丸岡 靖史
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.45-48, 2014
被引用文献数
1

歯科恐怖症患者は恐怖心により歯科治療が困難となり, 十分な治療を受けられない, 治療を拒否されるなど, 治療を諦める例も少なくない. そのため口腔内の健康が損なわれ, 生活のQOLが低下し大きな問題となっている. 当講座では地域歯科医院や院内から紹介された多くの歯科恐怖症患者に対して個々に適した方法で治療を行い, 患者より満足を得ている. しかし, 歯科恐怖症患者の治療には多くの時間とマンパワーを要するのが現状であり問題点も多い. そこで本稿では, 歯科恐怖症患者の治療の実態と問題点についてその概要を説明する.
著者
菅沼 岳史 螺澤 庸博 小野 康寛 伊東 令華 馬場 一美
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.111-116, 2012

本学では学生のコミュニケーション能力,自学自習能力,問題解決能力,臨床推論・判断能力などに代表される基礎的臨床能力を向上させるために,南カリフォルニア大学歯学部にて開発された仮想患者 Virtual Patient(以下VP)システムをべースにした VP システムを開発し,導入を進めている.このシステムは,学習者がいつでもどこからでもWebにより学内サーバにアクセスして学習することができ,テキストベースで行う医療面接,歯科基本セットから器具選択して行う診査部分と,検査法,診断,治療法の選択を行う5つのパートで構成されている.現在運用されているVP症例は,昭和大学教育研究推進事業として各講座,診療科に提出していただいた症例の中から,医療面接から治療法の選択までのフルバージョンの3症例と医療面接のみの5症例を作成,運用している.本稿では,最新版のシステムの概要と現在までの運用実績とその評価および今後の展開について紹介する.
著者
尾関 雅彦
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental medicine research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.228-230, 2012-11-30

安全で安心できるインプラント治療を行うことにより, よく噛める健康な口を保つことができることを講演した. 1. インプラント治療の利点と欠点, 2. インプラント治療の対象, 3. 昭和大学歯科病院における安全で安心なインプラント治療について解説した.
著者
佐野 晴男
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.35-42, 2013-03-31 (Released:2013-11-22)
参考文献数
3

わが国は高齢化が進み, 有病患者が歯科医院に訪れる機会が増え, 歯科に対する社会のニーズは急速に高まってきている. 一医療機関ですべての患者に対応し, 治療を完結することが困難な場合が多くなってきた. 良質な医療を提供してゆくには地域の診療所と病院歯科が連携を組んで当たらねばならない. 筆者は大学を卒業以来, いろいろな病院で地域の開業医から患者の紹介を受ける立場にあった. 大学を卒業以来, 昭和大学歯科病院に至るまでの筆者の経過と連携実績, ならびに病診連携について述べたい.
著者
磯野 史朗
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.2-5, 2014-03-31 (Released:2014-07-31)
参考文献数
13

閉塞性睡眠時無呼吸は, 様々な診療科が関与すべき全身性疾患である. 歯科医師は, 病態生理解明, 顎顔面形態解析による原因検索, 口腔内装置や顎顔面手術, 歯科矯正による治療など, すでに重要な役割を果たしている. 今後, 歯科的, 歯科矯正的なアプローチによりこの疾患の予防まで視野に入れた研究の発展が期待される.
著者
向井 美惠 弘中 祥司
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.31-35, 2008-03-31 (Released:2012-08-20)
参考文献数
13

障害児・者に対する摂食・嚥下機能障害の評価方法には, 成人・高齢患者と異なった対応を行わなければならないことが多くみられる.VF検査やVE検査などは共通しているが, 「指示」嚥下が不可能であることが多い.したがって, 数多くある評価方法の中から複数を組み合わせて診断をより正確に行う必要である.また, 発達期にある患児の場合にはその後の成長を踏まえて歯列不正の予防をも視野に入れた対応が必要となる.今後の歯科医師が行う摂食・嚥下障害患児への対応の一つとして重要であると思われる.