著者
小山田 日吉丸 河内 清光 石橋 弘義 中西 重昌 戸田 正義 丸岡 富実夫 野田 勇
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.23, no.9, pp.516-522, 1974

われわれは実用的な全身スキャナを開発し, すでに日常の診療にたいへん有益なデータを提供しているので, ここにその機構の概要と数例の具体的画像を報告する。<BR>基本構造は, 上下2対向の検出器をもち, 従来のものとほぼ同様であるが, 画像縮尺率は1/5, 3/11/1の3段階で, フォト・スキャンのスリットの大きさは縮尺率とスペーシングとの相関関係によって最適なものが自動的にセットされる。スキャンと同時にプロフィル像を描くことができるが, そのほかプログラム・スキャン装置をもち, 任意の区域のみをスキャンすることが可能で, その間のtotal countも表示される。また, コンビュータ用のoutput機構をもちoff-lineではあるがdigital imageも描出可能である。現在scalloping correctionも行なつている.得られた実際のシンチグラムもきわめて鮮明で, 臨床上の利用価値はたいへん大きい。
著者
木田 利之 鈴木 晃 斎藤 勝
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.24, no.12, pp.861-866, 1975

臓器シンチグラムを読影する場合, 臓器シンチグラムの正確な解剖学的位置関係を知りたいことがしばしばある。この目的のために, 現在までにいくつかの試みがなされている。しかし, スキャナーの高価な改良が必要であり, 手技も繁雑で非能率的であり, 時間がかかること, フォトスキャンとX線像とが拡大率の関係で1対1の対応を与えないこと, 臓器の呼吸性移動を無視していることなどの理由で, いまだ広く応用されるに至っていない。<BR>今回われわれは, これらの難点を克服するための試みに, 同一フィルム上に同一体位でX線像とフォトスキャンとを描出できるわれわれ独自の装置を考案し, 臨床的に応用している (この方法をわれわれは, photoscintillo-roentgenographyとよんでいる) 。
著者
西岡 和彦 中塚 巖 金丸 博
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.133-139, 1988
被引用文献数
1

抗潰瘍剤ゲファルナートの代謝研究に供するため, その酸成分であるファルネジル酢酸の改良標識化法を開発した。炭酸バリウム (3) より得られるオキソブタノエート (8) を臭化ゲラニル (9) でアルキル化後, 加水分解, 脱炭酸によりゲラニルアセトン (11) を得た。11の炭素鎖をグリニャール反応, HBr処理, シアノ化により延長して得られたファルネジルアセトニトリル (14) を加水分解することにより, [5-<SUP>14</SUP>C] ファルネジル酢酸 (1) を通算収率6.1%で得た。
著者
東田 盛善 佐竹 洋 張 勁
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.203-213, 2011
被引用文献数
2

南西諸島の13島(種子島,屋久島,中之島,奄美大島,徳之島,沖永良部島,与論島,沖縄島,久米島,宮古島,石垣島,波照間島および与那国島;24°N~30°N)の地下水試料(134)と一月毎に採水した石垣島於茂登トンネル湧水の同位体組成を測定した。それらの島々の地下水のδDおよびδ<SUP>18</SUP>O値の平均値は-31~-20‰および-5.8~-4.5‰の範囲にあり,その値は緯度が高くなるにつれて減少した。δ<SUP>18</SUP>Oについての緯度効果は-0.14‰/N(deg.)と推定された。南西諸島地下水のδ<SUP>18</SUP>Oについての緯度効果は,本州よりも小さかったが,それは南西諸島に降水をもたらす気団に亜熱帯海域に起源を持つ水蒸気が持続的に補給されているためである。δ<SUP>18</SUP>Oについての温度効果は0.20‰/℃と推定された。また,採水高度によって求めたδ<SUP>18</SUP>Oについての高度効果は,九州最高峰の宮之浦岳(1935m)を擁する屋久島において0.10‰/100mであった。一月毎に採水された石垣島於茂登トンネル湧水のδDおよびδ<SUP>18</SUP>O値は,観測期間にはほとんど一定であったが,降水が地下水面に浸透する間によく混合されているためだと思われる。南西諸島の夏季降水のd値はほとんど同じ(約10)であるが,冬季には北部に位置する種子島,屋久島および中之島のその値(>25)は,それら以南の島々の値(<22)に比べて高くなることが推定された。

1 0 0 0 OA 1 歴史

著者
野田 真永 村田 和俊 中野 隆史
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.367-369, 2015-06-15 (Released:2015-06-27)
参考文献数
6
被引用文献数
1

X線の発見から本年で120年経つが,その間,物理工学面の技術革新により放射線治療は格段の進歩を遂げた。粒子線治療は,速中性子線治療から始まり,現在では陽子線・重粒子線治療が世界で計57施設にて実施されるようになった。この粒子線治療の発展には1940年代以降の粒子線加速器開発技術の進歩が大きく関与している。
著者
川端 祐司
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.199-206, 2008 (Released:2008-03-31)
参考文献数
30
被引用文献数
1
著者
中村 充孝
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.93-99, 2017

<p>粉末試料や非晶質などといった等方的試料のダイナミクスを研究対象とする場合,チョッパー分光器による中性子非弾性散乱測定は,定常炉の三軸分光器と比較して圧倒的な優位性を示す。特異な物性を発現する新規物質を発見した場合,研究の初期段階にあっては,単結晶を育成することができず,粉末試料しか得られないことも多いが,J-PARCの強力なパルス中性子ビームを用いることで,早々とダイナミクスに関する研究を展開することが可能である。すでにJ-PARCで稼働中の3台のチョッパー分光器は,今もなお装置高度化や新規解析手法の開発を継続しており,今後,革新的な研究成果を創出しうるポテンシャルを十分備えている。</p>
著者
市川 有二郎 井上 智博 内藤 季和 田中 勉 高橋 良彦
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.521-533, 2015
被引用文献数
2

降雨による土壌中の放射性セシウムの移行状況を確認するために,2013年度の梅雨期前後と台風後の千葉県柏市内の土壌を対象に調査した。本調査は,福島原発事故から約2~3年後に行われたが,地表面から深さ5cm以内に95%以上の放射性セシウムが含まれ,降雨による放射性セシウムの鉛直方向への浸透はほとんど進行していないことが示唆された。水平分布については,同一敷地内でも最大で2~3倍程度の差があることが確認された。本調査では,放射性セシウム濃度が明確な粒径依存性を示さなかったが,関東ロームの特異性が影響している可能性がある。
著者
前田 正敏 二本松 博子 川腰 利之 庄司 美樹 本田 昂
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.308-315, 1992-06-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
27

放射性核種標識モノグローナル抗体 (MoAb) 17-1Aの生体内動態をヒト膵臓癌HuP-T4担癌ヌードマウスについて検討した。MoAb17-1Aは, 免疫組織化学的にもHuP-T4細胞に対し親和性が認められた。125I-MoAb 17-1Aの静脈内投与72時間後, 腫瘍では膵臓に比べ約3.9倍高い取込みが見られた。111In-MoAb 17-1Aは, 125I標識体より高い腫瘍への取込みが見られた。以上より, MoAb 17-IAは膵臓癌に対して放射免疫学的な画像診断あるいは治療への応用の可能性が示唆された。