著者
陣内 研一
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.135-140, 1982
被引用文献数
1

C<SUB>3</SUB>Hf/He系マウス頭部へのX線516mC/kg (2000R) , 1回照射による口腔組織上皮基底層の細胞動態を<SUP>3</SUP>H-チミジン標識を行うことにより, 細胞周期回転に関しては標識分裂細胞頻度 (PLM) 解析法によって, また, 基底細胞の分化相への移行は標識細胞の移行率の経時的変化によって調べた。舌上皮基底細胞では, 照射によりG<SUB>2</SUB>期および分化層への移行開始時間の遅れが起こる。しかし, 口唇粘膜では照射による障害が大きく基底細胞の増殖は著しく抑制された。
著者
山本 哲夫 三枝 健二 有水 昇 国安 芳夫 伊東 久夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.331-342, 2001-08-15 (Released:2011-03-14)
参考文献数
13

千葉大学病院のホールボディカウンタを用いて, 405名の健常人と186名の患者を対象に, 全身カリウム (K) 量の測定を行った。全身K量は以下に示すレファレンス値として算出した。すなわち20歳代の健康人の全身K量を標準値とし, 体表面積で除し, かつ年齢と男女差を加味して補正し%表示した。405名の健常人のレファレンス値は100.65±9.22%であった。各疾患ごとのレファレンス値は以下のようになった。肝硬変: 94.24±11.22%, 慢性肝炎: 95.74±11.24%, 甲状腺機能亢進症: 99.37±10.8%, バーター症候群: 82.0±9.01%, 周期性四肢麻痺: 93.99±9.86%, 筋無力症: 97.34±6.42%, 低カリウム血症: 90.64±11.76%であった。また子宮癌, 乳癌, 貧血, 高血圧症ではそれぞれ, 97.78±11.5%, 99.22±8.88%, 96.64±12.73%, 98.5±9.63%となった。14例が75%以下の異常低値を示した。その内訳は肝硬変1例, 高血圧症3例, 糖尿病1例, 低カリウム血症3例, 周期性四肢麻痺1例, バーター症候群2例, 薬物中毒2例, 乳癌1例であった。バーター症候群の1例, 周期性四肢麻痺の3例, 高血圧症2例, 肝硬変1例, 筋無力症1例では, 経時的に全身K量が測定され, 病状の経過との間に関連が見られた。
著者
高橋 寿郎
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.53-60, 1967-01-16 (Released:2010-07-21)
被引用文献数
1 1
著者
小田切 丈
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.417-424, 2017-10-15 (Released:2017-10-15)
参考文献数
14

光子及び荷電粒子と物質との相互作用について,入射粒子と物質内原子分子との衝突断面積の観点から基礎的事項をまとめた。
著者
小幡 宗平 片岸 正 根津 光也
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.39-45, 1962-02-01 (Released:2010-07-21)
参考文献数
25

1957年当場のアイソトープ課にガンマ線照射室が建設され, チューリップ球根に対する影響について実験中である。照射第1年目の効果について試験し, 第2年目以後の変化の模様についても詳細に観察し, チューリップの芽条変異誘発について検討した。1) 線量率試験の結果, 50r/h以下で1~3kr照射の場合仔球の生産は抑制されない。2) ガンマ線により花弁に条斑点が出現するが, これには一定の傾向があり, またその形状は球根の発育分化と関係がある。3) Athleetについて照射第4年までの変化について観察した結果, チューリップにおける芽条変異は‘キメラ説'で説明されるとした。
著者
渡辺 鐶 印田 順一 源河 次雄
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.69-73, 1972-02-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

ガスフロー計数管のプラトー曲線などに悪影響を与える線源表面の電荷の影響について実験を行なった。4πβ比例計数管の下側の陽極を外して線源支持台を取り付けた。A1膜につけた線源を線源支持台にのせてAl膜に流入する電流の測定, およびAl膜に一定の電位を与えた。また線源支持膜の電導度は線源支持台と陰極間に109~1013Ωの超高抵抗器を接続して調節した。これらの測定と同時に上半分の2πβ計数管のプラトー曲線を測定した。得られたおもな結果は, a) プラトー曲線は線源電位に比例して移動する。b) 線源支持膜の抵抗の増大につれてプラトー開始電圧は高くなり, 長さも長くなる, などである。
著者
斎藤 正明 今泉 洋 加藤 徳雄 石井 吉之 高橋 優太 斎藤 圭一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-6, 2007-01-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
12

濃縮試料の計数率から未濃縮試料の計数率を差し引いたものは, 正味の計数率に (濃縮倍率-1) を乗じたものである。この関係を利用して, バックグラウンド計数を差し引くことなく正味の計数率を得ることができる。トリチウムの電解濃縮測定法に適用し, その結果を検証した。環境濃度レベルにおいて, 測定値及び測定誤差は従来法と同程度であった。この測定法はトリチウム濃縮分析において実用的にも有効であることが確認できた。
著者
島 長義 村中 健
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.455-461, 2007-08-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
10

A newly designed electrolytic device to enrich tritium in environmental water is proposed. This device is composed of a solid polymer electrolytic film (SPE film) and porous, dimensionally stable electrodes (DSE) . In our design a platinum mesh was inserted between the SPE film and the anode DSE so that the device can be easily disassembled and the used SPE film can be replaced with a new one after each use. A thin gold plate with a number of minute holes in it is used as current collector in both electrodes allowing the electrolytic gas to be released progressively.An electrolytic current of 6A was passed through the device to obtain a volume reduction factor of five by keeping a temperature of water bath at 2°C or lower. After that, our device achieved a tritium recovery factor of 0.836 ± 0.021 (n=4) . Such a value is greater than the value obtained using a commercially available apparatus operated under the same experimental conditions. It is thought that this greater efficiency depends on the difference between electrolytic temperature produced in our device and the temperature in the commercially available one.
著者
大和 愛司
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.104-108, 1981-02-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
7 7

茨城県内の三か所で1974年10.月~1979年12, 月に, セルロース・アスベストフィルタを用いて採取した地表大気浮遊塵中の239, 240Puおよび90Srを測定した。大気中の239, 240Pu濃度は0.041~1.9μBq/m3 (1.1~52aCi/m3) , 90Sr濃度は2.3~87μBq/m3 (0.062~2.3fCi/m3) であり, 両者の放射能比 (Pu/Sr) は0.8~2.6%の範囲で平均1.7%であった。これら二核種の大気中濃度の季節変動は全般的に互いに類似しており, その濃度は, 二, 三の例外を除いて, 中国核実験後および春季に増加した。
著者
池田 正道 小沢 隆二 波多 和人 篠崎 善治 飯塚 義助
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.115-117, 1964-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
3
被引用文献数
3

トリチウムガス刺激による螢光体の励起発光について, 2種の螢光体の発光強度特性を測定し, トリチウム量と発光強度の関係を検討した。ガラス管球内壁に螢光体結晶を1層になるよう塗布し, この中にトリチウムガス2キュリーを導入して, トリチウムガス圧に対する発光強度を測定した。トリチウムガス圧に対する発光効率は, ガス圧が上がると次第に減少する。これは, トリチウムガス自体によるβ線の自己吸収として説明され, 実験結果とよく一致する関係を導き出した。この自発光光源は, 標示用光源のほかに, 比較標準光源としても利用できると期待される。
著者
日高 洋
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.331-341, 2012 (Released:2012-06-29)
参考文献数
23

中央アフリカ・ガボン共和国東部にあるオクロ鉱床は,今から約20億年前に自発的に核分裂連鎖反応を起こした痕跡のある,いわゆる「天然原子炉」の化石であることが知られている。オクロ鉱床内外の元素の安定同位体組成の変動を調べることによって,天然原子炉内で起こった核反応の特徴づけや,核分裂生成物の原子炉内外での長期的な挙動解析を行った事例について紹介する。
著者
井上 登美夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.667-678, 2013 (Released:2013-09-27)
参考文献数
5

テクネチウム製剤の原料である放射性同位元素モリブデン-99(以下「99Mo」という)は100%を輸入に依存している。99Moの9割以上は,世界にある数基の原子炉により生産されている。限られた原子炉によって生産されているため,近年一部の原子炉の故障等により,世界的な99Moの供給不足が生じるという問題が連続して発生した。原子力委員会はこの問題に対して「原子力政策大綱に示している放射線利用に関する取組の基本的考え方に関する評価」(平成22年6月1日)の報告書に,「関係行政機関が,産業界・研究開発機関等の関係機関と緊密に連携・協力しつつ,国としての対応について検討を進めていくことが必要である。」との考え方を示した。これを受けて,官民(内閣府,厚生労働省,文部科学省,研究機関((独)日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という),(独)放射線医学総合研究所),医学関係学会,事業者等)の関係者が,99Moとテクネチウム-99m(以下「99mTc」という)の安定供給のあり方について検討する検討会1)が開催され,筆者は委員長としての責務を負うこととなった。本稿ではその検討会の報告をもとに,我が国における99Moの安定供給に向けた方向性と課題について概説する。
著者
滝沢 正臣 小林 敏雄 中西 文子 鈴木 茂雄 宮林 宏保 矢野 今朝人
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.161-166, 1975

TV信号の蓄積と, 走査線変換のために用いられている高精度蓄積管 (メモリ管) を使って, RI像の収録と表示を行なう方法につき検討した。メモリ管のXYZ入力に, シンチスキャナ, またはシンチカメラからのパルスおよび座標信号を入力し, パルス密度に比例する電荷をターゲットに蓄積させる。収録終了後ただちにTV方式による表示に移る。必要により, 像のカラー化を行ない, また, バードコピーを得ることができた。実験の結果メモリの解像度700本, 階調10段階以上, 平たん度20%であった。またdead timeは5μsecフルスケールであった。臨床計測の結果は, フィルム像に近い各種臓器のシンチグラムが得られた。またX線写真とシンチグラムの重ね合わせができ, 読影上解剖学的位置の確認が容易であることがわかった。この方法により, スキャン像の多種にわたる表示が迅速に実行できることがわかった。
著者
遠藤 いず貴 石井 伸昌 大橋 瑞江 松本 一穂 内田 滋夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.321-329, 2017

<p>TRU廃棄物の地層処分生物圏評価において,気体の<sup>14</sup>Cの植物体への移行が考慮されていない。気体の混合に寄与する風を評価するため,2つのイネ科植物群落の3測定高で風速を測定した。両群落のバイオマスは同じだったが,群落-2に比べて群落-1の草丈は78%であり,群落密度は2倍だった。群落上に対する群落内の風速は密な群落(群落-1)で制限された。群落密度が群落内の気体の滞留および植物への<sup>14</sup>Cの移行に影響することが示唆された。</p>
著者
辻 成人 中司 等 山本 吉之 阿知波 一生 柴田 靖彦 春藤 英雄 竹内 憲彦 住本 吾一 岩田 宏道
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.153-156, 1991-04-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
3

133Xe Gas concentration during the examinations of the lung ventilating scintigraphy using 133Xe for three cases, was measured continuously by the flow type ionization chamber to estimate effective dose equivalent to the operator. The air flow distribution of the examination room was also measured for reference to examining the behavior of 133Xe gas. The air around the patient lingers for few minutes or more. Based on the derived air concentration (DAC) in ICRP Publication 30, effective dose equivalent to the operator per examination was estimated to be 0.1-1.0μSv, which was lower than expected.
著者
安河内 浩
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.233-239, 1965

最近フォトスキャンはほかの普通の打点式のものより臨床価値があると考えられている。しかし, そのためには測定器のパルス濃度によって明るさが変わる特殊な真空管や, 複雑な回路を必要とする。<BR>ここではフォトシソチグラムをとるための非常に簡単な改良装置を報告する。これは経済的にも非常によいと考えられる。このためにアルゴンランプの明るさを一ないし二, 三のパルスではフィルムに感光しないようにプラスティックのフィルターを使って暗くした。そしてそれ以上のパルスが重なりた場合に初めて肉眼で見えるほどに感光し, 以後はフィルムの濃度特性曲線によって重なり合うパルスの数が増すほどにフィルムの黒化も増加する。その結果シソチグラムの濃度はパルスの重なり合いの数とともに連続的に増加し, このパルスの重なり合いの数は対象中の放射能の強さに比例する。さらに黒化度を調整するためにアルゴンランプの回路に直列に可変抵杭を挿入し, ランプの1回の明るさを調節した。<BR>本装置による結果を甲状腺および肝ファントムについてほかの装置と比較したが, 本装置は結晶が小さいのにかかわらず, 場合によってはむしろすぐれたシンチグラムをうることができた。<BR>さらに将来の考案を加えた。