著者
堀川 恵司 西田 絵里奈 小平 智弘 張 勁
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>1973年~1974年の南半球の夏期に,熱帯太平洋から南極海にかけて実施されたGEOSECS航海では,南太平洋広域で表層海水が採取され,海水の酸素同位体比が報告されている(Ostlund et al.1987)。本研究では,2014年~2015年の南半球の夏期に,GEOSECS航海と同じ観測点で表層海水試料を採取し,海水の酸素同位体比を分析した。1973-74年と2014-15 年の酸素同位体比組成の比較を通して,(1)過去40年間について温暖化の影響の有無を考察することと,(2)1973-74年はラニーニャ年に相当し,2014-15年はエルニーニョ年にあたるため,酸素同位体比組成の比較から大気海洋循環の影響について考察することも目的とした。</p>
著者
山谷 尚弘 見上 博 張 勁 平澤 良男 石原 外美 手﨑 衆
出版者
公益社団法人 日本マリンエンジニアリング学会
雑誌
マリンエンジニアリング (ISSN:13461427)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.140-146, 2018-01-01 (Released:2018-03-14)
参考文献数
10

Fuel injection pressure decreases in four-stroke diesel engines after extended operations. Poor combustion caused by the pressure drop is a serious problem that can lead to environmental pollution. Several factors have been considered to be behind mechanisms to decrease fuel injection pressure, but the details of such mechanisms are still unknown. Up until now, only limited numbers of studies have been conducted to define these mechanisms. In this study, we clarified that stress relaxation, buckling and metal fatigue of the pressure regulating spring in the fuel injection valve contribute to lowering injection pressure. We also found that the lowering of injection pressure causes early and prolonged injection in diesel engines.
著者
廣田 明成 蒲生 俊敬 角皆 潤 竹内 章 張 勁 山越 祐子 岡村 行信
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.35, 2002

日本海東縁部の冷湧水活動にともなうバクテリアマット域で「よこすか/しんかい6500」YK01-06航海において海底直上水および間隙水のサンプリングを行い化学成分の分析とデータ解析を行った。その結果として湧水から高濃度で炭素同位体比の軽い微生物起源のメタンが検出された。また間隙水中のメタンは堆積物中の微生物による酸化が進行していることが分かった。
著者
佐藤 瑠美 張 勁 山腰 裕子 佐竹 洋 竹内 章 岡村 行信
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.182, 2004

2001年、北海道茂津多岬沖海底で、1km2弱の豹紋状巨大バクテリアマットが発見された。本研究は、この巨大バクテリアマットの生成メカニズム、海底冷湧水とテクトニクスの関連性を明らかにすることを目的とした。1999-2003年計10回の潜航調査により採取された柱状試料で、バクテリアマット下0-4cmbsfで、急激な硫酸濃度減少が見られ、硫酸還元菌も確認された。硫酸還元は、メタン又は有機物と反応するが、間隙水中のΔSO4とΔCa+ΔMgのモル比が1:1であることより、メタン起源であることが分かった。また、塩素濃度減少と、δ18O/δDの値から、メタンの起源がメタンハイドレートである可能性が大きいと推測され、堆積物中の有機炭素量にも支持された。さらに、斜面崩壊の痕跡と共にバクテリアマット下5-37cmbsfで強い硫化水素臭の砂利層が確認され、地殻熱流量の実測値と合わせた結果、砂利層を通って、メタン源からメタンが広域に供給されることが考えられる。
著者
丹下 佑芙子 木下 真孝 成田 尚史 張 勁
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.237, 2011

富士山は, 静岡県と山梨県の県境に位置する標高 3776 mの活火山である. 富士山の総降水量は年間22億トンであり(山本, 1971),富士山は, それらを起源とした豊かな地下水資源を有しており,山麓には, 北部の富士五湖や忍野八海,東部の平山水源湧水,南部の柿田川湧水群や西部の白糸の滝やなど数多くの湧水群が点在している. しかし, 三島市では, 高度成長期以降地下水位の低下や湧水を集め流れる河川水の水質悪化等が報告され, 湧水を取り巻く状況も大きく変化しつつある. そこで本研究では, 富士山麓の湧水の水質測定を通して, 人類活動の影響に着目して考察を行なった.
著者
神林 翔太 張 勁 柴沼 成一郎 成田 尚史
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2015年度日本地球化学会第62回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.181, 2015 (Released:2015-09-03)

福島第一原子力発電所事故により飛散し,陸上に沈着した放射性セシウム(Cs)は水・物質循環に伴う移動で海洋へ移行するため,今後は海洋への移行予測が重要になる。水・物質循環の経路において,汽水域は河川水と海水の混合領域であり,塩分の急激な変化に伴う吸着・溶脱等により化学物質の濃度が大きく変化するため,海洋への移行を考える上で汽水域での放射性Csの動態把握は重要である。しかし,先行研究では大河川や沿岸域での動態把握に留まり,汽水域での挙動は明らかにされていない。本研究では,汽水域での放射性Csの動態を把握し,「河川-汽水-海洋」の系における移行挙動を明らかにするため,幅広い塩分変動をもつ海跡湖「松川浦」において現場観測を行った。
著者
東田 盛善 佐竹 洋 張 勁
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.203-213, 2011
被引用文献数
2

南西諸島の13島(種子島,屋久島,中之島,奄美大島,徳之島,沖永良部島,与論島,沖縄島,久米島,宮古島,石垣島,波照間島および与那国島;24°N~30°N)の地下水試料(134)と一月毎に採水した石垣島於茂登トンネル湧水の同位体組成を測定した。それらの島々の地下水のδDおよびδ<SUP>18</SUP>O値の平均値は-31~-20‰および-5.8~-4.5‰の範囲にあり,その値は緯度が高くなるにつれて減少した。δ<SUP>18</SUP>Oについての緯度効果は-0.14‰/N(deg.)と推定された。南西諸島地下水のδ<SUP>18</SUP>Oについての緯度効果は,本州よりも小さかったが,それは南西諸島に降水をもたらす気団に亜熱帯海域に起源を持つ水蒸気が持続的に補給されているためである。δ<SUP>18</SUP>Oについての温度効果は0.20‰/℃と推定された。また,採水高度によって求めたδ<SUP>18</SUP>Oについての高度効果は,九州最高峰の宮之浦岳(1935m)を擁する屋久島において0.10‰/100mであった。一月毎に採水された石垣島於茂登トンネル湧水のδDおよびδ<SUP>18</SUP>O値は,観測期間にはほとんど一定であったが,降水が地下水面に浸透する間によく混合されているためだと思われる。南西諸島の夏季降水のd値はほとんど同じ(約10)であるが,冬季には北部に位置する種子島,屋久島および中之島のその値(>25)は,それら以南の島々の値(<22)に比べて高くなることが推定された。
著者
神林 翔太 張 勁 成田 尚史
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

陸域から海洋への放射性セシウム(Cs)の供給源として河川水以外に海底地下水湧出(Submarine Groundwater Discharge: SGD)の存在が指摘されている。しかし,採取が容易な河川水に対し,SGDは一般的に目に見えない現象であるため試料採取が困難であり、これまで定量的な評価が行われていなかった。本研究では,汽水湖「松川浦」で収集した海底堆積物中の間隙水の化学分析を通じてSGDを含めた陸域から沿岸域への放射性Csの流入量を見積もることを目的とした。間隙水及び同地点の直上水に含まれる137Cs濃度はそれぞれ1,398 mBq/L, 117.7 mBq/Lであった。この結果は,海底堆積物から間隙水中に有意な量の放射性Csが溶脱していることを示している。また,フィックの法則を用いてフラックスの計算を行った結果,堆積物表層から直上水へ11.3 mBq/cm2/hの137Csの逸出が起きる事が推定された。さらに,本研究で得られた堆積物-間隙水間の分配比と松川浦の表層堆積物に含まれる137Cs濃度の平均値を用いて湖水中に逸出される137Cs フラックスを見積もると0. 08 GBq/dayと推定され,松川浦に供給される137Csの大部分を占めていることが明らかになった。本研究の結果から,沿岸海域には海水が海底下に潜り,堆積物間隙水の逸出という形で再び海洋へと流出する再循環水(Recycled Submarine Groundwater Discharge: RSGD)によって多量の放射性Csが供給されており,今後,沿岸海域や外洋における放射性Csの評価に供給源としてSGDを把握する重要性が示唆された。